Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 91(3): 355-368 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910355

総説Review

ケミカルによる生命の謎への挑戦Challenging a mystery of life using physiologically active chemicals

東京医科大学ナノ粒子先端医学応用講座Tokyo Medical University Department of Nanoparticle Translational Research ◇ 〒160–8402 東京都新宿区新宿6–1–1 ◇ 6–1–1 Shinjuku, Shinjuku-ku, Tokyo 160–8402

発行日:2019年6月25日Published: June 25, 2019
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我々はアフィニティビーズ技術を開発し,DNA結合性転写因子の研究から派生して,転写伸長ブレーキ因子DSIFとNELFによるPol IIの転写伸長停止と,キナーゼP-TEFbによる伸長停止の解除・再開機構および試薬DRBによる転写伸長阻害機構を明らかにした.今日,伸長停止・再開反応はPol IIの転写律速段階であると認められている.次に,サリドマイド催奇形性のターゲットとしてセレブロン(CRBN)をビーズ技術で発見し,CRBNがサリドマイドやその誘導体の抗がん作用のターゲットでもあることと,その作用機構を明らかにした.さらに,機構解明が基盤となり,サリドマイドやその誘導体から,二つのタイプの新規薬剤,CRBN modulatorsおよびCRBN-based PROTACs/degradersが開発され,転写伸長をターゲットとした創薬が開発されている.以上は,「優れた基礎研究は必ず応用研究に展開し,優れた応用研究は新たな基礎研究を生み出す」を実践してきた成果である.

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