生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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Journal of Japanese Biochemical Society 89(2): 164-175 (2017)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2017.890164

総説Review

セラミドとその代謝産物の皮膚における役割Roles of ceramide and its metabolites in cutaneous tissues

Department of Dermatology, University of California, San Francisco, USADepartment of Dermatology, University of California, San Francisco, USA ◇ 1700 Owens St. Room 326, San Francisco CA, 94158, USA ◇ 1700 Owens St. Room 326, San Francisco CA, 94158, USA

発行日:2017年4月25日Published: April 25, 2017
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紫外線,酸化ストレス,乾燥,化学物質や微生物などの外来の侵襲に常時さらされている皮膚は,多様な防御機構を備え,生体機能を維持している.セラミドは,スフィンゴ脂質の骨格と細胞膜成分となる.これら機能に加え,セラミドとその微量代謝産物のスフィンゴシンは,皮膚の最外層を覆う角層の細胞間において,陸上哺乳動物の生存に必要な表皮透過バリアを形成している.構造脂質としての役割にとどまらず,セラミドとその代謝産物はメディエーター(情報伝達)脂質として細胞の機能を調節する.外来の侵襲が,微生物感染の痕跡なしに,自然免疫因子である抗菌ペプチドの産生を高めることが知られている.その産生調節機構において,セラミドの代謝産物がメディエーターとして重要な役割を果たしている.

1. はじめに

表皮,真皮と皮下組織(脂肪,皮脂腺,爪,汗腺と毛)から構成される複合組織の皮膚は,生体重量にして約16%を占める最大臓器である.皮膚は外界と生体の境界に位置するゆえに,恒常的な外界からの刺激に対する防御機構を備えて生体の機能を正常に保っている.スフィンゴ脂質の一つであるセラミドは表皮において物質透過防御壁(バリア)の形成に重要な役割を果たしていることから,1990年ごろより,バリア機能改善・増強を目的としてセラミドあるいはその構造類似体がスキンケア剤に配合され始めている.しかし,1990年代の初頭から中ごろはセラミドの増殖抑制・アポトーシス誘導作用に関心が持たれ始めた時期で,脂質科学領域において皮膚におけるセラミドの透過バリア形成については理解が深まっていなかった.このような背景から,1996年のスフィンゴ脂質に関するゴードン会議で,米国のある教授は,欧州の化粧品会社の商品写真を写し,化粧品会社はなぜ皮膚と毛を痛めつけたいのかと冗談をいっていた.その後,筆者を含めた多くの研究者によりセラミドの皮膚における役割,固有な分子種,それらの生合成機構および疾患との関係が明らかにされ,また,化粧品会社により媒体を通したセラミド配合製剤の有用性に関する消費者への啓蒙活動が進み,皮膚におけるセラミドの市民権が確立されてきている.最近,筆者らは,セラミドの微量な代謝産物が角層で表皮透過バリアの構成成分となること,さらに,表皮で情報伝達をつかさどるメディエーターとして,自然免疫因子の一つ抗菌ペプチドの生成に重要な役割を果たしていることを見いだした.本稿では,特に皮膚におけるセラミドの透過バリアとメディエーターとしての役割(図1)を研究の推移を含めて概説する.

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図1 セラミドとその代謝産物の多様な機能

2. 表皮の構造

皮膚は表皮,真皮と皮下組織から構成される(図2).外層を覆う表皮は,皮内側より基底層,有棘層,顆粒層,角層の四つの層に分類される(図2).表皮にはケラチノサイト,メラノサイトと免疫系細胞が含まれるが,これらのうちケラチノサイトが全細胞の95%以上を占める.ケラチノサイトは基底層で分裂し,分化により構造的,代謝的,成分的に性状が変わり,有棘細胞,顆粒細胞,次いで核が分解(脱核)して,角質細胞となる.脱核に至る終末分化は,カスパーゼ14に依存する生理的アポトーシスと考えられている1).角層には脂質やタンパク質の分解酵素が含まれ,これらは脂質やタンパク質は分解されるが,新たな生体成分の合成は起きていない.

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図2 皮膚の構造

3. 外来の侵襲に対する皮膚の防御機構

生体内環境を維持するために,陸上哺乳動物の表皮は表皮透過防御および抗酸化,機械的刺激に対する防御,さらに抗菌など複数の防御壁(バリア)を備えている2).過度な水分蒸散は体温を低下させ,生体の代謝機能を低下させる.したがって,これらのバリアの中で表皮透過バリアは,保温バリアや微生物の侵入を防ぐ抗菌バリアも兼ね備える多機能バリアといえよう2).これらのバリア機能に加え,表皮は外界からの異物(化学物質)を排除するため,物質の解毒機構(酸化・還元酵素,抱合体合成酵素他)3)を有し,さらに,異物を認識しそれを排除する免疫機能を備えている.樹状細胞の一つであるランゲルハンス細胞やガンマデルタ(γδ)T細胞は,抗原の認識と免疫系の活性化を担い,また,毛包周囲に存在する制御性(レギュラトリー)T細胞は過度な炎症反応を抑制する4).ケラチノサイト自身も刺激に応答してさまざまなサイトカインを産生・放出することにより免疫反応の抑制あるいは活性化に寄与する.

動物と植物のいずれの表皮透過バリアも脂質がバリアの中心的な役割を負っている.植物はワックスエステルとアルカン(炭化水素)がバリア脂質となる.これに対して,陸上哺乳動物の場合,セラミド,コレステロールと遊離脂肪酸がバリアを形成している.脂質を含めたバリア構成成分は有核の顆粒層以下のケラチノサイトで産生され,顆粒層で産生が高まる.角層細胞は,顆粒層以下の有核細胞と異なり,細胞は脂質二重層膜に代わってタンパク質によって架橋され,化学的,物理的に堅牢な角化不溶性膜で覆われる5).このような強靭な構造物が,外界の機械的な負荷から生体を保護している.

