生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society

アトモスフィアAtmosphere

コントロールこそがサイエンスの基本である—コロナ禍に思う

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930435
HTMLPDFEPUB3

総説Reviews

Protrudin複合体によるオルガネラ間コミュニケーションと神経機能Interorganelle communication by Protrudin complex and its neuronal function

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930441

Protrudin(プロトルーディン)は神経細胞に豊富で,小胞体とエンドソームを繋留 し,その膜接触部位でPDZD8やVAP やRab7と複合体を形成している.そして脂質 輸送を介してエンドソーム輸送や成熟に働き,神経恒常性維持に寄与している.

HTMLPDFEPUB3

RIPキナーゼによる細胞死と炎症の制御Regulation of cell death and inflammation by RIP kinases

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930451

RIPキナーゼの中でもRIPK1とRIPK3は特に細胞死(アポトーシス,ネクロプトー シス)と炎症の制御において中心的な役割を果たしている.本稿では我々の最新の 知見を交えて,RIPK1,RIPK3が持つ多彩な機能について概説したい

HTMLPDFEPUB3

タンパク質分解機構Golgi membrane-associated degradation(GOMED)の分子機構と生理機能Molecular mechanisms of Golgi membrane-associated degradation (GOMED) and its physiological relevance

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930466

オートファジー類似のタンパク質分解機構として,ゴルジ体膜を起源とする GOMEDを発見した.GOMED実行には,Ulk1,Wipi3,Rab9などが必要であり,イ ンスリン分泌制御や神経細胞の維持,赤血球分化などに関わっている.

HTMLPDFEPUB3

高等動物の小胞体におけるタンパク質の構造形成経路と分解経路Molecular mechanism of protein folding and degradation machinery in the mammalian endoplasmic reticulum

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930476

小胞体でのタンパク質品質管理機構は,N型糖鎖依存性によって構造形成経路およ び分解経路が大別され,その基本的な分子メカニズムは酵母から高等動物まで保存 されている.本稿では,主に高等動物の機構に焦点を当て,最新の知見を交えて紹 介する.

HTMLPDFEPUB3

繊毛におけるタンパク質輸送制御のメカニズムと生理的意義の解析Analysis of the mechanism and physiological significance of ciliary protein trafficking

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930494

一次繊毛は細胞表面に形成される突起状の構造であり,外界のシグナルを受け取る 役割を担う.本稿では,筆者らが見いだしたいくつかの翻訳後修飾酵素に着目し, 繊毛におけるタンパク質輸送の制御機構やその生理学的役割,疾患との関連につい て概説する.

HTMLPDFEPUB3

組織再生を担う腸管幹細胞の維持と機能Maintenance and function of intestinal stem cells involved in tissue regeneration

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930503

腸管上皮組織の恒常性は,粘膜陰窩に局在する希少な腸管上皮幹細胞によって担わ れている.本稿では,生理的あるいは上皮損傷時において,腸管上皮幹細胞の機能 や性質が維持されるメカニズムを独自の研究成果を含め紹介する.

HTMLPDFEPUB3

みにれびゅうMinireviews

ミトコンドリアAAA-ATPアーゼMsp1による誤配送タンパク質の配送校正機構Proofreading of protein mislocalization mediated by a mitochondrial AAA-ATPase Msp1

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930512

本来の目的地とは異なる場所に配送されたタンパク質は,速やかに分解されると考 えられてきたが,細胞にはタンパク質の配送をやり直す校正の仕組みがあることが わかってきた.Msp1によるタンパク質の配送校正機構について概説する.

HTMLPDFEPUB3

神経細胞の軸索起始部に特有な細胞骨格構造とその破綻Axon initial segment cytoskeleton: architecture, function, and disease.

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930517

神経細胞の軸索の根元は軸索起始部と呼ばれる特殊化された区画であり,活動電位 発生と神経極性維持という主に二つの機能を担う.本稿では,軸索起始部に特有な 細胞骨格構造について概説し,その制御メカニズムと制御破綻について解説する.

HTMLPDFEPUB3

チロシナーゼ反応機構における銅活性酸素種の動的挙動Dynamic behavior of copper-oxygen species in tyrosinase mechanism

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930521

チロシナーゼはメラニン合成の鍵酵素であり生体防御に関与するため,その反応機 構に関する研究が繰り広げられてきた.本稿では,銅中心が基質の結合に伴って大 きく変動し,結合した活性酸素種を反応効率の高い位置へと再配置するという新規 な反応機構について紹介する.

