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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 88(3): 369-379 (2016)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880369

総説Review

細胞膜脂質ラフトにおけるスフィンゴ糖脂質の分子ダイナミクスとシグナル調節メカニズムMolecular dynamics and regulatory mechanisms for signals of glycosphingolipids in membrane lipid rafts

中部大学生命健康科学部Department of Biomedical Sciences, Chubu University College of Life and Health Sciences ◇ 〒487–8501 愛知県春日井市松本町1200 ◇ 1200 Matsumoto, Kasugai, Aichi 487–8501, Japan

発行日:2016年6月25日Published: June 25, 2016
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スフィンゴ糖脂質は脊椎動物の全身,特に脳神経系に多く発現して,その発生・分化に伴って糖鎖構造がダイナミックに変化することから,神経系の構築と機能維持に重要な分子群と考えられてきた.一方,種々のがん細胞・組織において発現し正常細胞や組織には認められない“がん関連抗原”の多くが,スフィンゴ糖脂質の糖鎖であることが判明し,それらを標的にした診断・治療応用が進められてきた.この間の細胞および個体における糖鎖リモデリング実験の結果,スフィンゴ糖脂質が細胞膜ミクロドメイン(脂質ラフト)で他の膜タンパク質と会合して,細胞形質や運命に重要なシグナルを生成することが示された.さまざまな糖脂質の構造が制御するシグナル生成の詳細と今後の研究の展望に関して,自験例を中心に概説した.

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