生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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Journal of Japanese Biochemical Society 87(5): 573-581 (2015)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870573

総説Review

ES/iPS細胞からの内胚葉組織形成ES/iPS cells-derived definitive endodermal tissue

1国立研究開発法人日本医療研究開発機構臨床研究・治験基盤事業部規制科学・臨床研究支援室Office of Regulatory Science and Clinical Research Support, Department of Clinical Research and Trials, Japan Agency for Medical Research and Development ◇ 〒100-0004 東京都千代田区大手町一丁目7番1号 読売新聞ビル20階Yomiuri Shimbun Building 20F, Otemachi 1-7-1, Chiyoda-ku, Tokyo 100-0004, Japan

2国立医薬品食品衛生研究所薬理部Division of Pharmacology, National Institute of Health Sciences (NIHS), Japan ◇ 〒158-8501 東京都世田谷区上用賀一丁目18番1号Kami-Yoga 1-18-1, Setagaya-ku, Tokyo 158-8501, Japan

3東京工業大学大学院生命理工学研究科Graduate School of Bioscience and Biotechnology, Tokyo Institute of Technology ◇ 〒226-8501 神奈川県横浜市緑区長津田町4259番地Nagatsuta-cho 4259, Midori-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 226-8501, Japan

発行日:2015年10月25日Published: October 25, 2015
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embryonic stem(ES)/induced pluripotent stem(iPS)細胞は無限の自己増殖能と多分化能を有する多能性幹細胞である.これらの多能性幹細胞から特定の細胞を作製し,再生医療や創薬研究などに応用する研究が盛んに行われている.胚性内胚葉は主に呼吸器や消化器の元となる細胞である.これまでは主に多能性幹細胞から胚性内胚葉由来の膵上皮や肝上皮細胞を作製する研究が行われていたが,近年では,肺上皮,胸腺上皮,胃上皮や腸管上皮を作製する研究も精力的に行われてきている.本稿ではヒト多能性幹細胞を用いた胚性内胚葉組織形成についての最近の研究成果について概説する.

1. はじめに

ES/iPS細胞などの多能性幹細胞は無限の自己増殖能と多分化能を有する細胞である.ES細胞は胚盤胞の内部細胞塊に由来する1).またiPS細胞は体細胞に外来遺伝子を導入して,多能性を獲得した細胞である2,3).現在までに,これらの多能性幹細胞を特定の細胞に分化誘導し再生医療としてのソースや創薬モデル細胞の作製を行い,病因を解明することが試みられている.また多能性幹細胞を用いた分化誘導の過程は正常発生を再現すると考えられており,発生分化メカニズムの解明にも応用されることが考えられる.胚体内組織を構成する内胚葉である胚性内胚葉からは,免疫系に関与するリンパ器官である胸腺,肺などの呼吸器上皮,また,胃,腸,膵臓,肝臓などの消化器上皮が派生する.胸腺上皮や肺上皮は前方前腸,胃上皮,膵上皮,肝上皮は後方前腸,そして腸管上皮は中腸,後腸に由来する4,5).これまでにヒト多能性幹細胞を用いて,糖尿病での再生医療のソースとしてのインスリン陽性膵β細胞の作製や,重篤な肝炎の移植ソースや創薬における薬物モデル細胞としての肝実質細胞の作製が精力的に行われてきた.また近年ではこれらに加えて,その他の胚性内胚葉組織である胸腺,肺,胃や腸などの上皮細胞作製もヒト多能性幹細胞から行われてきており,これらを用いた医学・薬学研究やヒトの発生分化研究が期待される.この総説では特にヒト多能性幹細胞からのこれらさまざまな胚性内胚葉系組織の形成について焦点を絞り概説する.

2. 多能性幹細胞からの胚性内胚葉の形成

ヒト多能性幹細胞は原始線条を介し胚性内胚葉と中胚葉に分化する.前方原始線条が胚性内胚葉へ,また後方原始線条が中胚葉へと分化する.この分化過程においては上皮間葉転換が起き,劇的な形態の変化が起こる.また胚性内胚葉は転写因子のSOX17[SRY(sex determining region Y)-box 17]6),FOXA2(Forkhead box A2)7),ケモカイン受容体のCXCR4[chemokine(C-X-C motif)receptor 4]8)や分泌タンパク質のCER1(CERBERUS1)9)などの発現を指標とし同定される.胚性内胚葉は前腸,中腸,後腸に領域化が起こる.前腸からは胸腺上皮,肺上皮,胃上皮や膵上皮,肝上皮などが発生し,中腸からは小腸上皮,後腸からは大腸上皮が発生する(図1).

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図1 本稿で扱う胚性内胚葉性組織

多能性幹細胞は前方原始線条を介し胚性内胚葉へと分化する.その後,前方前腸から胸腺,肺上皮へ,後方前腸から胃,膵,肝上皮へ,また中腸から小腸上皮,後腸から大腸上皮へと分化する.

