脱リン酸化酵素PP6は,皮膚がん抑制遺伝子である―発がんプロモーターオカダ酸の標的:25年目のミッシングピースの検証
1 宮城県立がんセンター研究所 ◇ 〒981-1293 宮城県名取市愛島塩手字野田山47番地1
2 奈良女子大学研究院自然科学系生物科学領域 ◇ 〒630-8506 奈良県奈良市北魚屋東町
最近の大規模遺伝子解析から,オカダ酸感受性プロテインホスファターゼの一つPP6の機能喪失変異ががん組織に見いだされることから,PP6ががん抑制遺伝子の候補として注目され始めた.我々は,皮膚特異的PP6機能喪失マウスを作製し,PP6ががん抑制遺伝子として働くか否かを検証した.PP6の機能が喪失すると,2段階発がん実験での腫瘍の形成時期が大幅に早まること,さらには,イニシエーターのみで(プロモーターなしで!)も皮膚腫瘍が早期に生じることを明らかにした.これらの実験は,25年間不明であった「腫瘍プロモーター,オカダ酸の作用標的はなにか?」に対して一つの答えを出したものであり,PP6が新規皮膚がん抑制遺伝子であることが明らかになった.
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化学物質を用いたマウス皮膚の2段階発がん実験は,イニシエーションとプロモーションにより腫瘍を形成するモデルである1).腫瘍の成長を視覚的に確認することができる点や,皮膚に化学物質を塗布する手技が容易であるため,多用されてきた(図1).このモデルでは,イニシエーターを単回投与した皮膚に,プロモーターを反復投与することによりパピローマ(乳頭腫)が形成される.一方で,イニシエーター単回投与のみ,あるいはプロモーター反復投与のみでは腫瘍は形成されない.イニシエーターとして使われる化合物は遺伝的変化をもたらすものであり,代表的なものにはDMBA(7,12-dimetylbenz[a]anthracene)がある.プロモーターは,イニシエートされた細胞を,クローン増殖させる化合物である.代表的な化合物として,プロテインキナーゼC(PKC)を活性化させる働きを持つTPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)や,テレオシジン等がある1)(図2).1988年に,藤木博太博士らは,TPAと同等に強力な発がんプロモーション活性を持つ物質としてオカダ酸を同定した2,3).それとほぼ同時期に,高井章博士らは,オカダ酸がプロテインホスファターゼ(PP1およびPP2A)の強力な阻害剤であることを報告した4).この二つの発表は,驚きをもって迎えられた.それは,オカダ酸がTPAとはまったく異なるメカニズムで腫瘍のプロモーションをしていることであり,さらには,脱リン酸化の異常ががん化を密接に関連することを示す初めての報告であったからである.次に,藤木らは,オカダ酸による発がんプロモーター作用が,細胞内プロモーターTNF-α(tumor necrosis factor-α)を介することを明らかにした5)
.しかしながら,オカダ酸に感受性を示すプロテインホスファターゼとして,現在のところ,PP1,PP2A,PP4,PP5,PP6が知られているが,そのうちどの分子種が,2段階発がんのどのステップに,いかに関与しているのかについて,ほとんどわかっていない.
今回,我々が注目したPP6は,PP2A,PP4およびPP6からなる,PP2Aサブファミリーに分類される6,7).触媒サブユニットのPpp6c,調節サブユニットのARS(ankyrin-repeat subunit)とSAPS(Sit4p-associated proteins subunit)の三つのサブユニットから成り立っている.PP6の触媒サブユニットをコードしているPpp6c遺伝子は,酵母からヒトに至るまで広く保存されている.これまで酵母や線虫の機能解析により,Ppp6cは細胞周期のチェックポイントに働いていることが報告されている6,7).また,哺乳類培養細胞を用いた研究より,Ppp6cはDNA修復,染色体分離,NF-κBシグナル制御などがんの要因に関連することが示唆されているが,これらの報告は主に培養細胞レベルでのsiRNAによるノックダウンの実験である6,7).これまでPpp6c遺伝子を欠くマウス個体は作製されておらず,個体レベルでもPP6の機能に関してはほとんどわかっていない.
