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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 87(5): 531-538 (2015)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870531

特集Special Review

がん原遺伝子産物PPM1Dの細胞がん化機構および創薬を指向した阻害剤Function of Proto-oncogene Product PPM1D and Development of PPM1D Inhibitors for Cancer Chemotherapy

1北海道大学大学院理学研究院化学部門生物化学分野Department of Biological Chemisty, Division of Chemistry, Faculty of Science, Hokkaido University ◇ 〒060-0810 北海道札幌市北区北十条西八丁目Kita-10-Nishi 8, Kita-ku, Sapporo-shi, Hokkaido 060-0810, Japan

2新潟大学理学部化学科Department of Chemistry, Faculty of Science, Niigata University ◇ 〒950-2181 新潟県新潟市西区五十嵐二の町8050番地Ikarashi-2 8050, Nishi-ku, Niigata-shi, Niigata 950-2181, Japan

3北海道大学大学院総合化学院Graduate School of Chemical Sciences and Engineering, Hokkaido University ◇ 〒060-8628 北海道札幌市北区北十三条西八丁目Kita-13-Nishi 8, Kita-ku, Sapporo-SHI, Hokkaido 060-8628, Japan

発行日:2015年10月25日Published: October 25, 2015
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DNA損傷に応答し,p53依存的に誘導されるMg2+- or Mn2+-dependent protein phosphatase(PPM)ファミリーホスファターゼとして同定されたPPM1D(Wip1)は,乳がんや卵巣がんなどのさまざまながん細胞においてその遺伝子増幅や過剰発現が報告されており,抗がん剤の標的として大きく注目されている.PPM1Dはがん抑制タンパク質p53や,細胞周期制御に関わる多くのタンパク質を脱リン酸化・不活性化し,p53経路を含むさまざまな経路を負に制御している.PPM1Dを標的とした抗がん剤を開発するためには,PPM1Dの機能制御機構およびその発がん機構を詳細に解析していくことが必要である.本稿では,PPM1Dの構造や基質認識機構,PPM1D過剰発現による細胞がん化機構について概説するとともに,近年報告されているPPM1D特異的阻害剤について紹介する.

1. はじめに

PPM1Dは別名Wip1(wild-type p53 induced phosphatase 1)とも呼ばれ,赤外線照射後にがん抑制タンパク質p53依存的に誘導されるSer/Thrホスファターゼとして1997年著者を含むグループにより同定された1)PPM1D遺伝子はヒト染色体17q23に位置し,605アミノ酸残基からなるPPM1Dをコードしている.PPM1DはN末端に触媒ドメイン,C末端に核内移行シグナルを含む調節ドメインから形成される.近年PPM1Dの遺伝子増幅と過剰発現が乳がんを含むさまざまながん細胞において報告されており,PPM1Dは抗がん剤の標的として注目されている.本稿では,PPM1Dの構造や機能について述べるとともに,がんの原因タンパク質としてのPPM1Dの機能およびPPM1Dを標的とした抗がん剤開発の現状と今後の展望について述べる.

2. がん原遺伝子産物PPM1D

1)PPMタイプSer/ThrホスファターゼPPM1D

PPM1D遺伝子のプロモーター領域には,p53,サイクリックAMP,NF-κB,ERα,E2F1などの転写結合部位が存在し,これらの転写因子がさまざまなストレスに対し,発生過程や組織特異的に,PPM1D発現を精密に制御されていると考えられる.著者らは,複数のヒト由来がん細胞の解析から,ヒトPPM1Dには605残基からなる従来型のPPM1Dに加え,共通の触媒ドメインを有するもののC末端が特徴的な10残基に置換されたPPM1D430が存在することをmRNAおよびタンパク質レベルで同定している(図1A2).PPM1Dの遺伝子解析により,PPM1D430はPPM1D遺伝子のエキソン5とエキソン6の間のイントロンにストップコドンを含む新たなエキソンが転写されることによるスプライスバリアント体であることが明らかとなった(図1B).PPM1Dが広範な発現パターンを示す一方,PPM1D430は精巣と白血球に特徴的な発現パターンを示す.

