生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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Journal of Japanese Biochemical Society 88(5): 582-592 (2016)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880582

特集Special Review

マウスAPOBEC3の生理機能と分子進化Functional polymorphisms and molecular evolution of mouse APOBEC3

1近畿大学医学部免疫学教室Department of Immunology, Kindai University Faculty of Medicine ◇ 大阪狭山市大野東377–2 ◇ 377–2 Ohno-Higashi, Osaka-Sayama, Osaka 589–8511, Japan

2近畿大学アンチエイジングセンターKindai University Anti-Aging Center ◇ 東大阪市小若江3–4-1 ◇ 3–4–1 Kowakae, Higashiosaka, Osaka 577–8502, Japan

3大阪大学微生物病研究所Research Institute for Microbial Diseases, Osaka University ◇ 吹田市山田丘3–1 ◇ 3–1 Yamadaoka, Suita, Osaka 565–0871, Japan

4医潤会内視鏡クリニックIjunkai Medical Oncology, Endoscopic Clinic ◇ 堺市堺区熊野町東4–4–19 ◇ 4–4–19 Kumanocho Higashi, Sakai-ku, Sakai, Osaka 590–0964, Japan

発行日:2016年10月25日Published: October 25, 2016
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レトロウイルスDNAの染色体組込みに対抗するため,哺乳動物は逆転写産物を修飾するAPOBEC3酵素を獲得した.一方レトロウイルスは,宿主細胞APOBEC3に対抗する手段を獲得することで感染能を保っている.APOBEC3が現存自然宿主の体内でレトロウイルス感染に対する生理的抵抗因子として機能していることは,マウスで最初に証明された.マウスAPOBEC3遺伝子には機能的な多型があり,抵抗性アリルの産物は感受性アリルの産物に比べて発現量が高く,エキソン5を欠き,N末端側にアミノ酸置換を持つ.野生マウスの解析によって進化の跡をたどると,驚くべきことに最も祖先型の遺伝子はエキソン5を欠く型で,現存感受性系統の祖先が翻訳効率の低下するエキソン5をわざわざ取り込んだこと,一方現存抵抗性系統はN末端側により高機能となるアミノ酸置換を獲得したことが明らかとなった.

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