4. セラミドとその代謝産物の表皮透過バリア形成

分化後期(顆粒層)のケラチノサイトは12分子種のセラミドを合成する(図3,Cer1~12).これらのセラミド分子の多様性は,セラミドを構成する脂肪酸とスフィンゴシン塩基のヒドロキシ化(非ヒドロキシ,2-ヒドロキシおよび末端のω-ヒドロキシ)の多様性に起因する.ヒドロキシ化の多様性に加えて,脂肪酸とスフィンゴシン塩基の鎖長にも多様性がある.このような多様な構造のセラミドが,コレステロールと脂肪酸とともに角層の安定な脂質多層膜(ラメラ)構造の形成に寄与している(図26, 7)

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図3 角層で透過バリアを構成するセラミド

セラミド分子種の命名はRobsonら,Mottaら,Ponecらの形式によった.NFA:非ヒドロキシ脂肪酸,2-OH FA:2-ヒドロキシ長鎖脂肪酸,ω-OH FA:ω-ヒドロキシ極長鎖脂肪酸,S:スフィンゴシン,H:6-ヒドロキシスフィンゴシン,P:4-ヒドロキシジヒドロスフィンゴシン(フィトスフィンゴシン),D:ジヒドロスフィンゴシン(スフィンガニン).主要な結合型セラミドのスフィンゴシン塩基は,スフィンゴシンと4-ヒドロキシジヒドロスフィンゴシンである.

表皮顆粒層で合成されたセラミドのほとんどは,グルコシルセラミド合成酵素によりグルコシルセラミドへ,また,スフィンゴミエリン合成酵素によりスフィンゴミエリンへ代謝され,それらの一部は分化後期のケラチノサイトに含まれる層板顆粒(ラメラ顆粒,ラメラボディ)に輸送され蓄積する.表皮以外には肺にも層板顆粒が含まれている.両者とも形態的に類似するが,肺の層板顆粒は肺サーファクタント(ホスファチジルコリン80~90%と,ホスファチジルグリセロール5~10%)を貯留しており,含有物にケラチノサイトと相違を示す8).層板顆粒の内容物は有核ケラチノサイトの細胞内で分解されたり,細胞内に放出されたりしないと考えられている.したがって,層板顆粒は角層に必要な成分を格納し,角層に届ける細胞内小器官と換言できる.層板顆粒から角質細胞間に放出されたグルコシルセラミド,スフィンゴミエリンは,酸性型のβ-グルコセレブロシダーゼとスフィンゴミエリナーゼによりそれぞれ加水分解を受け,セラミドに変換される.生成したセラミドは肪酸やコレステロールとラメラ構造体を作り,表皮透過バリアを形成する.ラメラ構造体には,これら主要な脂質成分以外にも少量成分ながらセラミド代謝産物のスフィンゴシンとジヒドロスフィンゴシン(スフィンガニン)が含まれ,ラメラ構造の安定化と充填性の高い表皮透過バリアの形成に寄与している9).角層に含まれる計12分子種のセラミドはすべてグルコシルセラミドから産生されるが,スフィンゴミエリンからは2種の産生にとどまる(図3のセラミド分子種NS, AS10, 11).遺伝性のスフィンゴ糖脂質代謝異常症のゴーシェ病のうち酵素活性がない,あるいは残存酵素活性がきわめて低いゴーシェ病2型においては,グルコシルセラミドから角層のセラミドの生成ができず,結果として皮膚の透過バリア形成不全で死に至る12).一方,酸性型のスフィンゴミエリナーゼ活性が低下するニーマン・ピック病A型とB型においては,急性期的な透過バリア崩壊からの回復性は低下する13)ものの患者に皮膚症状は報告されていない.この事実はグルコシルセラミド由来のセラミドがバリア形成に欠かせないことを示唆している.

12種のセラミド分子種の中で,3種のセラミド(ω-O-アシルセラミド)は,分化した陸上哺乳動物のケラチノサイトでのみ合成される.12種に加えてω-O-アシル化されていないω-ヒドロキシセラミドは,ω位の水酸基が角化不溶性膜の細胞間隙側に位置するグルタミン酸/グルタミンに富むペプチドに共有結合し,角質細胞脂質外膜(corneocyte lipid-bound envelope:CLE)を形成している.このタンパク質に結合したセラミドは結合型セラミド,それ以外のセラミドは非結合型セラミドと呼称されている14)