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図1 PPM1Dの構造

(A)PPM1DにはProに富むP-loopと,塩基性残基に富むB-loopが存在する.N末端領域には触媒ドメインを含む1~420残基の共通する配列を持ち,C末端領域にはスプライスバリアント特異的な配列を有している.(B)PPM1Dには605残基からなる従来型のPPM1Dと,共通の触媒ドメインを有するPPM1D430が存在する.(C)PPM1D触媒ドメインの構造(ホモロジーモデリング)

2)PPM1Dの構造

PPM1Dを含むPPMホスファターゼは,その酵素活性発現にMg2+やMn2+の金属イオンを必要とし,金属イオンに配位した水分子が求核分子として作用することにより基質タンパク質からの脱リン酸化を触媒する3).活性中心を形成する金属配位残基,ならびにリン酸結合残基アミノ酸はPPMファミリーに高度に保存されている一方,PPM1Dは他のPPMファミリーには存在しない塩基性に富んだB-loopならびにProに富んだP-loopが存在している4).PPM1Dの結晶構造はいまだに明らかにされていないが,PPMファミリーであるPPM1A,PPM1B,PPM1Kの結晶構造を基にしたホモロジーモデリングの結果から,B-loopは活性中心近傍に存在し,P-loopは活性中心と反対の面に露出することが示されている(図1C4,5).合成リン酸化ペプチドや組換えタンパク質を用いた解析により,B-loopは基質認識や細胞内局在に重要な役割を果たすこと,また,P-loopはタンパク質の分子認識やタンパク質の安定性に寄与すると考えられる4).これらPPM1D特異的なループを標的とした阻害剤はPPM1Dをターゲットとした抗がん剤の開発において非常に注目されている.

3)がん細胞にみられるPPM1Dの遺伝子増幅,過剰発現,C末端欠損変異

PPM1Dの遺伝子増幅ならびに過剰発現が,乳がん,卵巣明細胞がん,神経芽腫を含む多くのがん細胞において検出されることから,当初よりPPM1Dは細胞がん化と強い相関があると考えられてきた(表16,7).実際に,PPM1Dノックアウトマウスの解析では,細胞がん化に対して抵抗性を持つとともに,Erbb2とHras1による腫瘍形成を抑制すること,また,PPM1D過剰発現細胞では,アポトーシスや細胞周期停止刺激に対して耐性を持つこと,さらには,いくつかの発がんタンパク質と共発現することにより,細胞がん化を引き起こすことが報告されている8–10).これらの事実から,PPM1D遺伝子は現在がん原遺伝子として考えられている.この作用にはPPM1Dのホスファターゼ活性が必要であることが知られており,抗がん剤として展開が期待されるPPM1D阻害剤の開発が精力的に実施されている.さらに,PPM1D阻害による細胞増殖抑制効果がPPM1D過剰発現細胞にみられる一方,正常細胞には影響を与えないことが報告されており,PPM1D阻害剤は副作用の少ない抗がん剤として期待されている11)

表1 がん細胞におけるPPM1D遺伝子増幅
腫瘍遺伝子増幅mRNA過剰発現免疫組織化学法過剰発現
乳がん37/326 (11%)
26/164 (16%)
13/117 (11%)
7/20 (35%)
8/95 (8%)
10/181 (6%)
卵巣がん8/20 (40%)
9/89 (10%)
神経芽腫23/25 (92%)9/32 (28%)
24/47 (51%)148/168 (88%)
髄芽腫6/16 (37%)3/11 (27%)
7/11 (64%)16/33 (48%)
鼻咽頭がん59/85 (69%)
大腸がん252/368 (68%)
結腸直腸がん102/120 (85%)
腎臓がん53/78 (68%)
肺がん52/75 (69%)
肝臓がん56/86 (65%)
胃がん35/53 (74%)
前立腺がん0/3 (0%)3/3 (100%)
膵臓がん8/13 (62%)

近年,乳がんや卵巣がん患者からPPM1DのC末端欠損変異が相次いで報告され,これらPPM1DのC末端欠損体が機能を獲得(gain of function)して高活性化することにより細胞がん化を引き起こすことが報告されている12–14).これらC末端欠損体はエキソン6における点変異やフレームシフトに起因するが,そのgain of functionのメカニズムは明らかにされていない.

