生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society

アトモスフィアAtmosphere

転んでもただでは起きない ~失敗から学ぶ~

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940645
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総説Reviews

水晶体の全オルガネラ分解現象の分子機構と生理的意義On the mechanism and role of organelle degradation in the lens

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940651

目の水晶体を構成する細胞の最終分化過程ではすべてのオルガネラがオートファジー非依存的に分解される.本稿ではその分子機構や意義について,筆者らが最近同定したPLAATホスホリパーゼを介する新規オルガネラ分解機構を中心に概説する.

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NKT細胞と疾患Roles of NKT cells in the development of several disease models in mice

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940663

ナチュラルキラーT(NKT)細胞はCD1d分子に提示された糖脂質抗原を認識するT細胞亜群である.マウスの実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎と食餌誘導性肥満を例にNKT細胞の病態進展における役割を解説する.

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ヤスデ由来のヒドロキシニトリルリアーゼの発見と構造に関する研究Discovery and structure of hydroxynitrile lyase and related enzymes in the Aldoxime-nitrile pathway of millipedes

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940681

節足動物ヤスデに,著しく高い比活性を持つヒドロキシニトリルリアーゼを発見し,X線結晶構造解析を行った.本酵素のシアン代謝における役割を植物由来の酵素と比較し,さらに構造に基づいた合理的改変による医薬品中間体合成などへの利用について論ずる.

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みにれびゅうMinireviews

細胞外mRNAの核内への輸送と機能Biological function of extracellular mRNA

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940690

最近の研究から,微量ではあるが細胞外にmRNAが存在することが明らかとなった.これらのRNAのうちいくつかのものは,配列特異的に細胞内に取り込まれ,独自の生理機能を発現する.本稿では筆者らの研究成果を中心にその概略について紹介する.

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ミトコンドリアDNAの漏出が引き起こす神経変性Neurodegeneration induced by mitochondrial DNA leakage

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940696

漏出ミトコンドリアDNA毒性がパーキンソン病の病態をどのように説明できるかを考えるとともに,ミトコンドリアDNAの漏出が惹起するさまざまな事例や経路を議論する.

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核酸高次構造「グアニン四重鎖」の神経疾患における機能解明The functional analysis of a higher order nucleic acid structure, G-quadruplex in neurological diseases

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940701

DNAの基本的な高次構造は右巻き二重らせんであるが,ヘアピン,左巻き,三重鎖,四重鎖なども存在する.グアニン四重鎖(G-quadruplex:G4)構造は神経機能において重要な役割を担うことが示唆されている.本稿では,神経疾患におけるG4構造の細胞内機能について述べる.

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長いエクソン群が支える液–液相分離転写ネットワークLiquid–liquid phase separation of transcription factors are sustained by large exons in vertebrates

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940706

天然変性領域は,液‒液相分離を促進するタンパク質領域として,近年,脚光を浴びている.本稿では,長いエクソンにコードされた天然変性領域が,脊椎動物の高度に発達した転写制御機構のバックボーンとなっているようすを紹介する.

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脂肪体における“変態ホルモン誘導性オートファジー”The molting hormone-induced autophagy in Drosophila fat body

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940711

ショウジョウバエの脂肪体においてみられる“変態ホルモン誘導性のオートファジー”のメカニズムと生理機能について概説する.

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タイトジャンクションの形成を誘導する新規生理活性ペプチドJIPの発見Discovery of physiologically active peptides JIP that induce tight junction formation

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940715

上皮組織は,外界と体内などの環境を隔てるバリアとして機能する.このバリア機能がどのように維持・形成されるのかについて不明であった.本稿では,著者らが最近同定した上皮バリア形成を誘導する新規生理活性ペプチドを中心に紹介する.

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自閉スペクトラム発症の臨界期における抑制回路発達機構の解明An early juvenile critical period for autism-associated inhibitory circuits

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940720

自閉スペクトラム症モデル動物を用いた解析から,生後離乳前の時期に発症を左右する臨界期があること,この時期の抑制回路の発達が発症の鍵となることを解明した.

