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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 88(3): 335-341 (2016)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880335

特集Special Review

RBがん抑制遺伝子産物による細胞未分化性制御Control of undifferentiated state by RB tumor suppressor

1金沢大学がん進展制御研究所腫瘍分子生物学研究分野Division of Oncology and Molecular Biology, Cancer Research Institute, Kanazawa University ◇ 〒920–1192 金沢市角間町無番地 ◇ Kakuma-machi, Kanazawa, Ishikawa 920–1192, Japan

2ハーバード大学医学部ダナファーバーがん研究所Department of Medical Oncology, Dana-Farber Cancer Institute ◇ 450 Brookline Avenue, Boston, MA 02115, USA ◇ 450 Brookline Avenue, Boston, MA 02115, USA

3慶応義塾大学医学部臨床薬剤学教室Department of Pharmacy, Graduate School of Medicine, Keio University ◇ 〒160–8582 東京都新宿区信濃町35総合医科学研究棟5S8 ◇ 35 Shinanomachi, Shinjuku-ku, Tokyo 160–8582, Japan

発行日:2016年6月25日Published: June 25, 2016
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RBは,がん腫におけるLOHの頻度がCDKN2APTENSMAD4に次いで高い遺伝子である.すなわち,この遺伝子産物の不活性化をもたらす遺伝子変異はドライバー変異である.しかし,RB変異が多段階発がんの最初の一歩であるがん腫は意外なほど限られている.多くのがん腫において,その悪性進展とRBタンパク質不活性化が相関している.悪性進展のコンテクストにおいてRB機能を探索すると,細胞周期と最終分化のマスターレギュレーターとしてよく認知された働きに加え,がん微小環境制御,細胞の未分化性・薬剤耐性制御など,がんの悪性形質発現に深く関わる働きがみえてきた.本稿では,このような非古典的なRB機能のうち細胞の未分化性の制御に関わるものを紹介し,代謝・エピジェネティクス制御を含む分子機序を論じる.

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