3. PPM1D異常による細胞がん化メカニズム

1)PPM1Dによるp53ネガティブフィードバック機構とシグナル伝達制御

PPM1Dの細胞がん化メカニズムの中心の一つにp38–p53シグナルのネガティブフィードバック機構がある(図2).興味深いことに,がん抑制タンパク質p53の変異はがん細胞の半数以上という最も高頻度にみられる遺伝子変異であるが,多くのPPM1D過剰発現がん細胞においてp53の変異はみられず正常型p53が発現している13,15–17).この理由として,PPM1Dの過剰発現がp53のがん抑制機能を減衰させることにより腫瘍形成に関与していることが考えられる.実際にこれまでPPM1Dはがん抑制タンパク質p53経路に関連するp38,ATM,Chk1,Chk2,γ-H2AXなど多くのタンパク質を脱リン酸化・不活性化することによりp53経路を負に制御することがin vitroin vivoで示されており(図2表218,19),p53経路の抑制がPPM1Dによる発がん機構の主要因の一つであると考えられる.

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図2 PPM1D過剰発現による細胞がん化メカニズム

表2 PPM1Dの基質
標的タンパク質配列機能
pS/pTQモチーフ
p53 (15pS)VEPPLpSQETFSDp53活性阻害
Chk1 (345pS)QGISFpSQPTCPDChk1活性阻害
ATM (1981pS)AFEEGpSQSTTISATM活性阻害
γ-H2AX (139pS)KKATQpSQEYDNA修復阻害
XPA (196pS)LEVWGpSQEALENER阻害
XPC (892pS)EEGTSpSQAEAANER阻害
HDM2 (395pS)ESEDYpSQPSTSMDM2安定化によるp53不安定化
MDMX (403pS)HSSESpSQETISSMDMX安定化によるp53不安定化
Chk2 (68 pT)LETVSpTQELYSChk2活性阻害
DAXX (564pS)EESPVpSQLFELEARFを介した抗がん活性の低下
pTXpYモチーフ
p38 (180pTGpY)TDDEMpTGpYVATRp38活性阻害
UNG2 (126pTVpY)ERKHYpTVpYPPPHBER阻害
その他
NF-κB (536pS)DEDFSpSIADMDNF-κB活性阻害
MKK4 (261 pT)DSIAKpTRADGMKK4活性阻害
RBM3 (195pS)YPYAApSPATAAp53 mRNAの不安定化
dp21 (121pS)TDFYHpSKRRLIFp21の減少
BAX (172 pT)pTPTWQpTVpTIFV
BAX (174 pT)WQpTVpTIFVAGVアポトーシス阻害
BAX (184pS)GVLTApSLpTIWK
H4 (47pS)GVKRIpSGLIpTEETH3.3ダイナミクス制御
* 下線は酸性残基を示している.カッコ内の残基はPPM1Dの脱リン酸化部位を示している.

一方,近年PPM1Dの過剰発現が正常型p53の細胞のみならずp53変異型の細胞にも効果的に細胞増殖抑制を示すことが報告されている20).Demidovらは,PPM1D過剰発現の抑制によりBax/Bcl-Xlの比が変化し,アポトーシス感受性が高くなることを示しており21),PPM1D阻害剤がp53遺伝子の状態に関係なく,抗がん剤として有効に機能することを示唆するものである.また,PPM1Dのp53経路以外に対する制御機構もいくつか報告されてきている.PPM1DはUNG2の脱リン酸化を介して塩基除去修復(BER)を抑制するとともに,XPA/XPCの脱リン酸化を介してヌクレオチド除去修復(NER)を抑制することでDNA修復機構を抑制している22).また,NF-κBを脱リン酸化・不活性化することにより,炎症反応の抑制にも機能している23).このように現在では,PPM1Dの過剰発現に伴う細胞がん化のメカニズムが多様なシグナル伝達制御の破綻に起因することが明らかになりつつある(図2).

