微生物を用いた生合成工学Bioengineering utilizing microorganisms
北海道大学大学院工学研究院応用化学部門応用生物化学研究室Graduate School of Engineering, Hokkaido University ◇ 〒060–8628 札幌市北区北13条西8丁目 ◇ N13 & W8, Kita-ku, Sapporo, Hokkaido 060–8628, JAPAN
アミノ酸発酵に代表されるように,日本では微生物が持つ代謝活性をものづくりに有効活用してきた.古くは望む代謝活性を持つ微生物の探索が主であったが,近年はメタゲノムも含めゲノム情報からのアプローチが可能となった.筆者は本手法を用い,一次代謝ではメナキノン,パラアミノ安息香酸,ペプチドグリカンの生合成に関与する新規生合成経路・酵素を発見し,二次代謝では放線菌や糸状菌が生産する生理活性物質の詳細な生合成機構の解明を行ってきた.さらに前者では新規経路特異的阻害剤の探索による抗ピロリ菌剤への展開,後者では半合成に適した生合成中間体蓄積株の育種と応用へも発展させてきた.本稿では,これらの詳細について紹介したい.
© 2017 公益社団法人日本生化学会© 2017 The Japanese Biochemical Society
微生物における代謝経路は,主に大腸菌や出芽酵母を用いて明らかにされてきた.当初は,ほとんどの菌株において生育に必須な化合物を供給する一次代謝経路の生合成経路は同じであると考えられていた.しかし個々の菌株のゲノム配列が明らかになるにつれ,一次代謝経路であっても多様性があることがわかってきた.たとえばイソペンテニル二リン酸(isopentenyl diphosphate:IPP)はすべてのテルペノイド化合物の出発原料であるが,その生合成経路は主に出芽酵母を用いて明らかにされ,メバロン酸を中間体とするメバロン酸経路として知られている.原核微生物においても日本酒の製造過程において乳酸菌の混入により火落ち酸(メバロン酸)が生成したことから,長らく同じ経路で生合成されると信じられてきた.しかし大腸菌のゲノム配列が決定された後,メバロン酸経路の遺伝子群が探索されたが,酵母で同定された遺伝子と相同な遺伝子はまったく見いだされなかった.そこで安定同位体を用いたトレーサー実験が行われ1),大腸菌ではメバロン酸経路とはまったく異なる経路で生合成されることが示され,最終的に2-C-メチル-D-エリトリトール-4-リン酸(2-C-methyl-D-erythritol-4-phosphate:MEP)経路が明らかにされた2).筆者は当時MEP経路の解明を精力的に行っていた東京大学の葛山・瀬戸先生と共同研究する機会を得たことを契機に,微生物が持つ多様な一次・二次代謝経路に興味を持ち研究を行ってきた.具体的には一次代謝ではメナキノン,パラアミノ安息香酸,ペプチドグリカンの生合成に関与する新規生合成酵素・経路を発見し,二次代謝では放線菌や糸状菌が生産する生理活性物質の詳細な生合成機構の解明を行ってきた.さらに新規経路特異的阻害剤の探索による抗ピロリ菌剤開発への展開や実用医薬品開発のための半合成に適した生合成中間体蓄積株の育種など応用へも発展させてきた.本稿では,これらの詳細について,前半では新規一次代謝関連経路について,後半では二次代謝関連経路について紹介したい.なお,近年ゲノムマイニングによる多くの生合成研究が報告されていることから,周辺領域の研究例を選抜するのが難しく,筆者の研究の紹介が主になることをご容赦いただきたい.
メナキノン(menaquinone:MK,ビタミンKの一種)は人間にとっては血液凝固や骨の代謝に必須なビタミンであり,また微生物では呼吸の際の電子伝達系成分として生育に必須である.MKの生合成は1970~1980年代に主に大腸菌を用いて研究され,コリスミ酸からスクシニル安息香酸を経る経路が明らかにされた(図1)3).しかし筆者はゲノム解析が終了していた放線菌Streptomyces coelicolorとStreptomyces avermitilisが,呼吸の際MKを使うにも関わらず,大腸菌で同定された生合成遺伝子menF, menD, menCをまったく持たないことに気づいた.他方ナフトキノン骨格にプレニル側鎖とメチル基をつけるmenAとmenE遺伝子は存在したことから,MKのナフトキノン骨格のみが既知経路とは異なる経路で生合成されると考えられた.そこで,その全容解明を試みた.
