ヒストンH3K36脱メチル化酵素FBXL10による造血幹細胞でのエネルギー代謝亢進と白血病発症
広島大学原爆放射線医科学研究所疾患モデル解析研究分野 ◇ 〒734–8553 広島県広島市南区霞1–2–3
発行日:2016年6月25日
近年,ヒストン修飾やDNAメチル化など,いわゆるエピジェネティックな変化が,造血機構の維持・調節に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつある.FBXL10(F-box and leucine-rich repeat protein 10)はヒストンH3の36番目のジメチル化リシンをモノメチル化するヒストン脱メチル化酵素として同定された.我々は,FBXL10による造血制御を解析する目的で,造血幹細胞(hematopoietic stem cell:HSC)においてFbxl10を高発現するトランスジェニックマウス(Fbxl10 Tg)を作製した.Fbxl10 Tgマウスは全例が白血病を発症し,HSCの解析で酸化的リン酸化経路の活性化およびATPの産生亢進が認められた.本稿ではFbxl10の脱制御による細胞内エネルギー代謝異常,白血病発症に関する知見を紹介する.
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