生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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Journal of Japanese Biochemical Society 88(6): 687-703 (2016)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880687

総説Review

サイトヘジンによる髄鞘(ミエリン)発生制御機構Cytohesin regulation of axonal myelination by Schwann cells and oligodendrocytes

1東京薬科大学・生命科学部・分子神経科学研究室Laboratory of Molecular Neuroscience and Neurology, School of Life Sciences, Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences ◇ 〒192–0355 東京都八王子市堀之内1432–1 ◇ 1432–1 Horinouchi, Hachioji, Tokyo 192–0355, Japan

2国立開発法人・国立成育医療センター研究所・薬剤治療研究部・分子薬理研究室Laboratory of Molecular Pharmacology, Department of Pharmacology, National Research Institute for Child Health and Development ◇ 〒157–8535 東京都世田谷区大蔵2–10–1 ◇ 2–10–1 Okura, Setagaya, Tokyo 157–8535, Japan

発行日:2016年12月25日Published: December 25, 2016
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髄鞘(ミエリン)は,神経細胞に機能を与える役割を持つ鞘(さや)様の脂質に富む構造体である.ミエリンの主要成分は脂質であり,総重量の70~80%にのぼる.残りの約20%はタンパク質から構成される.そのなかにはミエリンに特異的に発現している分子も多く,その名称にミエリンの頭文字がついた分子もある.このように,ミエリン構成物質の生化学的研究は古くから行われていた.そのため,ミエリンの生化学的研究は,ある時期をもって終了したかに思われた.しかし,最近,ミエリン発生の過程で時空間的に活性変化するユニークな分子ネットワークがあることが明らかにされ,ミエリン研究が魅力的な対象として生化学・分子生物学の研究分野に再登場した.一方,ミエリンの存在は高等真核生物から確認される.これはミエリンに関係する分子が神経系の高次機能に関与している可能性があることを連想させる.筆者らは,ミエリン発生における分子メカニズムを研究する過程において,サイトヘジン(Cytohesin)がミエリン発生を制御していることを明らかにし,シグナル伝達経路の解明を試みた.本稿では,遺伝子改変マウスを用いた結果を中心に紹介する.そして,サイトヘジンを介する分子経路の研究の先に,不完全ミエリンを伴う脱ミエリン病の改善や創薬研究があることも合わせて紹介する.

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