左は大腸菌を用いて明らかにされていた既知経路,右は筆者が明らかにした新規生合成経路(フタロシン経路).赤矢印と青矢印は,各々ピロリ菌と放線菌が持つ経路を示す. 略号:SEPHCHC:2-スクシニル-5-エノイルピルビル-6-ヒドロキシ-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート,SHCHC:2-スクシニル-6-ヒドロキシ-2,4-シクロヘキサジエン-1-カルボキシレート.
詳細は紙面の都合で省略するが,最初に13Cでラベルされたグルコースを用いたトレーサー実験を行い,上述した菌株ではMKが大腸菌とは異なるラベルパターンを示すことを確認した4).次いで関与する酵素遺伝子と生合成中間体の同定を行った5–7).まずはバイオインフォマティクスによる候補遺伝子の絞り込みを試みた.ゲノム解析が終了していた微生物の中から,既知MK生合成経路を持つ微生物に存在せず,新規経路を持つ微生物にのみ存在する遺伝子を探索した.解析に用いる各々のグループの微生物の種類と数により,また相同遺伝子であると判断する期待値(e-value)の設定値により異なる検索結果が得られたが,精査することにより最終的にS. coelicolorのSCO4506(MqnA), SCO4326(MqnD), SCO4327(MqnB), SCO4550(MqnC)の4遺伝子を新規経路に関与する候補として選抜した.
次にこれら遺伝子が実際に新規経路に関与することを実証するため,四つの候補遺伝子を抗生物質耐性遺伝子に置換することにより破壊した.MK生合成遺伝子の破壊株は致死になることから,破壊株の選択培地には,S. coelicolorが持つMK8(MKのプレニル側鎖の炭素数が40)あるいはその代替物を添加する必要がある.そこで市販されていたMK4(MKのプレニル側鎖の炭素数が20)を用いた結果,添加時のみ四つの候補遺伝子の破壊株が取得でき,これら遺伝子が実際に新規経路に関与することを証明した.
またMK4がMK8の代替物として利用できることがわかったので,新規経路に関与する遺伝子の網羅的取得も目指し,S. coelicolorを用いた変異剤(ニトロソグアニジン)によるMK生合成欠損株の取得と相補遺伝子の取得も行った.その結果,上記四つの遺伝子に加え,シキミ酸経路の遺伝子であるコリスミ酸シンターゼ(SCO1496)で相補される変異株が取得できた.コリスミ酸シンターゼが触媒する反応は不可逆反応であることから,新規経路は既知経路同様にコリスミ酸を出発基質とするが,その後まったく別経路を経ると推定された.
新規経路の破壊株が取得できたことから,これら破壊株が蓄積する生合成中間体の同定を試みた.上述したようにSCO4506, SCO4326, SCO4327, SCO4550の破壊株はMKを添加しないと生育できない.しかし四つの破壊株のうち,任意の二つをMK4非存在下で混合培養した結果,すべての組合わせで生育が認められた.この事実から四つの遺伝子産物が生合成経路の異なるステップに関与すること,また生合成経路の下流に関与する遺伝子の破壊株が中間体を蓄積し,上流に関与する遺伝子の破壊株がその中間体をMKへと変換したと推定された.そこで本手法を用い,四つの遺伝子が関与する生合成上の相対位置をSCO4506→SCO4327→SCO4550→SCO4326と決定した.
次に同様の手法で生合成中間体の精製と構造解析を行った.最初にSCO4327破壊株とSCO4506破壊株を用い,SCO4327破壊株が蓄積する中間体の単離を行った.SCO4327破壊株をMK4存在下で大量培養後,溶媒を用いて添加MK4を除去し,各種クロマトグラフィーによる分画後,SCO4506破壊株の生育の回復を指標としたバイオアッセイを繰り返すことにより蓄積中間体を精製した.NMRやMSによる解析の結果,本化合物は放線菌から単離報告のあるフタロシン(futalosine:FL)であることがわかった(図1).
