Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(2): 232-240 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960232

総説Review

ミトコンドリア由来小胞,古くて新しい膜輸送Mitochondrial-derived vesicles, the new classical membrane traffic

順天堂大学大学院医学研究科Juntendo University ◇ 〒113–8421 東京都文京区本郷2–1–1 ◇ 2–1–1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113–8421, Japan

発行日:2024年4月25日Published: April 25, 2024
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ミトコンドリアは多彩な機能を持つダイナミックな細胞小器官(オルガネラ)である.分裂や融合,伸長などの形態変化に加え,他のオルガネラとの接着,細胞内局在変化,細胞間移動などその動態も多様である.ミトコンドリアの機能維持において正常な動態制御は必須であるが,それぞれの動態は独立しているわけではなく,連関しながら恒常性が保たれている.ミトコンドリア由来小胞(mitochondrial-derived vesicles:MDVs)はミトコンドリアからカーゴ特異的に形成・放出される小胞で,ペルオキシソームやリソソームなどの細胞内膜構造に輸送される.多くの細菌が細胞外小胞を放出するようにMDVsは進化的にも保存された膜動態であるとも考えられるが,研究報告例も少なく,多くの謎に包まれたままである.本稿では近年徐々に明らかになってきたMDVsの機能や生理的意義について概説する.

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