生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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Journal of Japanese Biochemical Society 88(3): 342-353 (2016)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880342

総説Review

脳海馬で合成される男性・女性ホルモンは記憶力を増強するHippocampus-synthesized androgens and estrogens enhance memory formation

順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学(東京大学名誉教授大学院総合文化研究科広域科学専攻)Department of Urology, Graduate School of Medicine, Juntendo University ◇ 〒113–8421 東京都文京区本郷2–1–1 ◇ 2–1–1 Hongo, Bunkyo, Tokyo 113–8431, Japan

発行日:2016年6月25日Published: June 25, 2016
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記憶中枢の海馬神経には,シトクロムP450系が発現していて,独自に男性ホルモン[テストステロン(T),ジヒドロテストステロン(DHT)]や最も強い女性ホルモン作用のあるエストラジオール(E2)を合成している.海馬内での濃度は血中濃度より高く,海馬合成のT, E2は主役である.記憶を貯蔵する神経シナプスは,このT, DHTとE2の神経モジュレーション作用により,シナプス数や記憶の長期増強が1時間以内という短い時間内で制御されている.古典的な内分泌機構ではない地産地消型の神経分泌はgenomic機構よりもnon-genomic機構に特色があり,「シナプス内の男性・女性ホルモン受容体→タンパク質キナーゼ→アクチン重合やグルタミン酸受容体リン酸化」という信号系を動かす.これらの研究成果は,女性ホルモン補充のみならず男性ホルモン補充療法による記憶力のアンチエイジング法,認知症を改善する療法の分子基盤を提供する.

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