生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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Journal of Japanese Biochemical Society 87(5): 554-559 (2015)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870554

特集Special Review

ピロリ菌発がんとチロシンホスファターゼHelicobacter pylori-mediated carcinogenesis and tyrosine phosphatases

東京大学大学院医学系研究科Graduate School of Medicine, The University of Tokyo ◇ 〒113-0033 東京都文京区本郷七丁目3番1号Hongo 7-3-1, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0033, Japan

発行日:2015年10月25日Published: October 25, 2015
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全世界がん死亡者数の第二位を占める胃がんの発症にはヘリコバクター・ピロリの胃粘膜持続感染がきわめて重要な役割を演ずる.胃がん発症に関わるピロリ菌は病原因子CagAを胃上皮細胞内に直接注入する.標的細胞内に侵入したCagAは発がん性チロシンホスファターゼとして知られるSHP2と複合体を形成し,そのホスファターゼ活性を異常に亢進することでRasシグナルに代表される発がんシグナルを脱制御する.ピロリ菌が保有するもう一つの病原因子VacAは,菌から放出された後,胃上皮細胞膜表面に存在する受容体型チロシンホスファターゼRPTPα/βに結合し粘膜損傷を引き起こす.このようにピロリ菌の二つの病原因子は胃上皮細胞に存在する2種類のチロシンホスファターゼを標的とし,がん化につながる細胞の機能障害を誘起すると考えられる.

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