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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 88(2): 161-170 (2016)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880161

総説Review

脳における神経細胞移動とその制御機構Neuronal migration in the brain and the mechanisms controlling the migration

大阪大学大学院生命機能研究科Graduate School of Frontier Biosciences, Osaka University ◇ 〒565–0871 大阪府吹田市山田丘1–3 ◇  1–3 Yamadaoka, Suita, Osaka 565–0871, Japan

発行日:2016年4月25日Published: April 25, 2016
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神経細胞は生まれた場所にとどまることなく,移動する.多くの場合,生まれた部位から法線方向に移動するだけであるが,一部の細胞は神経管の接線方向に移動し,生まれた場所から遠く離れた部位まで移動する.その結果特定の部位にも集積して神経核を形成する場合もあるが,拡散して広い範囲に分布するようになる場合もある.また,接線方向に移動する神経細胞とそうでない細胞が混じり合うことにより,多様な神経細胞からなる細胞構築の形成につながる.法線方向の移動に関しては放射状線維(radial fiber)が足場となって神経細胞をガイドするが,接線方向の移動に関してはそのような明確な足場は存在せず,CXCL12のような誘引性の分子の局在が移動経路の決定に,またSemaphorin, Slitのような軸索反発因子として知られている分子や,Netrin-1のような軸索誘引因子が移動経路や移動方向の決定に関与している.

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