Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 98(4): 572-583 (2026)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2026.980572

総説Review

ヘルパーT細胞サブセットの脂質代謝制御による機能分化Functional differentiation of helper T cell subset via the regulation of lipid metabolism

かずさDNA研究所オミックス医科学研究室Laboratory of Medical Omics Research, KAZUSA DNA Research Institute ◇ 〒292–0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2–6–7 ◇ 2–6–7 Kazusa Kamatari, Kisarazu, Chiba 292–0818, Japan

発行日:2026年8月25日Published: August 25, 2026
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近年,脂肪組織においてのみならずがんや炎症病態などの疾患局所においても代謝–免疫システムのクロストークの重要性が明らかとなっている.この免疫と代謝の複合研究領域から,代謝経路や代謝産物が免疫細胞の分化・機能など多くの側面を制御していることが明らかになりつつある.特に,T細胞はその増殖,活性化,エフェクター機能に関連したエネルギー要求を満たすために,分化の過程で代謝の特性を大きく切り替える.また,数ある代謝物の中でも脂質は,急速に増殖する細胞にとって必須の代謝産物であることが知られている.たとえば,抗原刺激によるエフェクターT細胞の増殖と分化には,脂肪酸の生合成と取り込みの両方が必要であるが,記憶T細胞の形成および制御性T細胞の分化には,脂肪酸β酸化が重要である.本稿では,異なる分化段階にあるT細胞の脂質代謝の重要性についてはじめに概要を論じ,これらの細胞における脂肪酸代謝がどのようにその特異的機能を制御しているかについて最新の知見を交えて解説する.

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