近年,二つの主要な研究(Hodisら,Krauthammerら)により,B-rafまたはN-ras変異を保有する悪性黒色腫患者の約10%にPpp6cをコードする遺伝子に変異があることが報告された8,9)
.さらに,Hammondらは,悪性黒色腫に見いだされるPpp6c変異はPpp6cタンパク質の分解を引き起こすこと,PP6のノックダウンにより染色体不安定性やAurora-Aキナ-ゼを活性化することを報告している10).これらは,つまりB-rafまたはN-ras変異の条件下で,Ppp6c変異による機能消失が腫瘍形成に関わっており,Ppp6cが悪性黒色腫のがん抑制遺伝子である可能性を示唆している.
そこで,我々は,PP6の機能と発がんとの関係を明らかにするため,皮膚特異的に誘導欠損可能なコンディショナルノックアウトマウス(K14-CreERtam;Ppp6cflox/flox)を作製し,DMBA/TPAによる2段階発がん実験を行い,PP6ががん抑制遺伝子であることを初めて証明した11)
.
当初は,Ppp6cヌルマウスを作製し,それを用いて皮膚2段階発がん実験を行うことを考えたが,Ppp6cヌルマウスは胎生致死であった(小河ら,投稿中).そこで,皮膚特異的にPpp6cを欠損させ,実験に供することを考えた.Ppp6cflox/floxマウス(Ppp6cのホスファターゼ活性に必須なアミノ酸をコードするエキソン4がloxP部位にはさみ込まれている)とK14-CreERtamマウスを掛け合わせて,K14-CreERtam;Ppp6cflox/floxマウスを作製した11)
.ケラチンK14は,表皮の基底細胞に発現するので,K14-CreERtamシステムでは,K14プロモーターにより,CreERtamは,表皮の基底細胞に発現する.また,CreERtamは4-ヒドロキシタモキシフェン(4HT)投与により核へ移動し活性化され,loxPにはさみ込まれた部位を欠損させることが可能となる(図3).
(上)Ppp6cゲノムの構造.Ppp6cの活性中心である領域を含むエキソン4をはさみ込むようにloxPを配置したターゲティングベクターを作製した.CreERtam発現ケラチノサイトにおいて,4HT投与により活性化されたCreERtamは,loxP部位で組換えを起こし,エキソン4を欠失させる.(下)K14-CreERtam;Ppp6cflox/floxマウスの背中の皮膚を剃毛し,4-ヒドロキシタモキシフェン(4HT)を塗布し,ケラチノサイト特異的に欠損させたマウスを作製した.コントロールとして4HTを溶かした溶媒のみを塗布した.
本システムにより,実際にPpp6cのエキソン4を欠損させることができるか確認するため,4HTを皮膚に塗布し,K14発現ケラチノサイトにおけるPpp6cのエキソン4欠損状況を調べた.K14-CreERtam;Ppp6cflox/floxマウスの背部に4HTを5日間連続投与し,その皮膚からケラチノサイトを精製した.PCRにより得られたfloxアレルと欠損アレルの比により,5日間の4HT投与により,ケラチノサイトにおいてfloxアレルの約7割がエキソン4を欠損することがわかった.
Ppp6c欠損による発がんへの影響を,皮膚2段階発がん実験で調べた.実験には6~7週齢のK14-CreERtam;Ppp6cflox/floxマウスを用いた.あらかじめ4HTで前処理し,ケラチノサイトからPpp6cを欠損させたマウスと,4HT無処理のコントロールマウスを用いた(図4).コントロールマウスでは,15週後にパピローマの形成が認められた.その一方で,Ppp6c欠損マウスではパピローマ形成が著しく早くなり,5週目から認められるようになった.この結果より,DMBA/TPA 2段階発がん実験において,Ppp6c欠損が腫瘍発生を著しく促進させることが示された.次の興味としては,プロモーターとして,プロテインホスファターゼの阻害剤であるオカダ酸を用いたときはどうなるか?であった.そこで,Ppp6c欠損マウスを用いて,DMBA/オカダ酸2段階発がん実験を行った.この場合も腫瘍発生の著しい促進が認められ,その程度はDMBA/TPA 2段階発がん実験でのそれと同程度であった.したがって,2段階発がん実験において,TPAとオカダ酸というまったく機構の異なるプロモーターを用いても,Ppp6c欠損はパピローマの腫瘍発生の形成を早めることがわかった.
