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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
SEIKAGAKU: Journal of Japanese Biochemical Society 87(1): 7-15 (2015)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870007

特集「核‒細胞質間分子輸送システム:基本分子メカニズムの理解とその応用」Special Review

インポーティンβファミリータンパク質が媒介する核–細胞質間輸送Nucleocytoplasmic transport mediated by importin-β family members

独立行政法人理化学研究所今本細胞核機能研究室Cellular Dynamics Laboratory, RIKEN ◇ 〒351-0198 埼玉県和光市広沢2-12-1 Hirosawa, Wako-shi, Saitama 351-0198, Japan

発行日:2015年2月25日Published: February 25, 2015
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核あるいは細胞質で機能するタンパク質やRNAの選択は,細胞分化や環境応答などの細胞活動を大きく決定する.ヒトに20種,出芽酵母に14種存在するインポーティンβファミリー輸送因子は,核–細胞質間に並列な輸送経路を構成し,それぞれ特定のグループのタンパク質やRNAを分担して運搬している.さまざまな細胞活動の中で,輸送因子の発現制御や修飾,阻害因子の結合などにより輸送が調節され,特定のタンパク質やRNAの核–細胞質間局在の変化によりさまざまな細胞内反応が誘導される.また,輸送経路の実験的な阻害による細胞活動への影響は多様であり,個々の輸送経路はそれぞれ異なる細胞過程に関与している.そして,核–細胞質間輸送の異常は疾患の発症と相関する.生命現象における核–細胞質間輸送の調節の重要性が注目され始めた.

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