2)PPM1Dの基質認識機構

in vitroならびにin vivoにおけるPPM1D標的タンパク質の解析より,これまで2種類の基質モチーフ,すなわちpS/pTQモチーフならびにpTXpYモチーフが知られている(表2).pS/pTQモチーフは,ATM/ATRに代表されるホスファチジルイノシトール3-キナーゼがS/TQ含有基質をリン酸化することにより生じるモチーフである.ATM/ATRは,さまざまな遺伝毒性ストレスにより活性化されることが知られているが,PPM1Dはp53,ATM,Chk1,Chk2,γ-H2AXといったATM/ATRによりリン酸化されたpS/pTQモチーフを脱リン酸化することにより,生体内のストレス応答反応を負に制御する.pS/pTQモチーフについては,脱リン酸化部位のN末端側−2および−3に位置する酸性残基がPPM1Dの基質指向性を上昇させることが報告されている24).また,もう一つのPPM1D基質モチーフであるpTXpYモチーフは,遺伝毒性ストレスに応答して細胞増殖抑制に関与するp38 MAPキナーゼや,遺伝子修復に機能するUNG2にみられ,PPM1Dはこれらの部位を脱リン酸化することにより不活性化する25,26).このようにPPM1Dの基質特異性からもPPM1Dはストレス応答のシグナル伝達の抑制因子として機能することが示されている.

一方,これらのモチーフを含まない基質も最近報告されてきている.これらは上述したPPM1Dの基質モチーフは含まないが,脱リン酸化近傍にGluやAsp残基ならびにリン酸化アミノ酸を含む酸性残基に富んだ配列を有しており,PPM1Dは酸性残基に富んだ基質に対する指向性が認められる27).PPMファミリーの一つであるPPM1Aは,塩基性残基に富んだ基質を好むことが知られており,PPM1D特異的なB-loopがPPM1Dの基質特異性に重要な役割を果たしていると考えられる4,28).このようなPPM1D基質モチーフや酸性残基に富む基質に対する指向性の解析は,PPM1D特異的な阻害剤の開発やPPM1Dの新規標的分子の探索において重要な知見を与えることが期待される.

3)PPM1D過剰発現による核小体形成異常

著者らは,PPM1D過剰発現による新規細胞がん化分子メカニズムとして,核小体形成異常に関与する機構を同定している(未発表).がん細胞では,リボソーム合成の中心的な器官である核小体の形成に異常がみられることが知られている29).核小体タンパク質であるNucleophosmin(NPM)は核小体形成やリボソーム合成に関与する多機能タンパク質である.著者らはPPM1Dが過剰発現しているp53野生型乳がん由来MCF-7細胞において,PPM1D発現量の抑制およびPPM1D特異的阻害剤が核小体数を減少させることを示した.さらに,p53欠損型肺がん由来H1299細胞においても,PPM1Dの発現量に依存した核小体数の変化を観察した.また,MCF-7におけるPPM1Dノックダウンが,NPMにおいてCDK1標的部位であるThr199およびPLK1標的部位であるSer4のリン酸化を減少させること,さらに,これらのリン酸化部位が核小体数の増加を誘導することを明らかとした.また,CDK1によるNPMのThr199のリン酸化が,PLK1によるNPMのSer4のリン酸化を著しく向上させることを示した.さらに,CDK1の活性化ホスファターゼであるCDC25Cは,p53非依存的・依存的な両方の経路でPPM1Dの過剰発現により活性化される可能性が示唆された.以上の結果より,PPM1D過剰発現によるCDC25C–CDK1–PLK1経路の活性化が引き起こすNPMのリン酸化機構および核小体数増加という新規細胞がん化モデルを提案した(図3).