ヒト多能性幹細胞から胚性内胚葉への分化誘導には,TGFβ(transforming growth factor β)スーパーファミリーに属するアクチビンがしばしば用いられる10).アクチビンは細胞外でセリンスレオニンキナーゼ型受容体に結合し,細胞内にシグナル伝達を行う.アクチビンはⅡ型アクチビン受容体に結合する.これにより活性化されたⅡ型受容体がI型受容体のALK4(activin receptor-like kinase 4)の細胞内ドメインをリン酸化し活性化する.活性化されたALK4は細胞質でSMAD2(SMAD family member 2)とSMAD3をリン酸化する.リン酸化SMAD2/3はSMAD4とヘテロ複合体を形成し,核内に移行する.このヘテロ複合体が標的遺伝子のプロモーター領域に結合し遺伝子発現を制御する.胚性内胚葉分化に関しては,リン酸化SMAD2/3が核内で多能性幹細胞転写因子NANOG(Nanog homeobox)と複合体を形成することが重要である.実際にNANOGの発現をヒト多能性幹細胞で抑制すると前方原始線条への分化が抑制され,過剰発現によって分化が促進される.分化が開始するとリン酸化SMAD2/3-NANOG複合体が胚性内胚葉マスター転写因子EOMES(Eomesodermin homolog)の発現を誘導し,前方原始線条への分化が起きる.前方原始線条から胚性内胚葉に関してはリン酸化SMAD2/3-EOMES複合体,リン酸化SMAD2/3が胚性内胚葉性関連転写因子の発現を制御する.この前方原始線条から胚性内胚葉の分化に関してはNANOGが抑制的に働いており,原始線条でNANOGの発現が低下することも重要である11).またリン酸化SMAD2/3-NANOG複合体はエピジェネティックな修飾にも関与している.リン酸化SMAD2/3-NANOG複合体はヒストンH3K4メチルトランスフェラーゼをリクルートし,H3K4me3を維持しており,SMAD2/3,NANOGやH3K4メチルトランスフェラーゼを抑制したヒト多能性幹細胞で胚性内胚葉関連転写因子のプロモーター,エンハンサー領域のH3K4me3が低下し,胚性内胚葉への分化が抑制される12).またアクチビンはWNT(Wingless-type MMTV integration site family),BMP(bone morphogenetic protein),FGF(fibroblast growth factors)などの細胞外シグナルと組み合わせることで前方原始線条の分化を促進することが知られている13).BMPシグナルに関しては内因性の低レベルの活性が前方原始線条の分化を促進するが,過剰な外因性の刺激により後方原始線条へと分化を引き起こす.前方原始線条から胚性内胚葉への分化に関してはWNTとBMPシグナルが抑制的に働く13).FGFシグナルを抑制することで胚性内胚葉から中胚葉への分化転換が起きる.このようにアクチビンはさまざまな因子を制御することで胚性内胚葉分化を制御している.

細胞外マトリクスのフィブロネクチンとビトロネクチンがヒト多能性幹細胞からの胚性内胚葉への分化に重要であることが知られている.フィブロネクチンとビトロネクチンをコートした培養皿でヒト多能性幹細胞を分化誘導すると胚性内胚葉への分化誘導が促進される.それぞれの細胞外マトリクス受容体であるインテグリンα5とインテグリンαVの発現抑制により完全に胚性内胚葉への分化が阻害される14).このことから細胞外マトリクスの選択もヒト多能性幹細胞から胚性内胚葉分化に重要な要素となることが示唆される.

近年,未分化な多能性幹細胞の性質によって胚性内胚葉への分化誘導効率が変わることが報告されている.未分化なヒト多能性幹細胞では細胞周期のG1初期で胚性内胚葉への分化が起きやすいことがわかってきた.G1初期では細胞周期調節因子であるcyclin D-CDK4/6(cyclin-dependent kinase 4/6)複合体がSMAD2/3の核移行を制御している.この時期に存在する細胞でのみSMAD2/3がEOMESなどに結合しており,この結果,G1初期の細胞が胚性内胚葉へ分化しやすいことが考えられる15).実際に,これを利用し未分化細胞の細胞増殖を抑制し胚性内胚葉への分化を促進できることが報告されている16,17).白木らはヒト多能性幹細胞で培養液から必須アミノ酸のメチオニンを短時間除去することでヒト多能性幹細胞特異的に細胞周期の進行が抑制され,その後,分化誘導を行うと胚性内胚葉への分化が促進されることを見いだした.また大垣らはDMSO(dimethyl sulfoxide)を添加することで細胞周期を停止させ,アクチビンシグナルの閾値を下げられることを見いだした.アクチビンとDMSOを同時に添加すると,低濃度アクチビンで十分にアクチビンシグナルを活性化させ,胚性内胚葉へ分化誘導できた(大垣ら,投稿中).この方法により低コストで胚性内胚葉への分化が行え,ヒト多能性幹細胞由来の胚性内胚葉系の組織の応用研究が加速することが考えられる.このようにヒト多能性幹細胞から胚性内胚葉への分化過程にはさまざまな因子が影響しており(図2),ヒト多能性幹細胞をモデルとしたヒト胚性内胚葉研究の進展が期待される.

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図2 多能性幹細胞からの胚性内胚葉分化における分化因子

ヒト多能性幹細胞が胚性内胚葉に分化する過程にはさまざまな因子が影響する.細胞外シグナルとしてはアクチビンシグナルを軸にWNTやBMPシグナルなどが関与し,その下流ではヒストンメチル化が胚性内胚葉の遺伝子の発現を制御している.またインテグリンを介した細胞外マトリクスからのシグナルも分化には必須であり,細胞周期を停止させることで胚性内胚葉の分化は促進される.

