Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 88(1): 71-77 (2016)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880071

特集Special Review

老化・がん化耐性研究の新たなモデル:ハダカデバネズミと長寿動物を用いた老化学Towards understanding the mechanisms of negligible senescence and cancer resistance: Insights from naked mole rat and long-lived species

北海道大学遺伝子病制御研究所動物機能医科学研究室Hokkaido University, Institute for Genetic Medicine, Biomedical Animal Research Laboratory ◇ 〒060–0815 北海道札幌市北区北15条西7丁目 ◇ Kita15 Nishi7, Kita-ku, Sapporo, Hokkaido 060–0815, Japan

発行日:2016年2月25日Published: February 25, 2016
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寿命や疾患への耐性は,生物種間で非常に多様性がある.これまでにマウスやショウジョウバエといったモデル動物を用いた研究から老化を制御する因子・シグナル経路が明らかとなってきたが,他方で,長寿や疾患耐性を持つよう進化してきた生物種から老化・疾患予防のメカニズムを見いだそうとする試みがなされている.その一端として我々を含むいくつかのグループが,30年以上生き,がんにならない稀有な齧歯類であるハダカデバネズミを対象として研究を進めている.また近年のオミックス技術の発展から,非モデル動物が持つ適応機構を網羅的に解析することは,格段に容易なものとなってきた.本稿ではハダカデバネズミの老化・がん化耐性メカニズムに加え,デバネズミやコウモリ,クジラなど幅広い動物種の解析から示唆された長寿を実現する遺伝学的素因について概説する.

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