細胞膜透過ペプチドの神経系への応用
琉球大学大学院医学研究科分子・細胞生理学講座 ◇ 沖縄県中頭郡西原町字上原207
発行日:2017年2月25日
特定の分子を標的に行われる分子標的治療は副作用が少なく高い効果が得られるため,がんや自己免疫疾患などへの新たな治療法として近年注目を集めている.しかし治療の標的となる細胞のみに必要な効果をもたらすことは非常に難しく,この細胞選択性の向上が分子標的治療の発展には不可欠である.脳腫瘍や脳梗塞,アルツハイマー病などの神経系で起こる疾患に分子標的治療が大きな効果をもたらすであろうことは想像にかたくないが,神経細胞は分子を細胞内に導入することが他の細胞に比べ難しく,さらに中枢神経系においては血液脳関門が治療用分子を送達する際の障壁となっているため,効果的な治療を困難なものとしている.本稿ではこれらの問題に対し,近年行われている細胞膜透過ペプチドを用いた神経系への治療戦略の開発について筆者らの試みも交えながら紹介する.
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