SCO4327破壊株がFLを蓄積したことから,SCO4327酵素はFLを次の中間体に変換すると考えられた.そこで熱安定性に優れている高度好熱細菌であるThermus thermophilus由来のSCO4327相同酵素の組換え酵素とFLを用いて反応させた結果,ヒポキサンチンとデヒポキサンチニルフタロシン(dehypoxanthinyl futalosine:DHFL)が生成した(図1).
次に上記と同様の手法で,SCO4550の組換え酵素がDHFLを次の中間体に変換するか検討した.しかし本酵素はラジカルSAM酵素(radical S-adenosyl-L-methionine酵素)と総称される酵素に属し,酸素感受性で精製が難しく活性を検出できなかった.そこで次の反応を触媒すると予想されたSCO4326破壊株が蓄積する中間体の単離を行い,サイクリックデヒポキサンチンフタロシン(cyclic DHFL)を得た.なおSCO4550の酵素反応機構に関してはTexas A & M大学のT. Begley教授との共同研究により最近,解明に成功した8).次いでcyclic DHFLとSCO4326組換え酵素を用いて次の中間体の同定を行った結果,1,4-ジヒドロキシ6-ナフトエ酸(1,4-dihydroxy-6-naphthoate)であることがわかった(図1).
残るは初発反応であるFLの生成メカニズムのみとなった.2008年までにSCO4506(MqnA)がコリスミ酸を脱水し芳香環化して3-[(1-カルボキシビニル)オキシ]安息香酸を生じる反応を触媒することを明らかにしていたが,FLの生成機構は不明であった.そこで新たにゲノム解析された菌株を用い,さらなる関連遺伝子の探索を行った.その結果,多くの場合,個々のMqn遺伝子は染色体上に分散しているが,好熱放線菌であるAcidothermus cellulolyticusでは遺伝子群が2か所にクラスターをなしており,その一方にアデノシンデアミナーゼ(Acel_0264)が含まれていた.微生物では関連遺伝子がクラスターをなす場合が多いことから,本酵素の新規経路への関与を最初に検討した.化学合成したアミノ体のフタロシン(aminodeoxy futalosine:AFL)と組換えアデノシンデアミナーゼを反応させた結果,予想どおりフタロシンが生成した.また本菌株が持つMqnB(前述したS. coelicolorのSCO4327に相当し,核酸の塩基部分を除去する酵素)は,AFLに作用せずFLのみに作用した.したがって放線菌ではコリスミ酸→AFL→FL→DHFLの順番で生合成されることがわかった.他方,新規経路を持つピロリ菌のMqnBは他の菌株のMqnBと相同性が低く,組換えMqnBとFLを反応させてもDHFLの生成は認められなかった.そこでAFLと反応させた結果,DHFLが生成したことから,ピロリ菌ではコリスミ酸→AFL→DHFLの順番で生合成されることがわかった.以上の結果から,新規経路の初発反応には多様性があることが判明した(図1)9).
上述したA. cellulolyticusのクラスター中には,機能不明のラジカルSAM酵素遺伝子が含まれていた(Acel_0259, MqnE).そこで本酵素がAFLの生成に関与するか検討した.最初にSCO4494遺伝子を破壊した結果,完全ではないもののMK要求性となった.そこでin vitroで実証するために,T. Begley教授との共同研究を行った結果,予想どおりSCO4506(MqnA)とSCO4494(MqnE)のみでAFLが生成することがわかった.興味深いことに,通常ラジカルSAM酵素はS-アデノシルメチオニン由来のアデノシルラジカルが反応の起点となり,種々のラジカル反応を触媒するのに対し,SCO4494は生じたアデノシルラジカルそのものを基質として用い,SCO4506(MqnA)により生じた3-[(1-カルボキシビニル)オキシ]安息香酸に付加することがわかった(図1)10).
