セリンパルミトイル転移酵素の反応制御機構―変異酵素の副反応から明らかになった立体化学的反応制御
大阪医科大学医学部医学科生命科学講座生化学教室 ◇ 〒569-8686 大阪府高槻市大学町2番7号
発行日:2015年6月25日
酵素は各々に特有のタンパク質構造が機能することで化学反応を精密に制御しており,通常の条件下では抑制されている副反応が検出されることはほとんどない.酵素機能において触媒活性発現と副反応抑制は「車の両輪」であり,両機構の解明は酵素反応制御を真に理解する上で不可欠である.さらに,酵素反応は律速段階のみで制御されるのではない.残存活性の確認にとどまる部位特異的変異解析では,「変異による活性消失が認められないことから触媒性残基ではない」とされ,非律速段階を制御するアミノ酸残基の役割を見いだすことは難しい.スフィンゴ脂質生合成の初発酵素であるセリンパルミトイル転移酵素において,変異型酵素でようやく表に現れた副反応を反応速度論的に詳細に解析することで,副反応抑制と特異的反応進行がたった一つのヒスチジン残基によって達成されていることが明らかとなった.
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