Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(2): 175-183 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960175

特集Special Review

糖鎖と小胞体ストレス応答・ゴルジ体ストレス応答Glycosylation and the ER/Golgi stress response

兵庫県立大学大学院理学研究科生体物質化学IIDepartment of Molecular Biochemistry, Graduate School of Science, University of Hyogo ◇ 〒678–1297 兵庫県赤穂郡上郡町光都3–2–1 ◇ 3–2–1 Koto, Kamigori-cho, Ako-gun, Hyogo 678–1297, Japan

発行日:2024年4月25日Published: April 25, 2024
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糖鎖修飾はごく一部を除いて,ほとんどが小胞体とゴルジ体で行われる.異常な糖鎖修飾はがんを含めたさまざまな疾患と関係しており,これを防ぐためにも小胞体やゴルジ体の正常な機能が必要である.小胞体およびゴルジ体には細胞の需要に応じて機能を増強するストレス応答機構が備わっており,機能不足状態(ストレス状態)が感知されるとそのストレスシグナルが核へと伝達され,小胞体ではタンパク質の折りたたみを担うシャペロンや小胞体関連分解(ERAD)因子,ゴルジ体ではゴルジ体構成因子や糖鎖修飾酵素,小胞輸送因子などの発現が誘導される.本稿では,糖鎖修飾機能の不足状態により発動される小胞体・ゴルジ体ストレス応答の活性化機構を中心に概説する.特にプロテオグリカン型やムチン型糖鎖修飾能力を増強するゴルジ体ストレス応答の分子機構については,最近の知見を紹介する.

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