ω-O-アシルセラミドは,極長鎖脂肪酸(炭素鎖長28~34)の合成,その末端ω位が水酸基化,極長鎖脂肪酸のスフィンゴシン塩基への結合(セラミド合成),およびω位水酸基のアシル化(ほとんどがリノール酸)の4段階を経て生合成される.最近,これらのすべての生合成過程が明らかとなった.筆者らは,その最初のステップである極長鎖脂肪酸合成が脂肪酸鎖長延長酵素(ELOVL4)によることを明らかにした15, 16).その後,ELOVL4の基質となる長鎖脂肪酸はELOVL1により合成されること16)が明らかとなり,次いで,残りの3ステップが解き明かされていった.第2ステップではCYP4F22により極長鎖脂肪酸のω位ヒドロキシ化が起き17, 18),第3ステップでセラミド合成酵素(Cer3)によりω-ヒドロキシセラミドが生成され,最後の第4ステップでω-O-アシル化され,ω-O-アシルセラミドが生成される.この第4ステップの酵素はいまだ同定されていないが,筆者らはドルフマン・シャナリン魚鱗癬患者の角層脂質の分析から以下のような興味ある知見を得ている.患者の角層ではトリグリセリドが蓄積し,ω-O-アシルセラミドおよび結合型ω-ヒドロキシセラミド量が低下していた19).さらにイメージング質量分析により,表皮ω-O-アシルセラミドの低下とリノール酸を含むトリグリセリドの蓄積を確認した20).ドルフマン・シャナリン魚鱗癬はCGI-58(comparative gene identification-58,脂肪細胞トリグリセリドリパーゼの活性化因子)の遺伝子変異が原因となる疾患である.患者角層の脂質異常から,ω-ヒドロキシセラミドのω位水酸基のアシル化に必要なリノール酸は,CGI-58により活性化されるトリグリセリドリパーゼによりトリグリセリドから供給されることが明らかとなった.CGI-58は脂肪細胞トリグリセリドリパーゼ(adipose triglyceride lipase:ATGL)の活性化タンパク質として同定されたが,ATGL欠損マウスにおいては表皮透過バリア機能に異常が観察されない21).これに対して,ドルフマン・シャナリン魚鱗癬,あるいは,CGI-58欠損マウスは,ω-O-アシルセラミドの低下と表皮透過バリア形成不全を起こす.したがって,表皮にはCGI-58で活性化される別のトリグリセリドリパーゼが発現していると考えられる.ω-O-アシルセラミドのリノール酸残基は,12R-リポキシゲナーゼと表皮型リポキシゲナーゼ-3およびエポキシドの分解により,順次,リノール酸9-ヒドロキシエポキシド,リノール酸エポキシアルコール,さらに,トリヒドロキシリノール酸となって,セラミドのω水酸基は角化不溶性膜に結合する(結合型セラミド)22)

一方,ヒドロキシセラミドのかなりの部分を占めるα-ヒドロキシセラミドのα-ヒドロキシ脂肪酸(2位水酸化脂肪酸)は,2位水酸化酵素(FA 2-hydroxylase:FA2H)により生成される23).筆者らは,ケラチノサイトにFA2Hが発現することを示し,さらに,その遺伝子の発現を低下させた培養ヒトケラチノサイトでは2-ヒドロキシ脂肪酸と2-ヒドロキシ脂肪酸含有セラミドが低下すること,および,分化と物質透過バリア形成の異常が起きることを見いだした24).この事実は,これら脂質とFA2Hが,ケラチノサイトの機能に重要であることを示唆する.しかし,遺伝性痙性対麻痺タイプ35[hereditary spastic paraplegia(SPG35)]の病因となるFA2Hの変異した患者に皮膚症状は報告されていない25, 26).したがって,表皮においてはFA2H以外の脂肪酸2位水酸化酵素が発現している可能性が高い.

以上のように,いまだ同定されていないω-O-アシル化酵素*,トリグリセリドリパーゼ,および,脂肪酸2位水酸化酵素を除けば,表皮で生合成される12種の多様な表皮セラミドの全生合成過程がほぼ明らかとなっている.一方,表皮を含めて,セラミドの代謝調節機構は,以下に示すような若干の検討がなされているにすぎない.

核受容体のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)α, PPARβ/δおよび肝臓核受容体(LXR)は,表皮のスフィンゴ脂質を含めた脂質の合成に影響している.ヒトの培養ケラチノサイトを用いた検討から,PPARαはセリンパルミトイルトランスフェラーゼ,アシルCoA合成・酸化酵素とHMG–CoA合成酵素2の発現を高めること27, 28),PPARβ/δリガンドを塗布したマウスの表皮で表皮透過バリアを形成するセラミドの合成が高まること29),また,PPARα, PPARβ/δおよびLXRリガンド塗布により,β-グルコセレブロシダーゼとスフィンゴミエリナーゼの遺伝子発現が亢進することなどが報告されている.核受容体であるビタミンD受容体(VDR)の転写共役因子VDR-interacting protein(DRIP)はケラチノサイトの分化の初期に発現が高まるのに対して,steroid receptor coactivator(SRC)2と3は,分化後期に発現が高まる.分化初期にはDRIPが,後期にはSRC2と3が,ビタミンD受容体の活性化を介して,違ったタンパク質や脂質合成を調節している.筆者らは,ビタミンD受容体とこれらの転写共役因子がセラミドとグルコシルセラミドの産生調節に関与するが,スフィンゴミエリンの産生調節には関わらないことを明らかにした30)

5. セラミドとアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の病因は,免疫調節機構の不全と表皮透過バリアの形成不全の二面から考えられる.しかし,これら二つの機序が独立して起こることはない.免疫不全により,炎症が惹起され,ケラチノサイトの分化異常が起き,その結果,バリア形成不全を引き起こす.逆に,バリア機能低下は,異物の侵入による過剰な免疫反応により炎症を起こさせる.これら両機構が悪循環(atopic marchと呼称されている)し,病状が進行する31).したがって,ステロイドや免疫抑制剤で炎症を軽減させた後,あるいは同時に,バリア機能を改善する保湿剤や脂質製剤の塗布療法がなされている32)