続いて,化合物発がんプロモーターを使用しないで実験を行うことにした.すると驚いたことに,Ppp6c機能欠損皮膚においては,DMBA単回投与のみでパピローマ発生が認められた.このことは,Ppp6cの機能消失状態では,腫瘍形成には必須と考えられていた化合物発がんプロモーターの反復投与が不要であることを意味する.興味深いことにコントロールマウスではDMBA/TPAによるパピローマ発生が15~16週であったのに対し(図4),Ppp6cを欠損させたマウスでは,DMBAの投与のみでも5週後にパピローマが発生した(図5).これらは,Ppp6c欠損の腫瘍プロモーション作用が,TPAやオカダ酸による腫瘍プロモーション作用に比べてはるかに強力であることを示している.
(上)DMBA処理のみによる発がん実験スケジュール.図4と同様にケラチノサイト特異的にPpp6c欠損を欠損させたマウスおよびコントロールを作製し,それらマウスにDMBA(100 mg)を一度投与した.(B)DMBAによる腫瘍形成.DMBA単回投与によりパピローマの発生したマウスの割合(%)を示す.(C)できたパピローマ.(D)パピローマの染色図.
DMBAの投与は,H-rasのコドン61番におけるCAA(グルタミン)からCTA(ロイシン)への遺伝子変異を起こすことが報告されている1).そこで,Ppp6cの機能欠損マウスに発生したパピローマの遺伝子解析を行ったところ,エキソン4の欠損とH-rasのコドン61番の遺伝子変異が認められた.次に,各群の腫瘍における各種遺伝子発現を調べた.Growth-regulated oncogene α(GROα)は,ケラチノサイトの増殖と成長を促進する作用を持ち,rasによって制御されていることが明らかとなっている重要なケモカインの一つである12).これらの腫瘍中では,正常な皮膚に比べてGROαの発現が著しく高値となっていた.さらに,細胞増殖のマーカーの一つであるcyclin D1もまた,正常な皮膚に比べて高値となっていた.これらの結果は,Ppp6cの機能が欠損し,H-rasのコドン61番の遺伝子変異を持つケラチノサイトが増殖優位性を得て腫瘍を形成していることを示している.
Hodisら8)は,悪性黒色腫の全エキソンシークエンスの結果より,「Ppp6cのloss of functionが,変異B-rafまたは変異N-ras遺伝子によるがん発生をさらにドライブさせる」という仮説を提唱したが,我々の研究結果は,これらの仮説を支持するものと考える.GROαは好中球を遊走させることで炎症を引き起こし,血管新生を促進することで腫瘍の成長を加速させることが報告されている13).Ppp6c機能欠損ケラチノサイト由来のパピローマにおいて,長期間にわたりGROαやcyclin D1が顕著に上昇し続けることが,さらなる腫瘍の増大に働くと考えられる.
Ppp6c機能欠損皮膚中におけるDMBAの影響をより詳細に検討するために,DMBA塗布後の組織学的な観察を行った(図6).DMBA投与48時間後,Ppp6cの機能が欠損した皮膚では,①表皮の肥厚,②真皮への細胞浸潤,③皮下組織への細胞浸潤がみられ,増殖性所見と炎症性の所見が認められた(図7).
