創薬標的としての受容体型プロテインチロシンホスファターゼ:その生理的役割とシグナリング機構
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発行日:2015年10月25日
受容体型プロテインチロシンホスファターゼ(RPTP)には21分子が存在し,これらは八つのサブファミリーに分類される.RPTPは,受容体プロテインチロシンキナーゼ(RPTK)と同様に,細胞外領域に結合する分子によって細胞内の酵素活性が制御されると推定されているが,その詳細がわかっているものは少ない.またRPTPはRPTKに比べて,その基質分子の解析が困難で同定が遅れたことも理由となり,創薬研究も進んでこなかった.本稿では,R5 RPTPサブファミリーの一つPTPRZについて,内因性リガンドによる活性制御機構,ならびに多発性硬化症などの脱髄疾患に対する創薬標的としての可能性について解説する.また最近,筆者らは,R3 RPTPサブファミリーがインスリン受容体シグナルを抑制制御していることを見いだした.R3 RPTPは肥満・糖尿病に対する新たな創薬標的となるであろう.
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