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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 88(3): 328-334 (2016)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880328

特集Special Review

tRNAのチオメチル化修飾による翻訳制御と代謝疾患Molecular basis of tRNA methylthiolation and the pathological implications

熊本大学大学院生命科学研究部分子生理学Department of Molecular Physiology, Faculty of Life Sciences, Kumamoto University ◇ 〒860–8556 熊本市中央区本荘1–1–1 ◇ 1–1–1 Honjo, Chuo-ku, Kumamoto 860–8556, Japan

発行日:2016年6月25日Published: June 25, 2016
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タンパク質翻訳は生命科学のセントラルドグマを構成する中心的な要素であり,あらゆる生命活動を支える普遍的な生命現象である.mRNAに転写された遺伝情報は,リボソーム上で転移RNA(tRNA)によって解読され,機能的なタンパク質へ翻訳される.最近,分析技術のめざましい進展により,tRNAに多彩な転写後修飾が存在することが明らかになってきた.これらの修飾は翻訳効率および精度を調節し,さらに修飾破綻がさまざまな代謝疾患の発症に関わることから,tRNA修飾がタンパク質翻訳における新たな制御機構として再び注目を浴びている.本稿では,進化的に保存されているtRNAのチオメチル化修飾に焦点を絞り,tRNAチオメチル化修飾の生化学的な特性,分子機能および修飾の破綻による代謝疾患の発症機序について総説する.

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