RBがん抑制遺伝子産物による細胞未分化性制御
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2 ハーバード大学医学部ダナファーバーがん研究所 ◇ 450 Brookline Avenue, Boston, MA 02115, USA
3 慶応義塾大学医学部臨床薬剤学教室 ◇ 〒160–8582 東京都新宿区信濃町35総合医科学研究棟5S8
発行日:2016年6月25日
RBは,がん腫におけるLOHの頻度がCDKN2A,PTEN,SMAD4に次いで高い遺伝子である.すなわち,この遺伝子産物の不活性化をもたらす遺伝子変異はドライバー変異である.しかし,RB変異が多段階発がんの最初の一歩であるがん腫は意外なほど限られている.多くのがん腫において,その悪性進展とRBタンパク質不活性化が相関している.悪性進展のコンテクストにおいてRB機能を探索すると,細胞周期と最終分化のマスターレギュレーターとしてよく認知された働きに加え,がん微小環境制御,細胞の未分化性・薬剤耐性制御など,がんの悪性形質発現に深く関わる働きがみえてきた.本稿では,このような非古典的なRB機能のうち細胞の未分化性の制御に関わるものを紹介し,代謝・エピジェネティクス制御を含む分子機序を論じる.
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