Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(2): 184-191 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960184

特集Special Review

糖鎖模倣ペプチドの取得と腫瘍標的能を利用した治療法への応用Glycan mimetic peptides and their application in the treatment of malignant tumor

京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻分子生命基礎医療科学Department of Biological Chemistry, Human Health Sciences, Graduate School of Medicine, Kyoto University ◇ 〒606–8507 京都府京都市左京区聖護院川原町53 ◇ 53 Kawahara-cho, Shogoin, Sakyo-ku, Kyoto 606–8507, Japan

発行日:2024年4月25日Published: April 25, 2024
HTMLPDFEPUB3

糖鎖構造の化学合成は一般的に困難であり,専門的な知識と技術が必要とされる.一方で,レクチンなどの糖認識分子の阻害において,ペプチドが代替物として利用可能であることは以前より示されている.これまで,ファージディスプレイ法などを用いて糖鎖認識分子に対してスクリーニングを行うことで,糖鎖を模倣するペプチドが取得されてきた.著者が過去に所属していたMichiko N. Fukuda研究室では,セレクチン阻害ペプチドを取得する過程で,偶然にも腫瘍標的能を有するペプチド(IF7)を同定した.IF7ペプチドは,新生血管表面に発現するAnnexin A1(Anxa1)に結合し,腫瘍領域へ蓄積した.本稿では,IF7のがん治療への応用や,より安定なペプチドの開発など,最新の報告を交えて紹介する.

This page was created on 2024-03-19T13:12:52.911+09:00
This page was last modified on 2024-04-18T13:49:11.000+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。