Ras-PI3Kシグナルによるエンドサイトーシスとウイルス粒子取り込みの制御機構
北海道大学大学院医学研究科細胞生理学分野 ◇ 〒060-8638 北海道札幌市北区北15条西7丁目
発行日:2015年2月25日
低分子量Gタンパク質Rasは標的因子群を巧妙に使い分けることで多彩な機能を発揮する.この使い分けには「いつ,どこで」活性化するかという時空間的制御が重要である.Rasは細胞膜のみに局在すると考えられてきたが,細胞膜以外の細胞小器官(オルガネラ)膜にも局在し,かつそれぞれの局在部位での活性は特異的な機構によって制御されていることがわかってきた.また,下流因子の活性化にも細胞小器官特異性があり,たとえばエンドソームではPI3KのみがRasにより活性化される.エンドソームから発信されるRas-PI3Kシグナルはエンドサイトーシスを促進し,インフルエンザウイルス等の外来因子取り込みに関与する.インフルエンザウイルスは宿主細胞に効率的に取り込まれるために,細胞内Ca2+濃度上昇を介してRas-PI3Kシグナルをはじめとした複数のエンドサイトーシス関連シグナルを活性化する.
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