3. 多能性幹細胞からの膵上皮の形成

膵上皮はインスリンやグルカゴンなどの血糖を調節するホルモンを分泌する膵島の内分泌細胞と,消化酵素を分泌する腺房の外分泌細胞などから構成される.膵上皮は前腸の後方から発生し,背側と腹側それぞれの領域に膵芽が形成される.この時期には初期の膵臓マーカーの一つであるPDX1(pancreatic and duodenal homeobox 1)が発現する.この膵芽は未熟な細胞により構成されるが,一部の細胞がインスリンやグルカゴンなどの成熟内分泌マーカーを共発現する.これらのポリホルモン陽性細胞は機能を持たず,最終的な膵島の成熟化した内分泌細胞には寄与しない18).膵芽のPDX1陽性の膵前駆細胞はNKX6.1(NK6 homeobox 1)により内分泌細胞,PTF1A(pancreas specific transcription factor, 1a)により外分泌細胞系譜への発生が決定される.膵上皮はこの時期に枝分かれ構造をとり,枝の先端領域に外分泌前駆細胞が,また枝の内部にNGN3(neurogenin3)陽性の内分泌前駆細胞が分化してくる.その後,増殖・分化を繰り返し,アミラーゼ陽性の外分泌細胞が,またインスリンやグルカゴンなどが陽性の内分泌細胞が発生する.その後,この内分泌細胞は出生に伴って膵島構造の形成を行い,糖応答性を持つインスリン分泌能を獲得していく19,20).糖尿病治療においては現在インスリン注射が最も一般的であるが,血糖値に応じた血糖の調節ができない.エドモンドプロトコルによって膵島移植の手技が確立され,重篤な場合は膵島移植による治療が行われている21).しかし移植ドナー不足であるため多能性幹細胞から分化誘導したインスリン陽性の膵β細胞の作製が期待される.

ヒト多能性幹細胞から膵β細胞へ分化誘導はさまざまなグループにより報告されている(図3).2006年にViaCyte, Inc.(旧Novocell, Inc.)のグループによりヒトES細胞からインスリン陽性細胞への分化誘導方法が報告された.しかし,この細胞はグルカゴンなどを共発現する細胞であり,移植するとインスリンの発現が消失しグルカゴン陽性細胞に分化してしまうため糖尿病治療に使えるような真の膵β細胞ではなかった22).また同グループは分化誘導方法の一部を改良し,NKX6.1陽性の内分泌前駆細胞をマウスに移植することでin vivoにおいてインスリン単陽性の細胞に分化し,糖尿病モデルマウスの血糖値を正常に戻すことに成功した23).実際にヒトの糖尿病治療に細胞移植を行うためには,大量の細胞が必要となってくる.この問題を克服するため同グループはさらに旋回培養による分化誘導方法を構築し,大量培養を実現した.まずヒトES細胞を低接着性の培養皿にまき,95 rpmで24時間培養し100~200 µmの細胞塊を作り出した.その後,NKX6.1陽性の内分泌前駆細胞を分化誘導した(図3A).この細胞を移植することで糖尿病モデルマウスの治癒を行っている24).このViaCyte, Inc.による研究戦略は膵臓の再生医療において要の研究となっているが,移植後in vivoで機能的なインスリン陽性細胞への成熟化が起こるためには3か月以上かかる.そのため現在,in vitroで機能的なインスリン陽性細胞を作製し,移植治療を行う取り組みが行われている.Pagliucaらは先ほどの旋回培養の方法を改良し,ヒト多能性幹細胞からNKX6.1陽性細胞に分化誘導した後に,甲状腺ホルモンのT3, γ-セクレターゼ阻害剤のXXi,ヘッジホッグシグナルの阻害剤のSANT1,EGF(epidermal growth factor)ファミリーで膵β細胞の機能に関わることが報告されているBetacellulin25)とヘパリンを新たに用いることで機能的なインスリン陽性の膵β細胞をin vitroで作製した(図3B).このヒト多能性幹細胞由来の膵β細胞は他のグルカゴンなどのホルモンを発現しておらず,初代培養したヒト成人膵β細胞と同等の糖応答によるインスリン分泌を示した.また今までの内分泌前駆細胞をマウスに移植する手法では,ヒトインスリンがマウスの血中で検出されるまでには3か月以上かかっていたが,このin vitroで作製したヒト多能性幹細胞由来の膵β細胞を移植すると,ヒトインスリンは2週間で確認された26).またRezaniaらも同時期に機能的な膵β細胞を作製しており,彼らもPagliucaらと同様にSANT,T3,XXIなどを用いているが,さらに細胞をカルーチャーインサート上に播種し,air-liquid interface(ALI)法で培地をインサートの下のみに入れて培養している.この方法は一般的に細胞に極性を生じさせる培養方法であり,膵β細胞にも細胞極性が重要であることがわかっている27,28).このALI法にさらに,抗酸化剤であるN-アセチルシステインを用いることでPagliucaらと同様に機能的な膵β細胞をin vitroで作製した29).著者らのグループでも同様にインスリン単独陽性の分化誘導方法を構築している.Shahjalalらは動物由来成分を完全に除去したXeno-free培養系において,ホスホジエステラーゼ阻害剤で細胞内のcAMPの濃度を上げるIBMX, Exendin-4とニコチンアミドを用いることで,ヒト多能性幹細胞からin vitroで糖応答性を持つインスリン陽性細胞作製に成功した(図3C30).また著者らはマウスES細胞ではあるが,低分子化合物を用いたスクリーニングを行い内分泌細胞の分化を促進する低分子化合物を同定しており31),今後はヒト多能性幹細胞での応用が期待される.

