生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
〒113-0033 東京都文京区本郷5-25-16 石川ビル3階 Ishikawa Building 3F, 5-25-26 Hongo, Bunkyo-ku Tokyo 113-0033, Japan
Journal of Japanese Biochemical Society 89(1): 51-61 (2017)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2017.890051

総説Review

レット症候群病態に重要なMeCP2の新機能:MeCP2によるmicroRNAプロセシングを介したmTORシグナル制御Novel function of MeCP2 in the pathophysiology of Rett syndrome: Regulation of mTOR signaling mediated by MeCP2-dependent microRNA processing

1名古屋大学大学院医学系研究科Department of Cell Pharmacology, Nagoya University Graduate School of Medicine ◇ 〒466–8550 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65 ◇ 65 Tsurumai, Showa, Nagoya, Aichi 466–8550, Japan

2九州大学大学院医学研究院Department of Stem Cell Biology and Medicine, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University ◇ 〒812–8582 福岡県福岡市東区馬出3–1–1 ◇ 3–1–1 Maidashi, Higashi-ku, Fukuoka, Fuku­oka 812–8582, Japan

発行日:2017年2月25日Published: February 25, 2017
HTMLPDFEPUB3

自閉症スペクトラム障害の一つであるレット症候群(RTT)は女児に発症する重篤な精神・神経発達障害である.原因遺伝子MECP2の変異や発現異常はRTTを引き起こすだけでなく,種々の精神疾患の発症にも関与する.MeCP2はこれまでメチル化DNAに結合する転写抑制因子として働くと考えられてきたため,RTTの病態はメチル化された標的遺伝子の転写制御不全に起因すると想定されてきた.しかしながらRTTの表現型に直結するMeCP2標的遺伝子はこれまでに同定されておらず,MeCP2の機能異常によりRTTが引き起こされる分子メカニズムは長らく不明であった.しかし,最近の筆者らの研究により,MeCP2が特定microRNA(miRNA)のプロセシングを促進し,mTORシグナルを正に制御すること,MeCP2標的miRNAを欠損したマウスはMeCP2欠損マウスのRTT表現型を再現することが明らかになった.このことはRTTの病態にMeCP2のmiRNAプロセシング制御作用がきわめて重要な役割を果たしていることを示唆しており,自閉症スペクトラム障害の分子メカニズムの理解および治療法開発の糸口になると考えられる.

This page was created on 2016-12-27T09:32:57.837+09:00
This page was last modified on 2017-02-17T18:23:04.886+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。