フィラグリンは,分化した表皮で生成され,終末分化の過程で分解され,生成されたアミノ酸は角層で保湿機能を示す33).手塚正志博士(近畿大学名誉教授)らにより,フィラグリンタンパク質量の減少が,日本人のアトピー性皮膚炎患者皮膚で見いだされた33).その後,フィラグリン遺伝子の変異による欠損(ホモ型変異)・減少(ヘテロ型変異)が,アトピー性皮膚炎と尋常性魚鱗癬患者群で高頻度に起きることが明らかにされた34).正常な角層は酸性に保たれ,角層に含まれる中性型プロテアーゼの活性を抑制している.角層pHの中性化による中性型プロテアーゼの活性化が炎症惹起の一因となる31).フィラグリンの分解により生じたヒスチジンから生成されるウロカニン酸は,正常な表皮維持に必要な角層の酸性化に寄与している35).フィラグリン減少による角層の保湿成分の低下とウロカニン酸の低下による角層pHの中性化が,アトピー性皮膚炎の発症と進行の一因となると考えられている35).一部のアトピー性皮膚炎患者で角層のセラミド分子種の組成変化,あるいは,セラミド総量の低下が起きている36–39).しかし,角層のセラミドの分子種の変化とフィラグリン変異に相関性はないことが明らかになっている40).一方,セラミド総量の低下を起こした皮膚においては,スフィンゴミエリンからスフィンゴシルホスホリルコリン(リゾスフィンゴミエリン)を生成するスフィンゴミエリンデアシラーゼ活性が高まっている.その結果,アトピー性皮膚炎患者皮膚ではスフィンゴミエリンからのセラミドの生成が低下し,セラミド欠乏が起きると考えられている41).しかし,アトピー性皮膚炎で減する36, 37)ω-O-アシルセラミドは,スフィンゴミエリンからは産生されない10)ことから,少なくともスフィンゴミエリンデアシラーゼの活性上昇はセラミド分子種の変化の要因とはならない.一方,スフィンゴシルホスホリルコリンは,ケラチノサイトの細胞遊走性を高め,上皮の再生と血管内皮細胞の血管新生の促進作用を示す他,プラスミノーゲンとウロキナーゼ型プラスミノーゲン受容体の活性化を介して,糖尿病モデルマウス(db/db)の創傷治癒を促進することが知られている42, 43).したがって,スフィンゴシルホスホリルコリンは,メディエーターとしてアトピー性皮膚炎の発症・進行に関わっている可能性も高い.

6. 皮膚のスフィンゴ糖脂質のメディエーターとしての役割

1950年代に山川民夫博士(東京大学名誉教授)らにより,スフィンゴ糖脂質が,赤血球の血液型抗原になることが明らかにされ44),スフィンゴ糖脂質の生理的な役割が認識された.また,複雑な糖鎖の決定と,遺伝性のスフィンゴ糖脂質代謝異常症,がん細胞におけるスフィンゴ糖脂質分子種組成の変化や特異な分子種の発現が明らかになり,スフィンゴ糖脂質研究が急速に進んでいった.

ある種のスフィンゴ糖脂質は細胞膜で細菌受容体となる他,細胞間相互作用に関与する.さらに,直接的にメディエーターとして細胞機能の調節にも関係する.シアル酸を糖鎖に含むガングリオシドはタンパク質リン酸化酵素を直接活性化し神経系の細胞の神経突起伸展作用,成長因子受容体機能の増強,さらに,シナプス膜のカルシウムチャンネル機能の修飾による神経伝達物質の放出調節などの機能を持つ45, 46).箱守仙一郎博士(ワシントン大学)らにより,株化された培養皮膚扁平上皮がん細胞(A431)において,GM3ガングリオシドは,EGF受容体キナーゼ阻害によるチロシンリン酸化の低下を介して,細胞増殖を抑制することが報告された47).箱守研究室で,このGM3ガングリオシドの生理活性を見いだしたG. Bremer博士(ノースウェスタン大学)は,皮膚科医のS. Paller博士(ノースウエスタン大学)とともに,正常な表皮ケラチノサイトにおいても,GM3ガングリオシドが,この機構を介して細胞増殖抑制作用を示すことを確認した48).その後,彼女は,GT1bガングリオシドがプロテインキナーゼC非依存的にケラチノサイトの分化促進作用を示す49)こと,インテグリン結合キナーゼの阻害を介してガングリオシドが扁平上皮がん細胞(SCC12)のアポトーシス誘導作用を示す50)こと,デアセチルGM3は,メラノーマの浸潤・転移に関係すること51)などガングリオシドの皮膚における役割を明らかにしてきた.井ノ口仁一博士ら(東北薬科大学)により,炎症性サイトカイン(TNFα, IL-1, IL-6)による慢性炎症がGM3ガングリオシドの産生を高め,インスリン抵抗性を引き起こす新機構が見いだされた.この発見を契機に,GM3ガングリオシドと生活習慣病(メタボリックシンドローム)の関係が注目され始めた.前述のPaller博士らは,GM3ガングリオシドsiRNAを球形核酸(spherical nucleic acid:SNA)として13 nmの金ナノ粒子に固定化した52).この金ナノ粒子siRNAはトランスフェクション過程なしに細胞内に取り込まれるだけでなく,塗布により角層も透過し,顆粒層以下の表皮層に到達し,遺伝子の発現を抑制する52).このナノ粒子GM3ガングリオシドsiRNAの塗布により,創傷治癒の遅延する肥満モデルマウスの創傷治癒性が高まることが見いだされた52).現在,ナノ粒子siRNAの疾病治療への応用化が検討されている.

筆者は,永井克孝・岩森正男研究室(東京大学医学部生化学教室)にて表皮透過バリアを形成するセラミドとその前駆体となるグルコシルセラミドの構造とメディエーターとしての役割を調べた際に,株化された培養ケラチノサイト(FRSK細胞)の分化が,グルコシルセラミドとガラクトシルセラミドにより,細胞内カルシウムの上昇とプロテインキナーゼCの活性化を介して促進されることを見いだした53, 54).しかし,この時代は,siRNAはもとより,特異性と阻害効果が高いスフィンゴ脂質の合成分解酵素の阻害剤も入手できなかった.そのため,細胞内に取り込まれたこれらスフィンゴ糖脂質がセラミド,スフィンゴシンあるいはスフィンゴシン1-リン酸やセラミド1-リン酸に代謝され,分化促進作用を示したかどうかを明らかにできなかった.