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図3 多能性幹細胞からの膵上皮分化誘導方法の模式図

最近の主要な論文についてまとめた.(A)Schulzらによる内分泌前駆細胞への分化誘導方法.(B)Pagliucaらによる膵β細胞の分化誘導方法.(C)Shahjalalらによる膵β細胞Xeno-free分化誘導方法.TBI:TGFβ RI kinase inhibitor IV,TTNPB(レチノイド受容体アゴニスト),CYC:cyclopamine(へッジホッグシグナルの阻害剤),CHIR:CHIR99021(Wnt/β-cateninの活性化剤),SANT1(へッジホッグシグナルの阻害剤),LDN:LDN193189(BMPシグナルの阻害剤),PdbU:phorbol 12,13-dibutyrate(プロテインキナーゼCの活性化剤),T3:triiodothyronine(甲状腺ホルモン),Xxi:γ-セクレターゼの阻害剤,Alk5i:Alk5 receptor inhibitor II(アクチビンシグナル阻害剤),SB:SB431542(アクチビンシグナル阻害剤),ILV:(−)-indolactam V,IBMX:3-isobutyl-1-methylxanthine(phosphodiesteraseの阻害剤).

現在,内分泌前駆細胞を移植し糖尿病を治療する方法は多くの報告があり,移植系が確立されている.今後はより早期の治療効果があるヒト多能性幹細胞由来の膵β細胞を得られるように研究が進展していくと考えられる.

4. 多能性幹細胞から肝上皮細胞の形成

肝上皮は肝実質細胞と胆管上皮細胞から構成され,栄養分を代謝・貯蔵し,アルコールや薬物の代謝を行う組織である.重度の肝炎では移植が必要となり,また薬物開発においても重要であるため,ヒト多能性幹細胞から肝実質細胞を作製し,モデル細胞とする試みがなされている.

肝上皮は膵上皮と同様に前腸の後方領域から発生してくる.膵上皮と異なり腹側のみに肝芽ができる.この時期はFGFとBMPシグナルが発生に関与し,HNF4α(hepatic nuclear factor 4 alpha),AFP(α-fetoprotein),アルブミン陽性の肝芽細胞ができる.この肝芽細胞からは肝実質細胞と胆管上皮細胞が発生してくるが,HNF4αが発現し続ける細胞には肝実質細胞への運命決定が起きる.未熟な肝実質細胞は脱上皮化を起こし,増殖・移動を行い周囲の間質に浸潤する.その後,間質からのシグナルによりAFP陰性アルブミン陽性の肝実質細胞への成熟化が起きる32)

ヒト多能性幹細胞から肝実質細胞への分化誘導法は膵β細胞の作製と同様に多くのグループから報告されている.2010年にSi-Tayebらのグループによって,ヒト多能性幹細胞から高効率な肝実質細胞への分化誘導方法が報告された.この細胞を新生仔マウスの肝臓に移植したところ,肝臓への生着が確認された.しかし,このヒト多能性幹細胞からin vitro分化誘導により作製した肝実質細胞においては,Cyp3A4(cytochrome P450 3A4)を含む多くの薬物代謝酵素活性は低値を示した33).Zhaoらはこの問題点を克服するために薬物代謝能の高い肝実質細胞の作製を行った.Zhaoらはマウスの肝芽細胞では転写因子のPROX1(Prospero homeobox 1)とHNF6の発現が高いが,ヒト多能性幹細胞由来の肝芽細胞には発現が低いことに着目し,AFP陽性細胞でのPROX1とHNF6の発現を指標に分化実験を行った.Zhaoらは胚性内胚葉に分化誘導した後に,FGF7とアクチビンシグナル阻害剤のSB431542を2日間加えてHNF4α陽性細胞に分化誘導し,比較的低密度の条件で継代し,さらにFGF7,BMP2,BMP4を加えて5日間培養することでAFP陽性細胞がPROX1とHNF6を発現することを見いだした.さらにその後,HGFとBMP4を5日間,オンコスタチンMとデキサメタゾンで5日間培養することで肝実質細胞を作製した(図4).この細胞は高いアルブミン分泌を示しアルブミン陽性細胞はCYP3A4を発現していた.この多能性幹細胞由来の肝実質細胞は薬物による薬物代謝酵素の誘導能を持っていた.一方,PROX1もしくはHNF6のノックダウンを行うと,CYP3A4陽性細胞は分化しなかった34).PROX1やHNF6のノックアウトマウスでは成熟化した肝実質細胞細胞への発生は起こらない35),という結果を再現した.これらの結果より,肝芽細胞でのPROX1とHNF6の発現が今後,重要な指標となってくることが考えられる.著者らのグループではリアルタイムにヒト多能性幹細胞から肝実質細胞系譜に分化する過程を観察するために,蛍光タンパク質のmKO1(monomeric Kusabira Orange1)をアルブミンプロモーター下にノックインしたヒトES・iPS細胞を作製した.ヘルパー依存型アデノウイルスを用いてノックイン株を作製し,肝実質細胞に分化誘導を行ったところ,mKO1の発現が低いものと高いものの二つの細胞群が分化していた.その後,それぞれの細胞をセルソーターを用いて分取しマイクロアレイ解析を行ったところ,mKO1の発現が低い細胞では肝芽細胞に関連する遺伝子の発現が高く,mKO1の発現が高い細胞では肝実質細胞で発現が高い薬物代謝酵素やトランスポーターの発現が上昇していた36).そのため今後はProx1やHNF6と同様にアルブミンの発現量も重要な指標となってくることが考えられる.

