植物の生体防御機構における一酸化窒素の機能
名古屋大学大学院生命農学研究科生物機構・機能科学専攻 ◇ 〒464–8601 愛知県名古屋市千種区不老町
発行日:2016年4月25日
一酸化窒素(NO)は反応性に富むラジカル分子であり,生理的および病理的な諸過程を制御する細胞内・細胞間情報伝達系因子として働くことが広く知られている.植物では,病原体の攻撃という過酷なストレスに対しても,NOが機能していることが知られている.植物は病原体の攻撃を受けると,能動的な細胞死を起こして病原体を封じ込め,感染行動を阻止する過敏感細胞死を起こす.この細胞死を伴った一連の抵抗反応発現に至る過程で,NOは抵抗反応の誘導・増幅シグナルとして働いている.また,NOは活性酸素と協調して,細胞内代謝を制御し,抵抗反応を発現することが明らかとなってきた.本稿では,植物の病原体防御機構におけるNOの機能について概説する.
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