Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 89(1): 62-72 (2017)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2017.890062

総説

スフィンゴ糖脂質の脂質ラフトの構造と機能:ラクトシルセラミドの脂質ラフトを介した自然免疫応答

1順天堂大学医療看護学部生化学研究室 ◇ 〒279–0023 千葉県浦安市高洲2–5–1

2順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所 ◇ 〒279–0021 千葉県浦安市富岡2–1–1

発行日:2017年2月25日
HTMLPDFEPUB3

スフィンゴ糖脂質は糖鎖とセラミドからなる分子で細胞膜外層に局在する.近年,セラミド合成機構が解明されるとともに,スフィンゴ糖脂質の機能に糖鎖構造とセラミド構造の両方が重要な役割を果たしていることが明らかとなっている.スフィンゴ糖脂質は組織や細胞特異的に,また,分化や発生の各段階に応じて分子種が異なることから,さまざまな機能に関与すると考えられている.しかしながら,スフィンゴ糖脂質は遺伝子に直接コードされている分子ではないため,生物機能を解析することが難しく,個々の分子の役割を明確に示すことは容易ではない.また,同じ糖鎖構造を持つ糖タンパク質の存在も無視できない.したがって,特定の糖脂質の機能解析を行うためには,タンパク質の機能解析とは異なる多面的なアプローチが必要となる.ここでは,中性のスフィンゴ糖脂質であるラクトシルセラミドの自然免疫応答における機能解析を例に,スフィンゴ糖脂質の生物機能発現における糖鎖とセラミドの脂肪酸鎖の役割について最新の知見も交えて概説する.

This page was created on 2016-12-28T13:08:56.966+09:00
This page was last modified on 2017-02-17T18:24:51.822+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。