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図4 多能性幹細胞から肝上皮の分化誘導方法の模式図

Zhaoらの分化誘導方法.肝芽細胞でのPROX1とHNF6の発現が最終的な肝実質細胞での機能に重要である.SB:SB431542(アクチビンシグナル阻害剤).

ここまではヒト多能性幹細胞から胚性内胚葉性の肝臓の上皮“組織”を作製する分化誘導であったが,近年横浜市立大学の武部らのグループによりヒト多能性幹細胞から肝臓の“臓器”を作製する方法が報告された.肝臓は上皮以外にも血管や間充織から構成される.武部らによると,ヒト多能性幹細胞からAFP陽性の肝芽細胞に分化誘導後に,ヒト間充織幹細胞とヒト臍帯静脈内皮細胞を72時間共培養することで細胞が自発的に肝芽を形成した.この肝芽をマウスの脳に移植すると肝芽内の血管がマウスの血管と結合し,機能的な血管ネットワークを構築した.このヒト肝臓由来のアルブミンがマウスの血液中にみられ,薬物代謝活性も有していた37).この研究はこれまでの,in vitroで組織を作り移植し再生医療に用いるという観念を,in vitroで臓器を作り移植するという観念に変える非常にインパクトの高い研究であり,世界中の再生医療研究が劇的に加速すると考えられる.

5. 多能性幹細胞から小腸上皮の形成

小腸上皮は食品や薬物の吸収などを行う組織である.小腸上皮は絨毛部と陰窩部で構成され,一般的には陰窩の底に幹細胞が存在し増殖・分化を繰り返し,絨毛部に移動し最終的にアポトーシスを起こし管腔内に脱落する.陰窩には幹細胞以外に抗菌物質を分泌するパネート細胞も存在する.絨毛には食品や薬物の吸収,代謝を行う腸細胞,粘液分泌する杯細胞,内分泌細胞である腸内分泌細胞が存在する.またタフト細胞や細菌の取り込みを行うM細胞も存在している.重篤な腸炎や放射性腸炎などでは腸管上皮細胞の移植が行われるほか,薬物試験にも腸管上皮細胞が要求される38,39)

腸管上皮は中腸から小腸上皮が,後腸から大腸上皮が発生してくる.中腸,後腸はともにCDX2(caudal type homeobox 2)を発現するが後腸ではHOXD13(homeobox D13)を発現する.発生初期の腸管上皮細胞は無極性の偽重層上皮で,活発に細胞増殖が行われている.その後,発生が進むと上皮が間充織の塊に押し上げられることで絨毛が形成され出す40).このときに上皮は極性を形成し,細胞の腸細胞,杯細胞,腸内分泌細胞の分化が開始される.また上皮層は円柱単層上皮となり,絨毛間のポケットに増殖性の細胞が限局する.出生後になって陰窩が形成され,これに伴ってパネート細胞の分化が起きる41)

Spenceらは三次元的な腸管臓器様細胞への分化誘導を報告している.この報告では,ヒトiPS細胞を胚性内胚葉に分化誘導した後に高濃度のFGF4とWNT3Aを用いて培養することで三次元的なドーム状のCDX2陽性細胞へと分化誘導した.遺伝子解析の結果からこの細胞はHOXD13を発現しており後腸であると示唆される.彼らはこの細胞塊を取り出し,マウスの腸管上皮幹細胞の培養方法42)で分化誘導することで細胞の成熟化を行った(図5A).このオルガノイドはHOXD13を発現し後腸様な性質を持つことが予測されるが,腎被膜下に移植すると絨毛構造の形成したため中腸様の性質も持つことが示唆された43,44).このオルガノイド培養方法は分化や形態形成の研究には優れているが,細胞外マトリクス成分のマトリゲルに包埋されているため管腔構造をオルガノイドの内側に持つ.しかし,薬物試験などに用いる際には一つ一つのオルガノイドの内側に薬物を取り込ませる必要があり,方法論的には二次元的な薬物モデルとしての腸管上皮細胞の系が必要であると,著者らは考えている.著者らはヒト多能性幹細胞から二次元的な腸管上皮細胞への分化誘導方法を報告した.以前に著者らはヒトES細胞をマウス中腎由来細胞株であるM15細胞と共培養し胚性内胚葉へと分化誘導できることを報告している45).著者らはヒトES細胞をM15細胞上もしくはゼラチンコートディッシュ上で胚性内胚葉に分化誘導し,その後ヒトES細胞由来の胚性内胚葉にWNTシグナル活性剤のBIOとNotchシグナルの阻害剤のDAPTを加えることで相乗的にCDX2陽性細胞へと分化誘導を行った.遺伝子発現解析の結果からこの細胞は空腸領域の細胞であると考えられる.このCDX2陽性細胞をマウス胎仔線維芽細胞(MEF: mouse embryonic fibroblast)と共培養することで腸細胞,杯細胞,腸内分泌細胞またパネート細胞へと,成体に近い割合で分化誘導することが可能であった(図5B46).またMEFを用いない場合でも,マトリゲル上でヒトiPS細胞からBIOとDAPTを用いることで薬物代謝酵素やトランスポーターが発現する腸細胞へと分化誘導を行えた(大垣ら,投稿中).今後はこの分化誘導系を応用した薬物モデルとしての腸管上皮細胞の作製が課題となる.