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細菌タンパク質をウイルス模倣ヌクレオカプシドに分子進化させるEvolution of a viral-mimicking nucleocapsid from a bacterial protein

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940725

原始地球においてウイルスはどのように誕生したのだろうか? この疑問に答える方法の一つとして,分子進化法によって好熱細菌タンパク質とそのmRNAを協奏的に進化させ,ウイルスのようにRNAを内包したタンパク質カプセルを創成した研究を紹介する.

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ケトジェニックダイエット摂取に対する骨格筋の応答Response of skeletal muscle under ketogenic diet

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940730

ケトジェニックダイエット(KD)は炭水化物を制限し,代替として脂質を摂取する食事であり,近年は糖尿病や肥満の食事療法として注目されている.本稿では,マウスにおけるKD誘導性の筋萎縮と,絶食や加齢による筋萎縮との共通点・相違点について紹介する.

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可視化することでわかってきた細胞膜のスフィンゴミエリンの動態と分布Visualization of sphingomyelin reveals the dynamics and distribution of the lipid in the plasma membrane

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940735

「蛍光アナログ」を用いたスフィンゴミエリンの動態解析,「脂質結合タンパク質」を用いたスフィンゴミエリンの分布解析,「蛍光アナログ」と「脂質結合タンパク質」を用いることで同定されたスフィンゴミエリンのflipに関わる因子について,概説する.

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リボソームの触手による翻訳因子の収集機構Recruitment of translation factors by the tentacles of ribosomes

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940739

リボソームは翻訳の各段階で“翻訳因子”と呼ばれるさまざまなリボソーム結合タンパク質との動的な結合と解離を繰り返す.本稿では,高速原子間力顕微鏡(高速AFM)により明らかとなったリボソームの触手タンパク質(Pストーク)による翻訳因子の収集機構を紹介する.

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スフィンゴシン1-リン酸受容体の構造解析から明らかとなりつつある受容体活性化機構とシグナル伝達Structural insights into activation and signal transduction of sphingosine-1-phosphate receptors

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940743

スフィンゴシン1-リン酸(S1P)はその受容体を介して,免疫・血管系を制御するリゾリン脂質である.近年,多くのS1P受容体の構造が報告されてきた.本稿では,それらの構造から明らかになったS1P受容体によるシグナル伝達機構について概説する.

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死細胞由来分子群による腫瘍免疫微小環境の調節機構Orchestration of tumor immune microenvironment by dead-cell derived molecules

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940749

がんに対する免疫応答を制御する分子として,がん死細胞から放出される分子が注目されている.本稿では筆者らが新規に同定したがん死細胞由来分子であるTCTPによる,骨髄由来免疫抑制細胞を介した抗腫瘍免疫抑制機構を解説する.

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グアニン四重鎖構造が誘起するヒストン/DNA液–液相分離Liquid–liquid phase separation of histone/DNA induced by G-quadruplex structure

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940754

最近,DNAと核内タンパク質の液‒液相分離(LLPS)が,クロマチンの動的な凝縮を制御している可能性が指摘されている.本稿では,がんや細胞寿命において重要な役割を担うグアニン四重鎖DNAとヒストンLLPSの関わりを解説する.

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CD44/COL17A1経路はがん原性変異により引き起こされる多層上皮構造の形成を促進させるThe CD44/COL17A1 pathway promotes the formation of multilayered, transformed epithelia

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940759

単層上皮細胞のがん化の初期段階で多層化現象が起こることは広く知られているが,その分子メカニズムは,多くが謎として残されていた.本稿ではCollagen17A1とCD44の多層化現象での役割と,がん化における多層上皮構造形成に関して概説する.

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テクニカルノートTechnical note

一分子定量法に基づいたRNAの全自動迅速検出装置の開発と感染症診断への展開Development of an automated platform for rapid RNA detection at the single molecule level and its application to the diagnosis of infectious diseases

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940764

CRISPR-Cas13aとマイクロチップによる一分子定量法を組み合わせた「RNAの全自動迅速検出装置(opn-SATORI装置)」の開発と新型コロナウイルス感染症診断への応用展開について紹介する.

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シグナル残存型マイトファジープローブ—mito-SRAI—Mitophagy probe—mito-SRAI—

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940770

マイトファジーは障害ミトコンドリアを選択的に分解除去してミトコンドリアの品質を管理し,細胞や生体の恒常性維持に寄与している.本稿では,マイトファジーを可視化検出するmito-SRAIのデザインと作動原理について解説する.

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