腸内細菌によるフルクタンの分解戦略Degradation strategies of fructan by intestinal bacteria
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発行日:2025年10月25日Published: October 25, 2025
フルクタンは,イヌリンやレバンなどの植物・微生物由来の多糖であり,プレバイオティクス効果を示す水溶性食物繊維として商業的に利用されている.近年,ビフィズス菌やバクテロイデス属細菌によるフルクタン分解酵素の機能解析が進展し,分解代謝系の解明だけでなく,腸内細菌間の共生関係の一端も明らかになりつつある.ビフィズス菌はフラクトオリゴ糖に高い資化性を示し,一部の菌株は低分子イヌリンの分解・代謝にも適応している.一方,バクテロイデス属細菌は,イヌリンとレバンに対応した遺伝子座による分解機構と輸送系を持ち,高分子フルクタンの分解・代謝に適応している.本稿では,フルクタンの合成と分解に関わる酵素の解説に加え,さまざまな腸内細菌の分解代謝経路の解析から見えてきた多様なフルクタン分解戦略を概説する.
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