Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(6): 795-804 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960795

特集Special Review

多様なエンジニアリング戦略によって広がる人工mRNAの可能性Synthetic mRNADiverse engineering strategies

1京都大学iPS細胞研究所Center for iPS Cell Research and Application, Kyoto University ◇ 〒606–8507 京都府京都市左京区聖護院川原町53 ◇ 53 Kawahara-cho, Shogoin, Sakyo-ku, Kyoto 606–8507, Japan

2東京大学定量生命科学研究所Institute for Quantitative Biosciences, The University of Tokyo ◇ 〒113–0032 東京都文京区弥生1–1–1 ◇ 1–1–1 Yayoi, Bunkyo-ku, Tokyo 113–0032, Japan

発行日:2024年12月25日Published: December 25, 2024
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新型コロナウイルスワクチンの実用化により人工mRNAが大きな注目を集めている.設計が容易でゲノムに組み込まれる恐れがないなど,多くの利点を持つ人工mRNAは,感染症に対するワクチンのみならず,がんワクチンや遺伝子治療,再生医療など幅広い分野での利用が期待されている.しかし,安定性の低さやタンパク質発現強度の不足といった解決すべき課題も依然として多く存在する.現在,それらの問題に対応するため,さまざまなアプローチによる人工mRNAの改変が研究されている.最近では,環状や分岐状といった,天然のmRNAとは異なる構造を持つ人工mRNAも登場している.本稿では,こうした多様な人工mRNAエンジニアリングの現状を概観する.

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