今回全容解明したフタロシン経路は胃潰瘍・胃がんの原因菌として知られているピロリ菌,食中毒原因菌として知られているカンピロバクター属細菌,クラミジアやスピロヘータなどの病原微生物も有している.上述の実験でMKの生合成は微生物の生育に必須であったことから,新規経路の阻害剤はヒトや腸内の有用な乳酸菌等には影響を与えず,これら病原菌に対する特異的抗生剤になると期待される.そこで新規経路を有する微生物の生育のみを特異的に阻害する化合物を天然物に探索した.
筆者の研究室ではピロリ菌を扱えないため,2種類の納豆菌類縁菌を用いてアッセイを行った.Bacillus subtilisとBacillus haloduransはゲノム解析の結果から最も近縁な微生物と報告されているが,興味深いことにMKの生合成経路は異なり,前者は既知経路(大腸菌が持つ経路),後者は新規(フタロシン)経路を使う.そこで後者の生育を特異的に阻害し,かつその阻害がMKの添加で回復する化合物を天然物に探索した.その結果,古くからピロリ菌の生育を抑えることが知られていたが,作用機序が不明であった脂肪酸類が弱い活性ながらフタロシン経路を阻害することがわかった11).現在,さらに高活性な化合物を放線菌や糸状菌の代謝産物に探索している.
葉酸は核酸やアミノ酸の合成に関与し微生物の生育に必須の化合物であり,プテリン,パラアミノ安息香酸(4-aminobenzoic acid:pABA),およびグルタミン酸より構成される.pABA生合成に関しては,コリスミ酸を出発基質に用い,PabABCが関与する生合成経路が知られていたが,筆者はゲノム配列が公開されている微生物の中には既知pabABC遺伝子を持たない株が存在することに気づいた12).そこで乳酸菌Lactobacillus fermentumとNitrosomonas europaeaを用いて生合成遺伝子を探索した.
pABA栄養要求性大腸菌の相補を指標としたショットガンクローニングを行った結果,L. fermentumゲノムをDNA供与体とした場合には相補株を得ることはできなかったが,N. europaeaゲノムをDNA供与体とした場合には相補株が得られた.挿入遺伝子を詳細に解析した結果,NE1434遺伝子単独でpABA要求性を相補することがわかった.NE1434遺伝子は他の葉酸生合成遺伝子とクラスターをなしていることから,pABA生合成に関与すると推定された.しかしNE1434遺伝子は補酵素ピロロキノリンキノン(PQQ)生合成遺伝子の一つであるpqqCに相同性を示すが,その機能は不明であった.そこで,通常芳香族化合物を供給するシキミ酸経路遺伝子の破壊実験を行った結果,NE1434はシキミ酸経路の中間体を基質としないことが示唆された13).現在,その全容解明を試みている.
ほとんどの微生物はペプチドグリカンを有する.ペプチドグリカンの1ユニットであるUDP-N-アセチルムラミン酸(UDP-N-acetylmuramic acid:UDP-MurNAc)にペンタペプチドが結合した中間体は,六つの酵素によりUDP-N-アセチルグルコサミン(UDP-N-acetylglucosamine:UDP-GlcNAc)から生合成される.最初にMurAとMurBによりUDP-GlcNAcからUDP-MurNAcが生成し,次いで構造的に類似したMurC~MurFの四つの酵素により,順次L-アラニン(L-alanine:L-Ala),D-グルタミン酸(D-glutamate:D-Glu),メソジアミノピメリン酸(またはL-リシン),D-Ala-D-Alaが付加される(図2).この際に用いられるD-Gluは,多くの場合,グルタミン酸ラセマーゼにより供給されるが,Bacillus属細菌ではD-アミノ酸アミノトラスフェラーゼによりD-Alaと2-ケトグルタル酸から生合成される.