DMBA塗布後48時間後の皮膚変化.6週齢の4HT(+),4HT(−)マウスへDMBAを塗布し,DMBA塗布前の皮膚と塗布後48時間の皮膚のHE染色を行った.実験に用いられた皮膚組織はホルマリン固定後にパラフィン包埋し,ヘマトキシリン–エオジン(HE)染色を行った.観察にはオリンパスBX53顕微鏡を用いた.
Ppp6c機能欠損が,DMBAに起因する増殖や炎症とどのように関わっているのか検討するため,皮膚組織中の増殖および炎症と関連する遺伝子について検討を行った.まずDMBA/TPAによる2段階発がんに必須とされているサイトカインTNF-αの遺伝子発現を調べた結果,DMBA処理により6時間および24時間でコントロールおよびPpp6c欠損組織において同程度のTNF-αの上昇が認められた.
炎症は,腫瘍のプロモ-ション/プログレッション作用を促進させることが報告されている14).Ppp6c欠損組織において,大きく三つのグループに分類される炎症・増殖関連遺伝子の発現がコントロールより上昇する傾向にあることがわかった(図8).
6週齢のK14-CreERtam;Ppp6cflox/floxマウスに対して,4HTで前処置をした群4HT(+)としない群4HT(−)を準備し,それらにDMBA塗布を行った.DMBA塗布後,6,24,48時間後の時点で皮膚を回収し,遺伝子mRNAの発現を定量的PCRで測定した.DMBA投与により発現上昇が認められ,かつその上昇がPpp6cの機能欠損で亢進している遺伝子名を記す.
①前炎症性サイトカインであるIL-1βやIL-6の発現は,Ppp6c機能欠損皮膚において著しく上昇していた.IL-1βは急性炎症時に単球やマクロファージから放出され,IL-6の発現を上昇させることが知られている15).また,IL-1βと同じファミリーであるIL-1αは,真皮への好中球浸潤を引き起こすことが報告されている15).したがって,Ppp6cの機能が欠損している皮膚において,IL-1β,IL-6の発現が上昇し,著しい炎症が起こることでプロモーションを促進すると考える.
②炎症関連遺伝子であるGM-CSF,GROα,MMP-3の発現も上昇していた.白血球の成長と生存を促すGM-CSFと,細胞浸潤を活性化させる働きを持つMMP-3による炎症性微小環境の構築も,早期のパピローマ形成に関与したと考えられる.
③Ppp6c機能欠損皮膚において,DMBA処理後6時間後で,immediate early geneとして知られるc-junとc-fosの遺伝子発現が上昇した.この二つはAP-1の構成因子であり,AP-1を介した増殖シグナルが入っていると考えられる.
DMBA刺激によって前炎症性サイトカインであるTNF-αは6時間後という早期に発現上昇が認められたTNF-αは皮膚2段階発がんに必須のサイトカインとされ5)
,サイトカインシグナルの上流に位置していることから,TNF-αがPpp6c機能欠損ケラチノサイトへ何らかの影響を与えることが想像できた.そのため,Ppp6c機能欠損ケラチノサイトとコントロ-ルケラチノサイトを用いて,TNF-α(250 ng/mL)投与後のNF-κBシグナルへの影響を検討した.NF-κBの活性化をp65/relAのリン酸化を指標として解析した.コントロールケラチノサイトでは,5分から15分後にかけてリン酸化が増加していた.Ppp6c機能が欠損しているケラチノサイトでは,その増加が著しく亢進していた.IL-1βもTNF-α同様にNF-κBシグナルに働くことがわかっていたため,NF-κBへの影響を調べたところ,TNF-α同様にp65/relAのリン酸化が顕著であった.また,その上流のIκBαのリン酸化/分解も顕著に認められた(図9).
これらの結果より,DMBA処理により生じた,TNF-αやIL-1βにより特にPpp6c欠損ケラチノサイトにおいて強くNF-κBが活性化し,その標的タンパク質により,自然免疫,炎症,細胞の生存など16)の経路が亢進すると考えられる.たとえば,細胞の生存シグナルの一つとして,NF-κBは,cyclin D1の発現を上昇させることで細胞増殖を促進させることが報告されている16).本研究では,パピローマ中のcyclin D1の発現が上昇していたことから,この遺伝子発現の上昇が,パピローマ形成促進の一因と考えられる.
