Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 87(5): 539-546 (2015)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870539

特集Special Review

創薬標的としての受容体型プロテインチロシンホスファターゼその生理的役割とシグナリング機構Receptor-type protein tyrosine phosphatases as drug targets: Their physiological functions and signaling mechanism

大学共同利用機関法人自然科学研究機構基礎生物学研究所統合神経生物学研究部門Division of Molecular Neurobiology, National Institute for Basic Biology, National Institutes of Natural Sciences (NINS), Japan ◇ 〒444-8585 愛知県岡崎市明大寺町字西郷中38番地Myodaiji-cho Nishi-Gonaka 38, Okazaki-shi, Aichi 444-8585, Japan

発行日:2015年10月25日Published: October 25, 2015
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受容体型プロテインチロシンホスファターゼ(RPTP)には21分子が存在し,これらは八つのサブファミリーに分類される.RPTPは,受容体プロテインチロシンキナーゼ(RPTK)と同様に,細胞外領域に結合する分子によって細胞内の酵素活性が制御されると推定されているが,その詳細がわかっているものは少ない.またRPTPはRPTKに比べて,その基質分子の解析が困難で同定が遅れたことも理由となり,創薬研究も進んでこなかった.本稿では,R5 RPTPサブファミリーの一つPTPRZについて,内因性リガンドによる活性制御機構,ならびに多発性硬化症などの脱髄疾患に対する創薬標的としての可能性について解説する.また最近,筆者らは,R3 RPTPサブファミリーがインスリン受容体シグナルを抑制制御していることを見いだした.R3 RPTPは肥満・糖尿病に対する新たな創薬標的となるであろう.

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