7. 皮膚におけるセラミドとセラミド代謝産物のメディエーターとしての役割

1)セラミド

セラミドが赤芽球分裂促進作用を示すことが,1974年にR.B. Clayton博士(スタンフォード大学)らにより55)報告されている.炭素鎖長24のセラミドに最も高い活性が認められた55).しかし,その後は,セラミド自身のメディエーターとしての役割研究は進まなかった.

1986年のYusuf A. Hannun博士(現ストニーブルック大学)とRobert M. Bell博士(デューク大学)によるスフィンゴシンによるプロテインキナーゼC阻害作用の発見に続き,同研究者らとBell研に留学していた岡崎俊郎博士(現金沢医科大学)56–58)によるセラミドのヒト白血病細胞の分化誘導作用の解明がセラミド研究の転換を導いた.ほぼ同時期に,これら研究者とは別にRichard Kolesnick博士(スロンケタリング記念がんセンター)は,スフィンゴミエリナーゼの活性化により,増加したセラミドがヒト白血病細胞の分化誘導に作用することを報告している59).これら4科学者が,セラミドのメディエーターとしての研究発展の礎を作ったといっても過言でない.難容性のセラミドの生理活性を調べることは困難であったが,彼らは,細菌由来のスフィンゴミエリナーゼと合成した短鎖のセラミド(酸アミド結合脂肪酸鎖2~8)を利用し,この難点を克服した.しかし,生体内に短鎖のセラミドは含まれていないことから,この実験手法は人為的すぎるとの見解もあった.その後,短鎖のセラミドは細胞内に取り込まれた後,セラミダーゼによりスフィンゴシン塩基と短鎖脂肪酸に分解され,次いで,生成されたスフィンゴシン塩基と細胞内にある長鎖脂肪酸からセラミド合成酵素により長鎖セラミドが合成されることが明らかになり60),人為的作用の懸念は減った.細胞内で長鎖型のセラミドが増加していることを確認すれば,細胞内のセラミドやスフィンゴシン1-リン酸量を高める容易な実験手法として利用できる.

皮膚においてもセラミドのメディエーターとしての役割が検討されている.外から添加した短鎖セラミドは培養ケラチノサイトの分化を促進する61).筆者らは,B波長の紫外線照射や酸化ストレスで産生の高まったセラミドがアポトーシスを誘導することを明らかにした62).このことは,セラミドが生理的にもメディエーターとして役割を果たすことを示唆する.この検討の中で,低線量の紫外線はアポトーシスを誘導しないが,細胞死を起こす高線量と同程度線量を照射すると,照射後の初期(6~8時間)に細胞内のセラミド量が高まる63).その後,低線量照射の場合,セラミド量が低下していくのに対して,高線量の照射の場合,24時間後も細胞内のセラミド量が高まっており,アポトーシスを起こした細胞数も増加した63).セラミドにより誘導されるアポトーシスは制がん剤や放射線療法の作用機作の一つとなる.一方,セラミダーゼ,グルコシルセラミド合成酵素,スフィンゴミエリン合成酵素,および,スフィンゴシンキナーゼの恒常的な活性化により,がん細胞は制がん剤や放射療法耐性となる64).そこで,治療の効果を維持するため,制がん剤や放射線療法とスフィンゴ脂質代謝阻害剤の併用治療も検討されている64, 65).筆者らの得た知見は,薬剤耐性がんを産むセラミドの代謝機構が,正常なケラチノサイトでは紫外線や酸化ストレスにより誘導されるセラミド依存的なアポトーシス回避機構としても働くことを示唆している63).ゴルジ体で合成されるスフィンゴミエリンの基質となるセラミドは,小胞体からセラミド移送タンパク質(CERT)により移送されるが,筆者らは,紫外線や酸化ストレスでCERTが安定な三量体を形成しセラミド移送機能が低下することを見いだした66).したがって,セラミドのスフィンゴミエリンへの代謝機構は,ストレス下で十分に機能しない可能性が高い.ケラチノサイトを含めて,哺乳動物において,セラミドは,酵素の活性化(セラミド活性化セリン・トレオニンホスファターゼ,プロテインホスファターゼ1Aと2A,プロテインキナーゼCζ他)67)を介して細胞機能に影響を与える.このような機構に加え,セラミドは物理的にミトコンドリア膜に小孔を作り,アポトーシスを誘導する67).また,セラミドは膜の曲率を変える物性を持つことから,細胞膜の構造変化を介して細胞に影響を与えている可能性が高い.

2)スフィンゴシン塩基

スフィンゴシンを外から添加することにより,培養ケラチノサイトの増殖が抑制される61).また,4-ヒドロキシジヒドロスフィンゴシン(フィトスフィンゴシン)は培養ケラチノサイトの分化を誘導する68).マウスの皮膚を対象とした検討から,ホルボールエステル塗布で誘導される炎症性の皮膚肥厚は,フィトスフィンゴシン塗布で軽減される68).しかし,これらの報告において,スフィゴシンやフィトスフィンゴシンが,各々スフィンゴシン1-リン酸とフィトスフィンゴシン1-リン酸に代謝あるいはセラミドに再合成され,増殖抑制,分化促進あるいは抗炎症作用を示したかどうかは明らかにされていない.