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図3 PPM1D過剰発現によるNPMのリン酸化機構と核小体形成異常

4. PPM1D阻害剤

1)副作用の少ない抗がん剤としてのPPM1D阻害剤

PPM1Dの過剰発現やC末端欠損変異が悪性腫瘍の原因となっていることはこれまで述べてきたとおりである.Ppm1dノックアウトマウスが悪性腫瘍に対して抵抗性を示すこと,さらにはPpm1dのノックダウンによりがん細胞の増殖が抑制されることからも,PPM1Dは抗がん剤のターゲットとして注目を集めている30).現在までに,複数のアプローチ法によりPPM1D特異的阻害剤の開発が進められている.本節では,現在までに報告されているPPM1D阻害剤について紹介する(図4).

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図4 PPM1D特異的阻害剤

ⅰ)ペプチド性PPM1D阻害剤

Appellaらは,PPM1Dの基質配列を基にして,pSXpYモチーフを持つペプチドがPPM1D阻害活性を示すことを見いだし,環状ペプチド阻害剤c(MpSIpYVA),Ki<1.0 µM31)および環状チオエステルペプチド阻害剤c(FpSIpYEEC),Ki=110 nM28)を開発している.これらは競合阻害剤であり,他のファミリーに属するホスファターゼPP2CαおよびPP2Aには阻害効果を示さず,非常に高い選択性を有していることが示されている.さらには,環状ペプチド阻害剤c(MpSIpYVA)の構造をミミックした有機化合物アナローグであるピロール骨格阻害剤もPPM1Dに対する高い選択性を保持していることが報告されている32)

著者らもペプチド性阻害剤の開発を実施し,基質のリン酸化セリンを非加水分解性リン酸化セリンミミック体2-amino-4-phosphonobutyric acid(AP4)に置換した各種ペプチドを合成した.著者らは,PPM1Dが酸性アミノ酸に富んだ配列を基質として好むことから,p53(10-35)由来のAP4含有阻害剤ペプチドに酸性残基であるGlu残基を導入することで,阻害活性を上昇させたPPM1D阻害剤AP4-3E-Aを報告している(図44).興味深いことに,AP4-3E-Aは不拮抗阻害剤として作用する,これまでに報告されていない新規なPPM1D阻害剤である.

ⅱ)小分子PPM1D阻害剤

小分子阻害剤は,細胞内への取り込みや体内における安定性の観点から,抗がん剤として有用であるとされている.このため,これまでに多くの研究者が,さまざまな化合物ライブラリーからPPM1D阻害剤を同定し,その効果を解析している.2005年には,Developmental Therapeutics Program NCI/NIHの化合物ライブラリーからPPM1D阻害剤Compound M(M321237)が同定され,この阻害剤が担がんマウスにおいて腫瘍サイズを抑制することが報告されている(図433)

さらに,別の化合物ライブラリーからもPPM1Dに対して阻害効果を持つ数種の化合物が同定され,マイケル反応のアクセプターであるチオールを有するCCT007093が報告されている(図411).CCT007093は,PPM1DのRNAiによるノックダウンと同様の効果を示し,PPM1D過剰発現がみられる細胞内においてリン酸化p38の上昇と細胞増殖抑制を示すことが示されている.GSK2830371は,コア領域にアミノ酸様の構造を持つcapped amino acids(CAA)としてデザインされた化合物ライブラリーから同定された阻害剤である(図434).この阻害剤はin vitroにおいて強いPPM1D阻害活性を持ち,in vivoにおいてもp53依存的に細胞増殖抑制を示す.また,担がんマウスへの投与によるリン酸化p53の上昇および腫瘍サイズの抑制を誘導することが報告されている.ところで,GSK2830371は細胞内においてPPM1Dのタンパク質量も減少させることが示されている.同様に細胞内のPPM1Dレベルを減少させる化合物として,2,4-bisarylthiazoles(Compound 26)が報告されており(図4),この化合物はin vitroにおけるホスファターゼ活性阻害能は示さないが(IC50=23 µM),細胞増殖阻害効果が高いことが示されている35).これらの阻害剤は,細胞内においてPPM1D以外の標的へも作用する可能性が示唆される.

