生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society

追悼Atmosphere

今堀和友先生

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アトモスフィアAtmosphere

「きれいな」生化学:定量的視点へのこだわり

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880437
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総説Review

メカノセンシングにおける細胞骨格,細胞接着の機能Roles of cytoskeletons and cell adhesions in mechano-sensing

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880443

生体を構成する細胞は多様な機械的刺激を受けている.細胞が力学的なシグナルを感知し,応答することは,細胞の形態,運動,増殖,分化の制御や恒常性維持に必須である.細胞のメカノセンシングにおける細胞骨格,細胞接着の役割と制御機構について概説する.

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高分子量タンパク質の動態に迫るNMR技術の開発Recent advances in NMR methods for determining the structures and dynamics of larger proteins

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880452

安定同位体利用NMR技術の高度化により,高分子量のタンパク質,およびタンパク質複合体に関する多彩なNMR構造情報の入手が可能となるとともに,NMR法によってのみ解明できるタンパク質‒薬剤複合体界面の揺らぎの検出等,新たな応用分野が拓ける.

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植物における細胞質分裂の制御機構The molecular mechanism of cytokinesis in plant cells

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880465

植物細胞の細胞質分裂は,主に微小管から成る細胞質分裂装置の中に形成される細胞板の拡大成長により実行される.植物の細胞質分裂に必須の制御系として同定されたMAPキナーゼカスケードの特徴と植物の細胞質分裂における役割を紹介する.

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自然免疫系Toll様受容体の構造生物学的研究Structural studies of Toll-like receptors in innate immunity

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880476

自然免疫において中心的な役割を果たすToll様受容体(Toll-like receptor:TLR)の構造生物学的な研究が進展してきた.本稿では,これまで明らかになったTLRによるリガンド認識とシグナル伝達機構に関して紹介したい.

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みにれびゅうMini Review

DNAリン酸化脱リン酸化酵素PNKPと神経発生におけるゲノム安定性維持機構The role of PNKP in maintenance of genome stability and neural development

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880484

PNKPはDNA修復の際にDNA損傷末端をリン酸化および脱リン酸化する活性を持つDNA修復酵素である.本稿ではマウスを用いた実験系により,PNKPが脳神経の発生時におけるゲノム安定性維持に必須であることを明らかにしたので紹介する.

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ジストログリカン糖鎖の生合成機構と大脳皮質形成における役割Dystroglycan glycosylation: structure, synthetic pathway, and in vivo role in the brain development

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880488

ジストログリカンは,細胞外基質分子と結合し組織構造の維持に寄与する接着分子である.ジストログリカンのリガンド結合活性を担う糖鎖の構造と生合成機構,およびその修飾不全が引き起こす大脳皮質形成異常の発症機序に関する最近の知見を紹介する.

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アポリポタンパク質によるアミロイド線維形成の分子機構Molecular mechanism of amyloid fibril formation by apolipoproteins

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880492

細胞外脂質輸送を制御するアポリポタンパク質群は,可逆的な脂質結合能ゆえに不安定なフォールディング構造を有し,変異や酸化修飾によってアミロイド化を起こしやすい.本稿では,HDLタンパク質アポA-Iによるアミロイド線維形成機構について紹介する.

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グリア細胞によって誘導される虚血耐性Glia-mediated ischemic tolerance

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880497

侵襲的虚血負荷の前に非侵襲的虚血を経験しておくと虚血傷害が劇的に軽減される現象「虚血耐性」は,グリア細胞,特にアストロサイトの活性化が必須であること,その分子メカニズムとしてP2X7/HIF-1α経路が重要であることを明らかとした.

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自閉症関連遺伝子CAPS2の解析Analysis of autism-related gene CAPS2

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880501

“対人関係やコミュニケーション能力の障害”,“興味の限局と反復的で常同的な行動”を特徴とする自閉症には遺伝素因が深く関わっていると考えられている.筆者がこれまでに行ってきたCAPS2遺伝子を中心とした自閉症の遺伝子研究に関して紹介する.

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ペプチドを分子内架橋する新規ラジカルSAM酵素Novel radical SAM enzyme forming intrapeptidyl crosslinks

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880506

ラジカルSAM酵素は鉄硫黄クラスターにより生成した5-デオキシアデノシルラジカルを利用して各種の難化学反応を触媒する.本稿ではその特徴について概説するとともに,ペプチドを分子内架橋する新規ラジカルSAM酵素に関する研究成果を紹介する.

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膜結合型ムチンを介したシグナル伝達による腫瘍悪性化Tumor progression through membrane-bound mucin-mediated signaling

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880511

MUC1は上皮組織に普遍的に発現する膜結合型ムチンであり,腫瘍の悪性化に関与するとされてきた.その分子的背景について,MUC1へのレクチンの結合により惹起されたシグナルが,腫瘍の悪性化をもたらす新規な機構を明らかにした.

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上皮膜輸送機能制御における細胞骨格系アダプタータンパク質エズリンの役割Functional roles of ezrin, a cytoskeletal adaptor protein in the regulation of epithelial transport

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880517

上皮細胞はトランスポーターやチャネルなどのタンパク質を介してさまざまな物質の吸収や排泄を行っている.本稿では膜輸送体分子の機能・局在制御に関わる足場タンパク質の一種であるエズリンの生体内における役割について紹介する.

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核内ボディによる転写制御機構Transcriptional regulation by nuclear body

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880521

核内にはクロマチンに加え,タンパク質やRNAから構成される核内ボディが存在する.近年,核内ボディの機能の一つに,遺伝子転写制御が示唆されている.本稿では核小体やPMLボディを例にあげ,核内ボディによる転写制御について概説する.

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HIV-Envを介した膜融合の時空間制御機構研究の動向とその動的解析のためのレポーターの開発Trends in research for spatio-temporal regulatory mechanism of HIV-Env-mediated membrane fusion & development of a reporter for analysis of the membrane fusion dynamics

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880525

HIVの侵入には,HIV外被タンパク質Envを介した膜融合を伴う.近年,膜融合の発生箇所およびタイミングの多様性が明らかになってきた.本稿では複雑化する最新の研究動向と,動的側面の理解のために筆者らが開発した方法論を概説する.

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魚類皮膚粘液レクチンの多様な世界Diversity of fish skin mucus lectins

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880529

環境水と接する魚類の皮膚は,水中に多量に存在する細菌に対する生体防御においてきわめて重要な役割を担っている.魚類の皮膚粘液にはさまざまな種類のレクチンが存在しており,体表の重要な防御因子として機能している.そのいくつかを紹介する.

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低温電子顕微鏡法を用いた単粒子解析の最近の進展と膜タンパク質への応用Recent advances of single particle analysis by cryo-electron microscopy and its application to membrane proteins

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880532

最近,単粒子解析法により,生体高分子複合体などの立体構造が原子モデルを決定できる分解能で解析できるようになった.そこで,本稿では,高分解能解析が可能となった背景を概説する.また試料調製法や,特に膜タンパク質への応用について述べる.

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