HTMLPDFEPUB3

高速原子間力顕微鏡による一分子動態計測:最近の応用研究Single-molecule dynamics observed by high-speed atomic force microscopy: Recent applications

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930526

2001年に高速AFMが登場して以来20年あまりが経過した.この間,高速AFMは急 速に進展しながら世界に拡がり,タンパク質動態観察の多くの応用研究が報告され るようになった.タンパク質計測の最新の応用研究と最近の力学計測への展開を紹 介する.

HTMLPDFEPUB3

脳発達に伴う硫酸化糖鎖HNK-1の機能的役割Functional role of sulfated glycan HNK-1 during the brain-developmental stage

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930532

HNK-1糖鎖は神経系特異的に発現し,脳高次機能を調節する.HNK-1は特定の分 子に発現し,かつその糖鎖構造も多彩である.本稿では近年明らかとなったHNK-1 キャリア分子とその糖鎖構造について,各機能を踏まえて脳発達時期ごとに概説す る.

HTMLPDFEPUB3

initiation regionを介したプロテアソームによるタンパク質分解制御Regulation of proteasomal degradation via initiation region

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930536

プロテアソームによって効率よく分解される基質は,ユビキチン化を受けるのみな らず,分解開始領域となるinitiation regionを内在的に有している.筆者らはHPV E7 によるRbタンパク質の分解機構において,Rbが露出するinitiation regionの質によっ てその安定性を変化させることを発見した.

HTMLPDFEPUB3

自然免疫応答を超えて進化的に保存されたRNAヘリカーゼとTRIMユビキチンリガーゼの相互作用様式Structural analysis of RIG-I-like receptors reveals ancient rules of engagement between diverse RNA helicases and TRIM ubiquitin ligases

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930541

筆者らは生化学的解析,および,クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析を用いる ことによって,ウイルスに対する自然免疫応答において重要なRNAヘリカーゼと TRIM E3ユビキチンリガーゼ間の相互作用において,進化的に保存された二つの ルールを見いだした.

HTMLPDFEPUB3

造血幹細胞のエイジングと骨髄ニッチLimited rejuvenation of aged hematopoietic stem cells in young bone marrow niche

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930546

加齢造血幹細胞を若いマウスの骨髄ニッチに移しても機能的な若返りは得られない. この際,加齢造血幹細胞のトランスクリプトームは大幅に若返りするものの,DNA メチル化は加齢型が持続し,エピゲノムの加齢変化が強力に幹細胞機能を制御する ことが示唆される.

HTMLPDFEPUB3

生体内の細胞老化の解析から個体老化の分子基盤を理解するUnderstanding of the molecular basis for aging by characterizing cellular senescence in vivo

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930550

細胞老化は個体老化を引き起こす要因の一つであり,その理解なしに個体老化を語 ることはできない.これまでの生体内の細胞老化の解析に用いられてきたマウスモ デルを紹介するとともに,1細胞解析技術を用いた最近の知見や老化研究への今後 の展望を概説する.

HTMLPDFEPUB3

細菌RNAを標的とした新たな抗生物質候補化合物の創製と評価Discovery and evaluation of novel candidates of antibiotics targeting bacteria-specific RNA

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930555

リボスイッチは遺伝子の発現調節をつかさどる細菌に特有の非コードRNAである. PreQ1リボスイッチと結合する合成化合物を同定し,両者の相互作用と当該化合物 によるリボスイッチ下流遺伝子の転写終結効果を検討した.本稿ではその結果と新 たな抗生物質開発の可能性を解説する.

HTMLPDFEPUB3

マクロファージにおけるLC3-associated phagocytosisを介した肺炎連鎖球菌に対する免疫防御機構—老化との関連Macrophage LC3-associated phagocytosis acts as an immune defense mechanism against Streptococcus pneumoniae—its relationship to aging

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930562

マクロファージにおいて肺炎球菌はLC3-associated phagocytosis(LAP)を誘導し分 解される.肺炎球菌によるLAPの誘導能すなわち同菌分解能は老化とともに減弱 し,高レベルの炎症性サイトカインの発現が誘導される.

HTMLPDFEPUB3

テクニカルノートTechnical notes

アガロースゲルによるネイティブ電気泳動Native agarose gel electrophoresis

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930566

ネイティブアガロース電気泳動はタンパク質の構造変化や凝集の新しい検出方法で ある.本稿ではその方法,タンパク質の変性凝集,抗体の精製,BSAの限定還元, 酵素のゲル中活性染色,銀染色の方法などについて解説する.

HTMLPDFEPUB3

This page was created on 2023-12-19T07:25:03.118+09:00
This page was last modified on 2023-12-19T07:59:28.155+09:00