3)スフィンゴシン1-リン酸

スフィンゴシン1-リン酸が細胞で生合成されることは1970年に明らかになっていたが69),その生理学的な役割は検討されていなかった.1990年の初頭にSarah Spiegel博士(バージニア・コモンウェルス大学)ら,ならびに五十嵐靖之博士(北海道大学)らにより,スフィンゴシン1-リン酸がメディエーター機能を持つことが明らかにされた.その後,細胞膜に発現するスフィンゴシン1-リン酸受容体も同定されたことから,スフィンゴシン1-リン酸の研究が急速に進んできた.スフィンゴシン1-リン酸は,細胞の種類,細胞が受ける刺激依存的にさまざまな作用を示す.皮膚において,スフィンゴシン1-リン酸は皮膚線維芽細胞,メラノーマ,脂肪細胞などの増殖を高めるが,ケラチノサイトでは増殖抑制,分化促進作用70–72)を示す.ケラチノサイトにおいて,スフィンゴシン1-リン酸は,スフィンゴシン1-リン酸受容体2(S1P2)への結合により,プロテインキナーゼCδを活性化する.その結果,Aktの脱リン酸化を引き起こし,インスリン受容体の活性化を介する増殖促進作用が阻害され,分化が誘導される73).ケラチノサイトの過増殖を伴う炎症性角化性皮膚疾患である乾癬では活性型ビタミンDが治療薬として用いられる.その作用機序の一つは,スフィンゴシン1-リン酸の産生を上昇させることによるケラチノサイトの増殖抑制と分化促進作用である74)

リンパ球は骨髄や胸腺と血流を介してリンパ節と脾臓間で循環する.スフィンゴシン1-リン酸濃度が高い場合,リンパ球のスフィンゴシン1-リン酸受容体の発現は低下し,リンパ球は活性化しない.血漿に比べスフィンゴシン1-リン酸濃度が低いリンパ節などではリンパ球のスフィンゴシン1-リン酸の受容体発現が高まり,リンパ球はスフィンゴシン1-リン酸によって活性化されて遊走性が高まり,リンパ節から血流に移動する75).アレルギー性物質による感作に先立ちスフィンゴシン1-リン酸を事前塗布するとアレルギー性接触皮膚炎が抑制される76).これは,スフィンゴシン1-リン酸により,アレルギー性接触皮膚炎成立に関わるランゲルハンス細胞(免疫担当樹状細胞)の皮膚からリンパ組織への遊走が抑制され,免疫反応の成立が低下したことによる.ヒトとイヌのアトピー性皮膚炎の皮膚においてはスフィンゴシン1-リン酸を分解するスフィンゴシン-1-リン酸リアーゼの遺伝子発現の亢進が認められ77–79),また,イヌのアトピー性皮膚炎において皮膚内のスフィンゴシン1-リン酸量の低下が確認されている78).スフィンゴシン1-リン酸の低下が過剰免疫反応を誘導し,アトピー性皮膚炎の発症と進行に関係していると考えられる.

4)セラミド1-リン酸

1990年を前後してセラミドの1位のリン酸化物,セラミド1-リン酸が哺乳動物細胞で生成されることが明らかになった80, 81).1990年代後半になり,Antonio Gomzez-Munoz博士(バスク大学)らにより,メディエーター機能が明らかにされていった.セラミド1-リン酸の受容体の存在が示唆され,その受容体の活性化を介した生理活性機構も報告82)されているが,受容体そのものは同定されていない.一方,Chales E. Chalfant博士(バージニア・コモンウェルス大学)らにより,セラミド1-リン酸が細胞内ホスホリパーゼA2への結合で同酵素を活性化し,産生されるアラキドン酸代謝産物のPGE2を介して,細胞機能の変化を与えることが明らかとなった83, 84).セラミド1-リン酸のホスホリパーゼA2への3次元的結合部位も同定されている85).小胞体からCERTにより移送されるセラミドが基質となり,セラミド1-リン酸が産生される.セラミド1-リン酸はセラミド1-リン酸輸送タンパク質により,細胞内を移送され,ホスホリパーゼA2の活性化を調節していると考えられている.異なった刺激に応答して,セラミド1-リン酸もスフィンゴシン1-リン酸と同様に,アポトーシス促進・抑制,増殖促進・抑制など多様な作用を示す86)

8. セラミド代謝産物の自然免疫調節機構

1)抗菌ペプチド

抗菌ペプチドは進化を超えて細菌,植物および動物で産生され,自然免疫の重要な因子として微生物感染から宿主細胞を防御している.哺乳動物では,上皮系細胞,リンパ球,好中球,単球やマクロファージなどで抗菌ペプチドが産生されている.抗菌ペプチドは電荷に富むペプチド(陽イオン性と陰イオン性の二つの型がある)で生体成分と結合しやすいため,細胞膜に結合あるいは融合し,膜に小孔を作って細胞内成分の漏出と細胞外成分の侵入により細胞機能を低下させる87, 88).ある種の抗菌ペプチドは細胞膜に融合または結合後に細胞内に取り込まれ,宿主の核酸やタンパク質に結合して代謝機能を不全にする88).したがって,抗菌ペプチドは菌株(ある種の真菌・ウイルスにも作用を示す)を問わない広域の抗菌スペクトルを示す.抗菌ペプチドを分解する酵素89)や抗菌ペプチドの排出ポンプの発現が誘導された場合には耐性菌が発生する90).しかし,抗生物質のように特定の代謝過程を阻害しないため抗菌ペプチド耐性菌の発生頻度は低い.

カテルシジン抗菌ペプチド(cathelicidin antimicrobial peptide)とβ-ディフェンシン1, 2および3は,表皮や皮脂腺の主要な抗菌ペプチドとして皮膚における微生物の増殖と浸潤を防いでいる.これらペプチドは常時産生されているが,細菌感染などにより産生が誘導される.

