APOBEC3と病態:APOBEC3によるゲノム変異と発がん
京都大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学 ◇ 〒606–8507 京都市左京区聖護院川原町54
発行日:2016年10月25日
APOBEC3は,一本鎖DNAを基質とするシチジン脱アミノ化酵素群である.近年の網羅的ゲノム解析は,がんゲノムのなかにKataegisと呼ばれる特徴的な変異パターンを明らかにした.本変異パターンは,当初,乳がん,子宮頸がん,膀胱がん,肺腺がん,肺扁平上皮がん,頭頸部がんといった一部のがんで特徴的とされたが,その後の解析でより多くのがんで認められることが判明した.しかしながら,APOBEC3によるゲノム変異導入の分子機構の詳細や,これらAPOBEC3によって導入された変異(APOBEC3 signature)が,発がんの原因であるのかあるいはがんのクローン進化に影響を及ぼすのかといった根本命題はいまだ未解決であり,今後の検討が必要であろう.
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