筆者はゲノムデータベースの精査により,XanthomonasやXylella属細菌は上記のいずれの遺伝子も持っていないことに気づいた.そこで,これらの株では新規な経路(酵素)でD-Gluを供給すると考え詳細に解析した.D-Glu要求性大腸菌とXanthomonas oryzae(MAFF311018)のゲノムを用いてショットガンクローニングを行った結果,XOO_1319とXOO_1320の両遺伝子が必須であることがわかった.前者は機能未知であるが,後者は上述のMurD(UDP-MurNAc-L-AlaにD-Gluを付加する酵素)と相同性を有していた.各々単独ではD-Glu要求性を相補せず,その反応機構に興味が持たれたことからさらなる解析を行った.最初にXOO_1319とXOO_1320の組換え酵素を調製し,各々単独で,あるいは共存下でL-Gluのラセミ化活性が検出できるか検討したが,いずれにおいても活性は検出できなかった.次に,MurDに相同性を示したXOO_1320が,予想される反応であるUDP-MurNAc-L-AlaへのD-Gluの付加反応を触媒するか検討した結果,コントロールとして用いた大腸菌の組換えMurDは高い活性を示したのに対し,XOO_1320では微弱な活性しか検出できなかった.そこで,上述の相補実験で二つの遺伝子が必須であった事実から,XOO_1319とXOO_1320の両組換え酵素とUDP-MurNAc-L-AlaとL-Gluを基質に用いて反応を行った結果,予想に反し効率よくUDP-MurNAc-L-Ala-D-Gluが生成した.詳細に解析した結果,XOO_1320がUDP-MurNAc-L-AlaにD-GluではなくL-Gluを付加しMurNAc-L-Ala-L-Gluが生成後,XOO_1319が生成物末端のL-GluをD-Gluにエピメリ化(異性体化)していることがわかった.以上の結果から,XOO_1320はL-Gluを基質に用いる初めてのMurDであり,XOO_1319は新規なL-Gluエピメラーゼであることが判明した(図2)14).しかし反応機構の詳細については未解明であることから,現在,結晶構造解析を試みている.なおXOO_1319の相同遺伝子は,γ-プロテオバクテリアに属するStenotrophomonas属,Dyella属,Frateuria属,Rhodanobacter属,Wenzhouxiangella属,Pseudoxanthomonas属,Lysobacter属細菌や,稀少放線菌であるMicromonospora属,Actinoplanes属,Verrucosispora属Salinispora属,Dactylosporangium, Longispora, Solirubrobacter属,Catenuloplanes属細菌など比較的多くの菌株に存在した.
ここからは,二次代謝に関連したユニークな生合成酵素とそれらの応用について紹介したい.ゲノム情報が活用できるようになりつつあった20年ほど前から,二次代謝産物の生合成研究も開始されるようになり,放線菌ではポリケチド系やペプチド系の化合物の生合成研究が行われていた.テルペノイド化合物に関しては,柑橘類に含まれるリモネン,植物ホルモンであるジベレリン,天然ゴムなど植物が生産する化合物がよく知られており,古くから真核生物を材料に用いた生合成研究がなされてきた.筆者は報告例が少ないものの多くの二次代謝産物を生産する放線菌からもテルペノイド化合物が単離されていたことに着目し,原核生物である放線菌が生産するテルペノイド化合物の生合成研究を他に先駆けて行ってきた.
テルペノイド化合物の多くは,IPPから生合成される直鎖状の基質であるポリプレニル二リン酸が特異的環化酵素により閉環され,多種多様な基本骨格が形成される.興味深いことに,これら環化酵素による閉環反応の第一段階はすべて共通しており,直鎖状ポリプレニル二リン酸の末端オレフィンのプロトン化(図3,B型),または二リン酸の脱離(図3,A型)によるカルボカチオンの生成から始まる.最終的にカルボカチオンが捕捉中性化されるまで各環化酵素特有のカチオン中間体を経る反応が順次進行し,多種多様なテルペノイド骨格へと導かれる.したがって,これら環化酵素の構造機能相関解析を行うことにより,任意の段階でカルボカチオンが捕捉中性化された化合物の生成を制御できる可能性があり,応用面でも興味が持たれる.しかし膜酵素である真核生物の環化酵素の発現は難しく,環化酵素の構造機能相関に関する研究は進んでいなかった.また原核生物起源の環化酵素に関してはセスキテルペン(炭素数15)であるペンタレネン生合成酵素の報告のみであったため15),放線菌が生産するジテルペン(炭素数20)化合物であるテルペンテシン(terpentecin:TP)とヒドロキシピマラ-9(11),15-ジエン[hydroxypimara-9(11),15-diene:PD]の生合成遺伝子クラスターを同定し,各々の生合成に関与する原核生物起源としては初めてのジテルペン環化酵素を詳細に解析した.