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図5 多能性幹細胞から腸管上皮の分化誘導方法の模式図

(A)Spenceらの三次元的な腸管上細胞への分化誘導方法.未熟な腸管上皮細胞に分化誘導後にマトリゲル内で培養する.R-spondin1:Wntアゴニスト.(B)Ogakiらの二次元的な腸管上細胞への分化誘導方法.BIO:Gsk-3β阻害剤.DAPT:γ-セクレターゼ阻害剤.

6. 多能性幹細胞から胃上皮細胞の形成

胃上皮は食物を消化する組織である.胃はペプチダーゼや酸を分泌する胃底部と粘液やホルモンを分泌する幽門部の二つの機能的な腺上皮から構成される.胃上皮は前腸の後方部から発生する.後述するが,前腸はSOX2陽性であり,特に予定胃上皮領域の後方前腸はSOX2,HNF1β二重陽性である.この領域からSOX2陽性PDX1陰性の胃底部,またSOX2,PDX1二重陽性の幽門部の上皮に分化することが免疫組織学的解析によりわかっている.また組織学的解析より上皮は腸管同様に未熟な時点では偽重層上皮であるが,発生が進むにつれて単層円柱上皮に分化する47).しかしその分化メカニズムについては,あまりわかっていない.

上記のグループは腸管上皮細胞分化を改良し,ヒト多能性幹細胞から三次元的な胃上皮細胞の分化誘導方法を構築した48).McCrackenらは前腸マーカーのSOX2と腸管上皮マーカーのCDX2が相反して発現することに着目し,FGF4とWNT3Aを用いてCDX2陽性細胞を分化誘導する条件下でCDX2の発現を抑制し,SOX2の発現を促進する因子の探索を行った.その結果,NOGGINを加えてBMPシグナルを抑制することでCDX2の発現を抑制し,SOX2の発現を誘導することを見いだした.さらにこの条件下で1日のみレチノイン酸を加えることでHNF1βの発現を誘導し後方前腸細胞塊への分化誘導を行った.腸管上皮細胞のときと同様に,この細胞塊をマトリゲル内に包埋し培養することでSOX2,PDX1二重陽性の幽門部上皮に分化誘導を行った.このとき形成された細胞塊は偽重層上皮であるが,マトリゲル内でEGFを用いて培養することで単層円柱上皮へと拡張増殖し,表層粘液細胞,粘液腺細胞,内分泌細胞へと成熟化した.またこのヒト多能性幹細胞由来胃上皮細胞は胃上皮疾患の原因であるピロリ菌の取り込みも行った(図648).この研究は胃上皮の発生分化メカニズムの解析や胃上皮疾患のモデルとして非常に重要になると考えられる.

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図6 多能性幹細胞から胃上皮細胞への分化誘導方法の模式図

McCrackenらによる三次元的な胃上皮細胞への分化誘導方法.未熟な胃上皮細胞に分化誘導後にマトリゲル内で培養する.

7. 多能性幹細胞から肺上皮の形成

肺上皮は気管と肺胞部から構成され,ガス交換を行う組織である.気管には粘液分泌をする杯細胞,分泌された粘液の移動に重要な繊毛細胞,界面活性物質のサーファクタントを分泌するクララ細胞,内分泌細胞の神経内分泌細胞と幹細胞の基底細胞が存在する.また肺胞部位にはⅠ型肺胞上皮細胞とⅡ型肺胞上皮細胞が存在する.Ⅰ型肺胞上皮細胞は肺胞全体の95%を覆っており,血管内皮細胞と接着し,血液–空気関門を形成しガス交換を行う.Ⅱ型肺胞上皮細胞はサーファクタントを分泌し肺胞の立体構造を維持している49).また障害時などにⅡ型肺胞上皮細胞はⅠ型肺胞上皮細胞に分化することで肺胞の恒常性を維持している.重症の肺線維症や肺気腫,気管支拡張症などの肺疾患の患者には肺移植が行われているが移植ドナーが少ない50,51).これまではほとんどヒト多能性幹細胞を用いた肺上皮への分化誘導は報告されていなかった.しかし近年になり,いくつかのグループから分化誘導が報告された.