PPM1D特異的阻害剤SPI-001は,著者らによって天然合成過程の保護基を含んだ中間体からなる独自の化合物ライブラリーからのスクリーニングによって見いだされた(図436).このSPI-001は,今まで報告されている阻害剤とは異なるタイプの新規骨格を有しており,PPM1Dに対して高い選択性と阻害能を有している.著者らは,SPI-001をPPM1D過剰発現がみられる乳がん由来のMCF-7細胞に投与し,p53のSer15のリン酸化上昇および細胞増殖を抑制することを明らかにしている36)

著者らはさらに,SPI-001を基に各種アナローグを合成して構造活性相関を実施し,新規な阻害剤SL-176の開発に成功している(図437).SL-176はin vitroにおいてPPM1Dを特異的に阻害する非競合阻害剤として作用し,PPM1D過剰発現細胞において細胞増殖を著しく抑制することが示されている.SL-176は,細胞内のp53 Ser15のリン酸化レベルを上昇させ,PPM1D過剰発現細胞MCF-7細胞においてSL-176がG2/M期の停止およびアポトーシスを誘導することが示されている.SL-176は現在報告されているPPM1D阻害剤の中で最も強力な阻害剤であり,薬剤開発において,膜透過性を予測する上で非常に重要なパラーメーターである分子量<500,およびlog D<5を満たしており38),PPM1Dを標的とした抗がん剤開発のリード化合物として非常に有用である.

2)PPM1D阻害剤と抗がん剤の併用効果

PPM1DのC末端欠損変異が多くの悪性腫瘍において報告されているが,PPM1Dの450位以降が欠損している変異を持つヒト結腸腺がん由来HCT-116細胞では,既存の抗がん剤が効きにくいことが報告されている.我々は,HCT-116において,PPM1D阻害剤SPI-001が既存の抗がん剤Doxorubicinの効果を増強させることを見いだしている(図539).さらに,PPM1Dが過剰発現している細胞においても,PPM1D阻害剤GSK2830371と既存の抗がん剤の共投与により,抗がん剤の効果が増加することが報告されている17).また,PPM1D阻害剤はPPM1Dが過剰発現している細胞に対して強い増殖抑制効果を示し,正常細胞にはほとんど効果を示さないことが明らかとなっている11).これらの結果は,PPM1D阻害剤が,C末端欠損変異や過剰発現がみられる悪性腫瘍に対して,副作用の少ない抗がん剤となりうる可能性を示唆している.

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図5 PPM1D阻害剤と抗がん剤の併用効果

(A)PPM1D阻害剤SPI-001と抗がん剤Doxorubicinの併用投与がMCF-7細胞の増殖に及ぼす効果.Doxorubicinは2 µM,SPI-001は40 µMで48時間インキュベーションし,細胞増殖率を解析した.*** p<0.001.(B)SPI-001はDoxorubicinのがん細胞増殖効果を増強させる.

PPM1D特異的阻害剤が有用な抗がん剤のリード化合物となるだけではなく,PPM1Dの機能解明を実施する上で強力な分子ツールとなることが期待される.近年では,すでに市販のPPM1D阻害剤をツールとして用いたPPM1D機能解明の例も報告されており40,41),PPM1D阻害剤がさまざまな分野において非常に大きな役割を果たしていることを示している.