2)カテルシジンの産生調節機構

カテルシジンは,抗菌作用以外に細胞の増殖と遊走性を促進する作用を持つ多機能ペプチドである91).カテルシディンの過度な産生がある種の炎症やがん病変部で確認されており92),炎症惹起やがんの進行にも関わると考えられている.カテルシディンの転写は,プロモーター上にあるビタミンD受容体タンパク質の活性化により高まる.トール様受容体(TLR)2の活性化によりビタミンD受容体の活性化因子の産生が高まり,カテルシディンの産生が促進される93).また,リポ多糖によるTLR2/4受容体の活性化は活性型ビタミンD(1,25-ジヒドロキシビタモンD)の合成に必要なビタミンD-1-水酸化酵素の産生を高め,活性型ビタミンD量の増加を介してカテルシディン産生を増加させる94).しかし,マウスのカテルシディンのプロモーター上にはビタミンD受容体タンパク質結合配列が存在しない.また.ビタミンD欠乏者は,血中カテルシディン濃度が低く,結核の羅患率も高くなっていると報告95)されているが,ビタミンD欠乏者にあっても感染症の種類や病巣部位により相反する結果も出ている96).したがって,ビタミンD受容体非依存的なカテルシディン産生調節機構も存在すると考えるのが妥当である.以下に示すスフィンゴシン1-リン酸依存的機序は,ビタミンD受容体非依存的なカテルシディン転写調節機構の一つである97)

筆者らは,紫外線,酸化ストレスや表皮透過バリアの崩壊などの外来の侵襲が,細菌感染の痕跡なしに,カテルシディンの産生を高める事実に注目した.その機構を検討した結果,これら侵襲は小胞体(ER)ストレスを誘導し,転写調節因子のNF-κB,次いでc/EBPαを活性化し,カテルシディンの産生を高めることが明らかとなった97).小胞体ストレスは,セラミドの産生を高めること98)から,カテルシディンの産生亢進におけるセラミドのメディエーターとしての役割を調べた.小胞体ストレスにより産生の高まったセラミド,スフィンゴシンとスフィンゴシン1-リン酸のうち,スフィンゴシン1-リン酸がNF-κBを活性化してカテルシディンの産生亢進をもたらした99).スフィンゴシン1-リン酸は細胞膜に発現するGタンパク質共役受容体のスフィンゴシン1-リン酸受容体に結合し,その活性化を介して細胞機能に影響を与える.哺乳動物で5種の受容体が明らかにされている.このスフィンゴシン1-リン酸受容体経路以外に受容体非依存的な細胞内情報伝達経路も報告されているが,受容体依存的経路に比べて解明が進んでいない.スフィンゴシン1-リン酸受容体1, 2, 3,および,1と3のダブルノックアウトマウスの皮膚,さらに,スフィンゴシン1-リン酸受容体4と5の発現をsiRNAで抑制,あるいは,これら受容体の阻害剤と活性化剤を作用させた培養ケラチノサイトにおいても小胞体ストレスはカテルシディンの産生を高めた100).したがって,小胞体ストレスはスフィンゴシン1-リン酸受容体非依存的経路でNF-κBを活性化し,カテルシディンの産生を高めていると考えられた.

スフィンゴシン1-リン酸受容体非依存的なNF-κBの活性化として,TNFα受容体の活性化によりスフィンゴシン1-リン酸がTRAF2タンパク質に結合して情報伝達複合体を形成し,NF-κBの活性化を介して抗アポトーシス作用を示すことが明らかとなっている101).しかし,小胞体ストレスを介した場合,スフィンゴシン1-リン酸はTRAF2に結合せず,二つの熱ショックタンパク質(HSP90αと小胞体に在住するGRP94)と結合し,IRE1α(小胞体ストレスで活性化する小胞体タンパク質),TRAF2, RIP1とともに小胞体膜で情報伝達複合体を形成し,RIP1のポリユビキチン化を介して,転写調節因子NF-κBを活性化した100).TNFα受容体の活性化の場合,スフィンゴシン1-リン酸はHSP90αとGRP94に結合せず,TRAF2に結合した(図4100)

Journal of Japanese Biochemical Society 89(2): 164-175 (2017)

図4 小胞体ストレスとTNFα受容体活性化によるスフィンゴシン1-リン酸依存的な情報伝達経路

スフィンゴシン1-リン酸は,アポトーシス誘導,抗アポトーシス,炎症抑制あるいは炎症惹起など,相反する作用を含めて多様な作用を示す.スフィンゴシン1-リン酸は,違った刺激に応じて,異なったタンパク質(スフィンゴシン1-リン酸受容体,TRAF2102),HSP90100),IRF1103)など)に結合することでさまざまな細胞反応の調節が可能となると考えられる.

3)β-ディフェンシン2および3

カテルシディン以外に,表皮透過バリアの崩壊によりβ-ディフェンシンの産生が高まる.筆者らは,カテルシディンと同様に,β-ディフェンシン2と3の産生が小胞体ストレスにより誘導されることを見いだした104).スフィンゴシン1-リン酸と同様に小胞体ストレスで産生の高まったセラミド1-リン酸はカテルシディンの産生には影響を与えないが,β-ディフェンシン2と3の合成を高めた.一方,スフィンゴシン1-リン酸はこれらβ-ディフェンシンの産生に影響しなかった.セラミド1-リン酸の増加により,ホスホリパーゼA2が活性化され産生の高まったプロスタグランジンのうちプロスタグランジンJ2は,PPARαおよびPPARβ/δを活性化した.次いで,これらPPARは,Srcタンパク質リン酸化酵素の活性化を介して転写調節因子STAT1とSTAT3を活性化し,β-ディフェンシン2と3の転写を高めた104)図5).β-ディフェンシン2と3合成は,STAT1と3以外にNF-κBにより調節されていることが知られている105).しかし,小胞体ストレスによるセラミド1-リン酸を介する場合,NF-κBの活性化を抑制してもβ-ディフェンシン2と3の合成は影響を受けなかった.このことは,同一遺伝子の発現であっても上流の刺激が最終的な転写因子を決定することを示唆している.