肺上皮は前腸の最も前方の腹側領域に由来する.この前方前腸領域はFOXA2,SOX2陽性であるが,腹側においてNKX2.1が発現しSOX2の発現が低下することで肺系譜への分化が開始する.その後SOX2の発現は気道系譜の細胞では維持されるが,肺胞系譜の細胞では抑制される.また背側の食道領域ではSOX2の高い発現が維持される.この発現制御にはBMP,WNT,FGFシグナルが関与している.BMP4,WNT2,WNT2b,FGF10また高発現のFGF2によってNKX2.1の発現が誘導される.次に,このNKX2.1陽性細胞からは一対の肺原基が出現する.肺原基は気管部位で食道領域から分離し,劇的な気管の伸長が起き,肺胞部では枝分かれ構造が生じる.この過程ではFGF10が重要な役割を担っており,FGF10欠損胚では伸長が起きない.SOX2,p63陽性の近位前駆細胞から気管系譜の細胞が分化し,SOX9陽性の遠位前駆細胞から肺胞系譜の細胞が分化する.その後,それぞれの前駆細胞から成熟した細胞への分化が生じる52)

Snoeckらのグループは,発生過程に沿った分化誘導方法を構築した53,54).まず彼らは,肺上皮が前方前腸を介して発生することに着目し前方前腸への分化誘導方法を構築した.前方前腸はFOXA2,SOX2を発現しているので,これらの発現を指標にスクリーニングを行ったところ,BMP阻害因子であるNOGGINもしくはBMP阻害剤Dorsomorphinとアクチビンシグナル阻害剤のSB431542を加えることで前方前腸への効率的な分化誘導ができることを見いだした.さらにこの分化誘導方法を改良し,前方前腸誘導後にSB431542とWNTシグナル阻害剤のIWP2を1日加え,その後WNTシグナルの活性化剤のCHIR99021,BMP4,FGF10,FGF7,レチノイン酸を加えて9日間培養することでNKX2.1陽性細胞へと分化誘導した.このNKX2.1陽性細胞をトリプシンではがし,遠心後に細胞塊としてCHIR99021,FGF10,FGF7で10日間培養することで近位と遠位前駆細胞へと分化誘導した.さらにマウス胎仔肺のin vitro実験で分化を促進することが示されていた,デキサメタゾン,5-bromo-cAMP,IBMXをCHIR99021,FGF10,FGF7含有培地を用いて,23日間培養することで成熟化した気管上皮細胞と肺胞上皮細胞への分化誘導を報告した(図7A).小腸上皮や胃上皮の項目で解説したが,近年ヒト多能性幹細胞から三次元的な細胞を分化誘導する方法が確立されてきた.Dyeらは,ヒト多能性幹細胞から三次元的な肺上皮のオルガノイドを作製した55).胚性内胚葉まで分化誘導した後に,NOGGIN,SB43152,CHIR99021,ヘッジホッグシグナルの活性化剤のSAGを添加することでNKX2.1陽性のオルガノイドを作製している.このオルガノイドをマトリゲル内に包埋しFGF10存在下で培養することで,極性を持つ気管上皮細胞や一部ではあるが肺胞上皮細胞へも分化した(図7B).今後は,この技術を用いたヒト肺上皮の形態形成の機序の研究の展開が期待される.

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図7 多能性幹細胞から肺上皮の分化誘導方法の模式図

(A)Huangらの分化誘導方法.未熟な肺上皮細胞をはがし,遠心後にペレットとして培養する.Y-27632:ROCK(Rho-associated coiled-coil forming kinase/Rho結合キナーゼ)阻害剤,IWP2:Wntシグナル阻害剤,Dor:Dorsomorphin(BMP受容体阻害剤).(B)Dyeらの三次元的な肺上皮細胞の分化誘導方法.未熟な肺上皮細胞をマトリゲル内で培養する.SAG:ヘッジホッグシグナルの活性化剤.

8. 多能性幹細胞から胸腺上皮の形成

胸腺は心臓の前方に位置し,外側の皮質上皮と内側の髄質上皮から形成される組織であり,T細胞の発生に重要である.血管を介し胸腺内に侵入してきたT細胞前駆細胞は胸腺上皮を通過しながら分化・増殖を行い,選択される.T細胞は皮質上皮で自己の主要組織適合遺伝子複合体を認識するものが正の選択を受け,その後,髄質上皮に移動したT細胞は自己抗原に対し反応するものが細胞死を誘導され負の選択が行われる.DiGeorge症候群では胸腺の低形成を示し,T細胞の数が不足し,免疫異常が起こる.DiGeorge症候群の治療として胸腺移植が行われている56).また胸腺は年齢に伴って退化するため,造血幹細胞移植においても胸腺移植を併用することでT細胞の再生が促進される.しかし,移植ドナーが少ないため多能性幹細胞からの胸腺上皮の分化誘導が求められている.