5. おわりに―PPM1D阻害剤およびPPMファミリー阻害剤の今後の展望

ところで,PPM1Dを介したがん化メカニズムの解明や阻害剤開発が行われている一方で,Ppm1dノックアウトマウスを用いた研究を皮切りに,正常細胞におけるPPM1Dの機能に注目が集まっている.Ppm1dノックアウトマウスは精巣の萎縮がみられ,精子形成機構にPPM1Dが関与していることが示唆されている42,43).さらに,Ppm1dノックアウトによりCD4陽性T細胞数の上昇とCD8陽性T細胞数の減少がみられ,T細胞,B細胞の機能が低下していることが報告されている42).さらには,PPM1Dが好中球の分化に関与していることや44),造血幹細胞の機能維持に関与することも報告されており45),PPM1Dが免疫応答において重要な役割を果たしていることが明らかとなってきている.さらには,PPM1Dはグルコースの恒常性維持に関与することや46),脂肪蓄積や動脈硬化にも関与している可能性が示唆されている47,48)

以上のように,PPM1Dは精子形成,免疫応答など,生体内のさまざまな細胞応答において重要な機能を果たしている.PPM1DのスプライスバリアントPPM1D430は精巣および白血球特異的に発現がみられることから,PPM1D430が担う特異的な機能の解明が望まれる.PPM1D阻害剤は,PPM1Dが過剰発現していない細胞においては細胞増殖抑制を示さないことから,正常細胞においてPPM1Dを特異的に阻害する有効な分子ツールとして,PPM1Dの機能解明への利用も期待される.

これまでにPPM1Dのがん化における機能解明やin vitroおよびin vivoにおける特異的基質の同定,PPM1D阻害剤開発が進められてきた.しかしながら,他のPPMファミリーホスファターゼについては特異的な標的タンパク質が同定されていない場合が多く,それらの機能解明および特異的阻害剤開発のためには,ファミリーメンバーそれぞれの特異的基質を同定することが必須である.

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著者紹介Author Profile

鎌田 瑠泉(かまだ るい)

北海道大学大学院理学院理学研究院化学部門助教.博士(理学).

略歴

1983年北海道に生る.2006年北海道大学理学部化学科卒業.10年同大学院理学院化学専攻博士課程修了.11年京都大学大学院工学研究科博士研究員.12年米国NIH/NICHD Visiting Fellow.14年より現職.

研究テーマと抱負

自然免疫応答におけるSer/ThrホスファターゼPPM1Dのエピジェネティクス修飾を介した機能解明を目指している.

趣味

野球観戦,映画鑑賞,寺社・城巡り.

中馬 吉郎(ちゅうまん よしろう)

新潟大学理学部化学科准教授.博士(理学).

略歴

1973年鹿児島県に生る.96年九州大学理学部化学科卒業.2001年九州大学理学府分子科学専攻博士課程修了.同年米国NIH/NCI博士研究員.03年北海道大学大学院理学研究科(坂口研)助手.07年同大学助教.13年より現職.

研究テーマと抱負

タンパク質リン酸化制御破綻と疾患との関わりについてSer/Thrホスファターゼ着目し,癌を含む疾患メカニズムの解明と新規酵素活性制御分子の開発に取り組んでいる.

趣味

料理,釣り,剣道.

小境 夕紀(こざかい ゆうき)

大塚製薬株式会社研究員.博士(理学).

略歴

1987年北海道に生る.2010年北海道大学理学部卒業.15年同大学院総合化学院にて博士課程を修了し,博士(理学)の学位を取得.15年より現職.

趣味

旅行・英会話.

坂口 和靖(さかぐち かずやす)

北海道大学大学院理学研究院化学部門教授.理学博士.

略歴

1960年福岡県に生る.83年九州大学理学部卒業.89年同大学院理学研究科博士課程修了.同年米国NIH/NCI Visiting Fellow,Visiting Associate,Staff Scientistを経て99年九州大学大学院理学研究科助教授.2003年より現職.

研究テーマと抱負

現在,癌抑制タンパク質p53をターゲットとした生体反応の定量化と閾値の解明,PPM1Dホスファターゼの機能とその制御機構解明,および,ペプチド・タンパク質の自己組織化制御の研究を進めている.『“化学反応”の集積がいかにして“生命”となりうるか』を解明することを夢見て研究を行っている.

趣味

野鳥・野草を見ること.知らない道をドライブすること.

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