カルシニューリンの新たな制御機構と医療・創薬への応用―RNA顆粒によるカルシニューリンの空間的制御
近畿大学薬学部分子医療・ゲノム創薬学研究室 ◇ 〒577-8502 大阪府東大阪市小若江三丁目4番1号
発行日:2015年10月25日
Ca2+/カルモジュリン依存性に活性化されるタンパク質脱リン酸化酵素であるカルシニューリンは,免疫抑制薬FK506の標的分子として臨床的にもきわめて重要なホスファターゼである.カルシニューリンは,免疫,心肥大,血管新生,記憶など多様な生命現象や,その異常が引き起こす各種病態に関わることから,カルシニューリンシグナルの制御機構の解明,さらにはカルシニューリンシグナルを制御できる薬物の創製は,疾患治療という観点からもきわめて重要である.本稿では,我々の酵母遺伝学とケミカルゲノミクス研究から明らかになった“RNA顆粒”を介するカルシニューリンの空間的制御メカニズムを紹介する.RNA顆粒は,従来考えられていたような「RNAの運命決定装置」としての役割に加え,「ストレス応答やシグナル制御の拠点」としての機能や神経変性疾患やがんなどの病態への関わりが注目を集めている.本稿では,RNA顆粒とカルシニューリンシグナル制御の関わり,その疾患治療への応用の可能性について紹介する.
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