マウスAPOBEC3の生理機能と分子進化
1 近畿大学医学部免疫学教室 ◇ 大阪狭山市大野東377–2
2 近畿大学アンチエイジングセンター ◇ 東大阪市小若江3–4-1
3 大阪大学微生物病研究所 ◇ 吹田市山田丘3–1
4 医潤会内視鏡クリニック ◇ 堺市堺区熊野町東4–4–19
発行日:2016年10月25日
レトロウイルスDNAの染色体組込みに対抗するため,哺乳動物は逆転写産物を修飾するAPOBEC3酵素を獲得した.一方レトロウイルスは,宿主細胞APOBEC3に対抗する手段を獲得することで感染能を保っている.APOBEC3が現存自然宿主の体内でレトロウイルス感染に対する生理的抵抗因子として機能していることは,マウスで最初に証明された.マウスAPOBEC3遺伝子には機能的な多型があり,抵抗性アリルの産物は感受性アリルの産物に比べて発現量が高く,エキソン5を欠き,N末端側にアミノ酸置換を持つ.野生マウスの解析によって進化の跡をたどると,驚くべきことに最も祖先型の遺伝子はエキソン5を欠く型で,現存感受性系統の祖先が翻訳効率の低下するエキソン5をわざわざ取り込んだこと,一方現存抵抗性系統はN末端側により高機能となるアミノ酸置換を獲得したことが明らかとなった.
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