生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
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Journal of Japanese Biochemical Society 88(3): 296-301 (2016)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880296

特集Special Review

解糖系酵素PGAMとストレス老化シグナルSenescence-inducing stress and glycolytic enzyme, PGAM

1京都大学医学部附属病院・高齢者医療ユニットKyoto University Hospital ◇ 〒606–8507 京都府京都市左京区聖護院川原町54 ◇ 54 Kawaharacho, Syogoin, Sakyu-ku, Kyoto, 606–8507, Japan

2京都大学医学部附属病院糖尿病内分泌栄養内科Kyoto University Hospital ◇ 〒606–8507 京都府京都市左京区聖護院川原町54 ◇ 54 Kawaharacho, Syogoin, Sakyu-ku, Kyoto, 606–8507, Japan

発行日:2016年6月25日Published: June 25, 2016
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がん細胞は,通常細胞と異なる多面的な生物学的特性を備えている.その中で,古くからがんでは解糖系代謝亢進していることが知られている(ワールブルグ効果と呼ぶ).このようながん代謝特性が,がんの病態にどのような影響を与え,あるいは病因と関与するのだろうか.近年の代謝学の進歩により,がん細胞でみられる解糖系代謝亢進は,エネルギー供給の側面だけではなく,解糖系から枝分かれする他の代謝経路(PPPやHBP)を活性化し,生体材料の供給や抗酸化力の獲得を促していることが判明しつつある.さらに興味深いことに,がん細胞のもう一つの生物学的特性である細胞不死化(老化しないこと)と解糖系の密接な連関が指摘されている.細胞老化では解糖系代謝が低下する一方,細胞が不死化すれば亢進することより,解糖系代謝が細胞老化から細胞がん化への転換に重要であると予想される.本稿では近年詳細な解析が進んだ解糖系代謝の制御機構について,特にストレス老化との連関に関して述べる.我々が近年報告したストレス老化シグナルによって誘導される解糖系酵素PGAMの分解を介した解糖系代謝の低下とそれによる細胞老化誘導機構にもフォーカスを当てる.

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