2段階発がん実験は,皮膚だけではなく,いろいろな臓器で行われてきた.その中でいわれてきたことは,臓器に応じた発がんプロモーターがあるということである.藤木らは,オカダ酸クラス(オカダ酸およびオカダ酸類似化物)の化合物は,皮膚だけではなく,ラット胃および肝でも,発がんプロモーター活性を示すことを明らかにしている3).すなわち,オカダ酸クラスの発がんプロモーターは多臓器に共通する発がんプロモーター機構であると考えられる.もし,仮にオカダ酸の腫瘍プロモーター活性の鍵がPP6にあるとすると,PP6のがんへの関与が皮膚がんに特異的なこととは考えにくい.実際のところ,現時点のCOSMICデータ(Catalogue of Somatic Mutations in Cancers)において,Ppp6c遺伝子変異は,悪性黒色腫や皮膚がんだけでなく,肺がん,大腸がん,子宮体がんにも見いだされている.そのためさまざまながんでPP6ががん抑制遺伝子として働く可能性がある.現在,その可能性を検証しており,多様な組織でPpp6cの機能欠損と発がんの関係を解析中である.
本研究はイニシエーターとしてDMBAを用いた.また,観察が20週までということもあり,パピローマの発生までしか検討していなかった.本稿ではふれないが,我々は紫外線発がん実験も行っている.この実験では40週まで経過を観察した.このシステムにおいて,コントロールでは紫外線による扁平上皮がんの発生はないが,Ppp6c機能欠損皮膚では高率に扁平上皮がんが発生することを見いだした(加藤・黒沢ら,投稿中).このことは,自然の環境中に存在するものが発がんの原因になるという意味で重要である.発がんのメカニズムには,今回示した炎症性変化よりも,DNA修復異常が関係していることがわかっている(加藤・黒沢ら,投稿中).
4節に示したように,H-ras変異を持つ細胞に対して,Ppp6c機能欠損状態は強力なプロモーター作用を示し,急速にクローン増殖を促す.これは悪性黒色腫の検討から導かれた仮説「B-rafやN-rasの遺伝子変異により生じる悪性黒色腫において,Ppp6cの機能欠損がドライバーとして働く」を強くサポートするものでもある.Ppp6cの機能欠損というのは,おそらくヒトの腫瘍形成にかなり強力に働くことが考えられる.腫瘍によっては,非常に早いスピードで発育するものがあり,現在,この件についても検討を加えている.
以上,オカダ酸の発がんプロモーター活性の標的を検証する仮定で,PP6の存在が大きく浮かび上がってきた.PP6の欠損があると,紫外線による発がんが誘導されることから,PP6の発現ががん体質と関連する可能性がある.このことは予防の観点からも重要であろう.また,PP6の欠損によって発生したがんのアキレス腱は何か,についても現在検討中である.
昨年の11月に,仙台でプロテインホスファターゼ国際カンファレンスを主催したが,フィンランドのWestermark Jukka博士をはじめ数人の外国からの演者が,自分の研究がいかに藤木先生のオカダ酸研究にインスパイアされたか,と述べていた.オカダ酸が分離されたクロイソカイメン(Halicondria okadai)が,岡田弥一郎教授への献名で名づけられたものであったことに始まり,構造決定は橘和夫先生が,発がんプロモーター作用は藤木博太先生が,ホスファターゼ阻害作用は高井章先生が,と脈々と受け継がれてきた日本固有の研究系譜がある.その下流にいる者として,この研究を大切にし,がん予防やがん治療に役立てたいと考える.
本研究を遂行するにあたりましてご指導御助言そして激励を賜りました,藤木博太先生,菅沼雅美先生,そして杉村隆先生に厚く御礼申し上げます.
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