生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
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Journal of Japanese Biochemical Society 87(2): 188-193 (2015)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870188

総説Review

閉鎖循環系内部を抗血栓,抗炎症に保つ分子トロンボモジュリンの構造と機能Structure and function of Thrombomodulin, a molecule which expressed on the endothelial cell surface and acts as anti-thrombogenic and antiinflammatory in the closed circulatory system

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科システム血栓制御学講座Department of Systems Biology in Thromboregulation, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kaogoshima University ◇ 〒890-8544 鹿児島県鹿児島市桜ヶ丘8丁目35-18-35-1 Sakuragaoka, Kagoshima-shi, Kagoshima 890-8544, Japan

発行日:2015年4月25日Published: April 25, 2015
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トロンボモジュリン(TM)は血管内皮細胞上でトロンビンを凝固酵素から抗凝固酵素へと変換する膜タンパク質分子として同定された.すなわち凝固カスケードの最終酵素トロンビンは高い親和性でTMと結合する.するとこのTM上のトロンビンはフィブリン形成能や第Ⅴ,Ⅷ因子,血小板活性化能を失い,逆にプロテインC(PC)活性化能が~2000倍強まる.活性化PC(APC)は活性型の第Ⅴ(F.Va),Ⅷ因子(F.VIIIa)を分解し,凝固反応を制御する.しかしその後の研究で,TMは凝固制御のみならず,抗炎症活性も持つことが明らかとなってきた.すなわちTMは代表的DAMPsであるHMGB1や,ヒストン,代表的PAMPsであるLPS(リポポリサッカライド)をも吸着中和して,閉鎖循環系内部を血栓と炎症から防護する多機能性のタンパク質であることが判明してきた.すでに本邦では遺伝子組換え体TM(rTM)は,播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療薬として使用されており,著効を呈することが検証されつつあるが(米国では第3相治験中),それはTMの持つ抗凝固作用のみならず,抗炎症作用にもよることが示されつつある.本稿では,このTMの構造と多面的機能,そして臨床成績の一端を紹介する.

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