生化学誌が創刊100周年を迎えるにあたり,2014年からの2年間に会長を務めた中西が卒業研究~ポスドク~大学教員~退職までの40年あまりの期間にわたる生化学会との関わりを思い返します.
着床は胚と子宮内膜が出会う最初のステップであり,その後の妊娠予後を左右する重要な過程である.本稿ではリゾホスファチジン酸やプロスタグランジンといった脂質シグナルに着目し,着床の分子機構を説明する.
著者らは,小分子からタンパク質,細胞,細胞外小胞(EV)まで幅広い分子システムを”いじり倒し”,標的細胞の可視化,殺傷,操作を可能とするケミカルバイオロジー・合成生物学研究に取り組んでいる.本稿では,その概要を紹介する.
鉄依存性細胞死であるフェロトーシスは,がんや神経変性疾患などさまざまな疾患との関連から精力的に解析されている.本稿では急速に解明が進んでいるフェロトーシスの分子機構,また疾患との関連についても概説する.
微生物由来セリンパルミトイル転移酵素はスフィンゴ脂質生合成経路の初発酵素として知られ,L-セリン以外のさまざまなアミノ酸も基質として代謝できる.種々のアミノ酸との複合体結晶についてX線結晶解析による構造生物学的研究の結果を紹介する.
これまで輸送小胞が正しい標的まで到達する原理は十分に理解されていなかった.筆者らは,再構成した人工輸送小胞の機能を細胞内で解析することによって,小胞輸送の特異性を決める新たな分子メカニズムを明らかにしてきた.本稿ではその成果を紹介する.
イントロン内にコードされたテロメラーゼRNAが,世代を超えたテロメアDNA維持と種の存続を保証する.
一次繊毛膜のコレステロールは,ポリシスチン複合体の局在と機能を規定し,その異常は多発性嚢胞腎の発症に直結する.本稿では,ペルオキシソームによる繊毛膜コレステロール供給機構と,その破綻がもたらす新たな分子病態像を概説する.
代謝‒エピゲノム連関の観点からSASP制御を概説する.特にクエン酸代謝酵素ACLY(ATP-citrate lyase)が炎症性SASPを選択的に駆動するという我々の知見を中心に述べる.
R-loopはRNA:DNAハイブリッドからなる核酸構造で,遺伝子発現制御やゲノム安定性維持に関与する.本稿では,hTERTのRdRP活性による新規R-loop制御機構とその生物学的意義について解説する.
神経変性疾患脳に蓄積するミスフォールドしたTau,α-synuclein,TDP-43は,疾患特徴的な構造生化学的特性を呈する.近年クライオ電子顕微鏡解析により,疾患を定義する線維コア構造が明らかとなり,構造多型の存在が実証された.
独自設計したTau由来ペプチドを用いて,ダブレット微小管等の微小管超構造体を人工構築した.四量体タンパク質への融合による超構造体の形成や光制御,ペプチドのみでの超構造体の構築を達成した.超構造体の生体機能の解明や材料・生体応用が期待される.
がん細胞は環境に応じ代謝を変化させ,薬剤耐性に代謝リモデリングが関与する.トリプルネガティブ乳がんのパクリタキセル耐性細胞では,糖代謝酵素のアルギニンメチル化によりセリン合成系と脂肪酸合成が活性化するため,メチル化制御は重要な治療戦略となる.
放線菌の二次代謝産物にみられるシクロプロパン構造の新たな生合成戦略としてニトロ基を起点とした新規シクロプロパン形成反応を見いだした.分光学的解析や結晶構造解析から,基質の配座制御がひずみが大きい三員環形成に重要であることを明らかにした.
ミトコンドリアはエネルギー産生をつかさどる装置としてのみではなく,細胞のストレス障害へ善処するための司令塔としても機能することが明らかになってきた.本稿では,ミトコンドリアストレスへの応答に関わるOMA1プロテアーゼの基質探索を紹介する.
RubiconはWIPI2およびWIPI3をエンドソームへ誘導し,ESCRT依存的なエクソソーム分泌を促進する.加齢によって増加したRubiconは老化関連microRNAをエクソソームにより周囲へ運ぶことで,細胞老化の伝播を促進する.
膜局在によりRasを活性化するGDP/GTP交換因子SOSに着目し,このRasの活性化過程について,相互作用を検出したい標的タンパク質を用いて模倣することで,偽陽性・偽陰性の少ない細胞内タンパク質間相互作用検出系SOLISを開発した.
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