Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(2): 143-151 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960143

特集Special Review

硫酸化修飾が制御するコンホメーション病におけるグリコサミノグリカンの病態機能Pathological roles of glycosaminoglycans in conformational diseases regulated by sulfation modifications

1和歌山県立医科大学医学部生化学講座Department of Biochemistry, School of Medicine, Wakayama Medical University ◇ 〒641–8509 和歌山県和歌山市紀三井寺811–1 ◇ 811–1 Kimiidera, Wakayama 641–8509, Japan

2フランス国立科学研究センター・リール大学糖鎖生物学構造機能研究所Unité de Glycobiologie Structurale et Fonctionnelle, CNRS, UMR 8576, Université de Lille ◇ 〒59655 ヴィルヌーブダスク メンドレーウヴ通りC9棟(フランス) ◇ Bat C9, Avenue Mendeleiev 59655 Villeneuve-d’Ascq, France

発行日:2024年4月25日Published: April 25, 2024
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コンホメーション病は,ミスフォールディングしたタンパク質が形成する凝集体の細胞内外における沈着を要因とする疾患の総称であり,神経変性疾患やアミロイドーシスが代表的なものである.タンパク質は試験管内では単独で凝集するが,生体内におけるタンパク質凝集体の沈着物はさまざまなタンパク質性あるいは非タンパク質性成分を含む.硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)はタンパク質凝集体の種類によらず,コンホメーション病で共通する非タンパク質性成分である.GAGはほとんどすべての哺乳類器官に発現するヘテロ多糖であり,その硫酸化修飾の程度とパターンは特異的なGAG-リガンド相互作用の決定要因の一つである.本稿では,コンホメーション病における硫酸化GAGの病態機能について,最近の我々の知見に基づき概説する.

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