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図5 小胞体ストレスによるβ-ディフェンシン2と3の産生調節機序

9. 企業における皮膚のスフィンゴ脂質研究

G. M. Gray博士とH. J. Yardley博士(キール大学)は表皮に多量のセラミドとグルコシルセラミドが含まれていること106),また,同時期にPeter M. Elias博士(カリフォルニア大学)らは表皮透過バリア形成と脂質の関係を明らかにした107).次いで,Philip W. Wertz博士とDonald T. Downing博士108–110)(アイオワ大学)108, 111, 112)および,Paul A. Bowser博士(ユニリーバ)113)により多様な表皮のセラミドとグルコシルセラミド構造が報告されたことから,表皮透過バリア形成におけるスフィンゴ脂質の役割が認識され,化粧品会社を中心に表皮のスフィンゴ脂質研究が発展した.海外の企業以上に日本の化粧品会社36, 41, 53, 114–129)が製剤研究を含めて皮膚のセラミド研究の発展に貢献した.1988~1991年にかけて3か所の研究機関からアトピー性皮膚炎におけるセラミド含有量と組成の変化が報告されたことで,化粧品にとどまらず皮膚科疾患薬としてセラミド塗布製剤に注目が集まり始めた.それら研究機関の中で芋川玄爾博士(花王,現中部大学教授)らはセラミドのバリア機能とアトピー性皮膚炎の役割について基礎的な研究から製剤化に及ぶ系統的な研究を行い示唆に富む知見を得てきた.その後,化粧品企業が動物実験を差し控えた事情もあり,官学を中心に遺伝性皮膚疾患の原因遺伝子の解明と遺伝子改変マウスを用いた機能的な解析からスフィンゴ脂質研究の生合成機構が明らかになってきた.スフィンゴ脂質研究には直接関係しないが,現在,傳田光洋博士(資生堂)は,皮膚生理チーム代表として,数理チーム代表の長山雅晴博士(北海道大学)とともにCRESTのプロジェクトとして,数理モデル・コンピュータシュミレーションと皮膚科学を融合させ,表皮透過バリアを含めて皮膚の生理現象を解き明かしつつある130–132).生体現象は,さまざまな生体成分により相互的に制御されている.筆者は,網羅的なノンターゲティング質量分析とRNA解析データを取り込んだ数理的なシミュレーション技法がスフィンゴ脂質研究を含めて,生命科学研究の飛躍的な発展,疾病予防・治療法開発につながると考えている.

謝辞Acknowledgments

東京薬科大学において,生化学研究に導いてくださった大熊誠一先生(東京薬科大学名誉教授),東京大学医学部において,スフィンゴ脂質研究者として育ててくださった故永井克孝先生(東京大学名誉教授)と岩森正男先生(近畿大学名誉教授)に深謝いたします.表皮透過バリアの解明と,その意義と疾患治療への応用化をしてきたPeter M. Elias先生と皮膚のスフィンゴ脂質生化学研究の第一人者であるWalter M. Holleran先生(University of California, San Francisco, CA)のもとで,ポスドクとして,さらにその後,共同研究者として,仕事をしてきたことは,かけがえのないことです.また,鐘紡において,皮膚の研究の機会を作り,援助をしてくださった同社の諸先輩と同僚,さらに,共同研究を通じて指導していただいてきた諸先生[濱中すみ子先生(はまなか皮フ科クリニック),佐野英紀先生,中島喜美子先生(高知医科大),岡崎俊郎先生(金沢医科大),生城浩子先生,矢野貴人先生(大阪医科大),平林義雄先生(理化学研),徳留嘉寛先生(城西大),瀬藤光利先生(浜松医科大),Yong-Moon Lee先生(Chungbuk National University, Cheongju, South Korea),Julie Saba先生(Children’s Hospital Oakland Research Institute, Oakland, CA)]に,お礼申し上げます.最後に,ポスドクとして,当初1年以上におよび自費留学生として無給で週7日間研究を続け,セラミド代謝産物の抗菌ペプチド産生調節機構を解明してきた,現在,共同研究者のKyungho Park博士(University of California, San Francisco, CA)に感謝いたします.

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著者紹介Author Profile

内田 良一(うちだ よしかず)

Research Scientist (Research Professor), Department of Dermatology, University of California, San Francisco. Ph.D.

略歴

1959年神奈川県横浜市に生る.82年東京薬科大学薬学部薬学科卒業,84年同大学院薬学研究科修士課程修了.84~99年鐘紡株式会社(化粧品研究所・基礎科学研究所).99~2003年よりUniversity of California, San Francisco, Assistant Research Biochemist,03~13年Associate Research Dermatologist (Associate Research Professor),13年より現職.

研究テーマと抱負

主に皮膚を対象として,スフィンゴ脂質の細胞・組織における役割を調べてきた.その検討の中で,セラミドの代謝産物により抗菌ペプチド(自然免疫の因子)の産生調節機構を明らかにした.今後は,調節機構の異常と疾患との関係を調べていきたいと考えている.

趣味

読書,クライミング,食探訪.

最近,F. P.W. Radner研究室(グラーツ大学),木原研究室 (北海道大学)および,村上研究室(東京都臨床医学総合研究所)により,O-アシル化酵素(Patatin like phospholipase domain containing 1 (PNPLA1))が解明された.により,ω-O-アシル化が起きることを明らかにした.Grond S. et al., J Invest Dermatol (2017) 137, 394–402, et al., Hirabayashi T., et al., Nature Commun (2017), 8, 14609. Ohno Y. et al., Nature Commun (2017), 8, 14610.参照.

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