胸腺上皮は肺上皮と同様に前腸の最も前方の腹側領域に由来する.この領域から咽頭が分化し,さらに咽頭は胎生期に一過的に咽頭嚢と呼ばれる対となった突起を形成する.この中でも特にHOXA3陽性の第3咽頭嚢から胸腺上皮が発生する.また第3咽頭嚢からは副甲状腺も発生する.この第3咽頭嚢は単層円柱上皮として咽頭に接着しているが,細胞増殖することにより偽重層上皮へとなり,この時期に胸腺上皮と副甲状腺への分化の運命決定が起きる.第3咽頭嚢は咽頭と接着している部位で境界ができ,腹側に胸腺上皮特異的マーカーFOXN1(Forkhead family transcription factor N1)が発現し,また背側に副甲状腺特異的マーカーのGCM2(glial cells missing homolog 2)が発現する.この運命決定にはBMP4/SHH(sonic hedgehog)が関与しており,BMP4によりFOXN1が,SHHによりGCM2が誘導される.次に,この原基の接着部位の細胞にアポトーシスが起き,切り離され,尾部方向へと移動が起きる.その過程で副甲状腺細胞は甲状腺の近傍で局在し,胸腺上皮細胞は胸腔を通り心臓まで移動する.未熟な胸腺上皮細胞はケラチン5(K5),ケラチン8(K8)二重陽性であるが成熟化することでK5単独陽性の皮質上皮細胞,またK8単独陽性の髄質上皮細胞へと分化する57)

ヒト多能性幹細胞から胸腺上皮分化に関する報告はこれまでなかったが,近年になって少数のグループが報告している.胸腺上皮に関するヒト多能性幹細胞からの分化誘導の戦略としては,HOXA3陽性第3咽頭嚢に分化誘導し,FOXN3陽性未熟胸腺細胞に分化誘導する方法がとられている.Parentらは非常に複雑な分化誘導方法でヒトES細胞から胸腺上皮細胞の作製を行っている(図8A58).このFOXN1陽性細胞を胸腺が欠損しT細胞の少ないヌードマウスに移植すると,一部の細胞がK5単独陽性またはK8単独陽性の成熟化した細胞へと分化し,T細胞の分化を促した.また,Sunらは,ヒトES細胞から胚性内胚葉に分化誘導後に,レチノイン酸とWNTシグナルの阻害剤IWR1を用いることでHOXA3陽性細胞へ分化誘導し,BMP4とWNT3AによりFOXN1陽性細胞を作製した(図8B)このFOXN1陽性細胞をヒト胎児線維芽細胞と移植すると,K5単独陽性またはK8単独陽性の細胞への分化が促進されることを見いだした.さらに放射線障害を引き起こし,ヒト造血幹細胞移植を移植したヒト化マウスにこの手法で移植するとヒトT細胞の分化も促進した59).この二つの研究はヒト多能性幹細胞から胸腺上皮作成の草分け的研究であるが,手法としてはFOXN1を含む細胞集団を移植している.つまり雑多な集団を移植しており,再生医療に用いる際にはFOXN1陽性細胞特異的な移植方法が求められる.SohらはFOXN1遺伝子座にGFPをノックインしたヒトES細胞を作製し,FOXN1特異的細胞表面マーカーの探索を行った.Sohらは胚様体を形成させ,FGF7によりFOXN1の発現を誘導し,GFP陽性細胞を分取後にマイクロアレイ解析を行った.その結果,FOXN1陽性細胞は細胞外表面マーカーのEpCAM(epithelial cell adhesion molecule),インテグリンBとHLA-DRを用いることで同定できることを見いだした60).しかし,Sohらはこの細胞外表面マーカーを用いて分取した細胞を移植する実験を行っていない.今後はこの手法で分取した細胞をヒト胎児線維芽細胞と移植する実験が期待される.

Journal of Japanese Biochemical Society 87(5): 573-581 (2015)

図8 多能性幹細胞から胸腺上皮の分化誘導方法

(A)Parentらの分化誘導方法.(B)Sunらの分化誘導方法.IWR1:Wntシグナルの阻害剤.LY:LY364947(TGFβ受容体阻害剤).

9. おわりに

ヒトES細胞が1998年にJames Thomsonらにより樹立されてから20年も経たない間にさまざまなヒト多能性幹細胞由来のさまざまな組織の分化誘導が報告された.外胚葉や中胚葉性の組織に比べると胚性内胚葉性の組織の分化誘導は遅れているといわれているが,ここ数年でさまざまな胚性内胚葉性の組織の作製が行われている.膵上皮や肝上皮のように研究が多くなされているものもあれば,腸管上皮,胃上皮,肺上皮,胸腺上皮のようにここ数年で分化誘導が確立してきたものも多い.初期の研究では一部の細胞がin vitroでマーカー遺伝子を発現するだけにとどまっていたが,現在ではin vivoに移植して機能するレベルにまで達してきている.管構造を持つ臓器の作製もできており,今後の研究の進展が期待される.

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著者紹介Author Profile

大垣 総一郎(おおがき そういちろう)

国立研究開発法人日本医療研究開発機構臨床研究・治験基盤事業部規制科学・臨床研究支援室,国立医薬品食品衛生研究所薬理部第3室リサーチレジデント.東京工業大学特別研究員.医学博士.

略歴

1987年福岡県久留米市に生まれる.2010年熊本大学薬学部創薬生命薬科学科卒業.15年熊本大学大学院医学教育部博士課程修了.14~15年日本学術振興会特別研究員.15年より現職.

研究テーマと抱負

多能性幹細胞から胚性内胚葉の分化機構の解明,腸管上皮細胞の作製.多能性幹細胞由来細胞の応用に向けて低コストで簡便な再現性の高い技術の作製を行っている.

ウェブサイト

https://www.stem.bio.titech.ac.jp/, http://www.bio.titech.ac.jp/laboratory/kume-shiraki/index.html

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