TP生合成遺伝子クラスター内には,二つのジテルペンシクラーゼ様遺伝子(Cyc1とCyc2)が存在した16).両酵素は膜酵素ではなく,容易に大腸菌内で組換え酵素として高発現できたことから,詳細に諸性質を検討した17, 18).その結果,Cyc1は炭素数20のゲラニルゲラニル二リン酸(geranylgeranyl diphosphate:GGDP)をB型の環化様式により閉環しテルペンテジエノール二リン酸を生成し,次いでCyc2が環化はしないがA型の反応機構により二リン酸を脱離させテルペンテトリエンを生成することがわかった(図3).両酵素は真核生物起源の環化酵素とのアミノ酸配列の相同性は低いが(Cyc1は植物起源のジテルペンサイクラーゼと30%弱の相同性を,Cyc2はペンタレネン生合成酵素とのみ25%の相同性を有する),酵素学的諸性質は植物起源酵素とよく似た値を示した.
またPDは,GGDPをB型の環化様式により閉環しent-コパリル二リン酸(ent-copalyl diphosphate:CDP)を生成するCDP生合成酵素と,CDPをA型の環化様式により閉環しPDを生合成するPD生合成酵素により生合成されることを明らかにした(図4)19, 20).見いだされたCDP生合成酵素は,植物起源のCDP生合成酵素とは20%程度の相同性しか有さず,最も高い相同性を示した酵素は上述のCyc1(37%)であった.またPD生合成酵素は,当時のデータベース上のいかなるタンパク質とも相同性を有さなかった.これらの事実から放線菌起源のイソプレノイド環化酵素のユニークさがうかがえた.
放線菌はIPPをMEP経路で供給するが,興味深いことにTPとPD生合成遺伝子近傍には,いずれもメバロン酸経路遺伝子群が存在していた19, 21).そこで他のテルペノイド系化合物を生産する放線菌においても同様の関連性が認められるか検討した.その結果,BE-40644生産菌22)やフラキノシン生産菌23)においても生合成遺伝子がメバロン酸経路遺伝子群とクラスターをなしていた.そこでメバロン酸経路の生理学的意義を調べるため,TP生産菌のメバロン酸経路特異的欠損株を構築した結果,TPの生産量が約40%に減少したことから,一次代謝で機能するMEP経路のみでは二次代謝産物の生合成に必要なIPPを供給できず,不足分をメバロン酸経路により補っていることがわかった24, 25).
他方ジテルペン化合物であるブラシリカルジン生合成遺伝子近傍にはメバロン酸経路遺伝子は見いだせなかった26).逆にテトラテルペン化合物(炭素数40)であるKS-505aでは,MEP経路の初発反応を触媒し,律速段階であることが報告されているdxs(1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸合成酵素)遺伝子が生合成クラスターに含まれていた27).
糸状菌が生産するジテルペン配糖体であるコチレニンは,抗がん剤としてきわめて有望であったが,その産生菌体が継代培養の過程で絶え供給不可能となった.そこで大阪大学の加藤らは,コチレニンの構造類似体であるフシコクシンA(fusicoccin:FC,図5)を用いて構造活性相関試験を行った結果,FCの12位の水酸基を除去した化合物がコチレニン様活性を有することを見いだした.そこで糸状菌であるFC産生菌Phomopsis amygdali染色体上の12位水酸化酵素遺伝子を同定し破壊することにより,半合成に有用な中間体蓄積株の育種を行った.
最初に,すでに同定されていたFCの基本骨格であるフシコッカジエン(図5のFD)を生成するGGDP環化酵素遺伝子(ORF1)28, 29)の近傍に関連遺伝子が存在するか検討した.その結果,ジオキシゲナーゼ(ORF2),シトクロムP450(ORF3:P450),還元酵素(ORF4)の合計四つからなるクラスター1を同定できた.しかし他の生合成遺伝子は存在しなかったため,FC生産菌のドラフトゲノム解析を行った.その結果,約21 kbのDNA断片内に四つのP450遺伝子[P450-2(ORF5), P450-3(ORF7), P450-4(ORF10), P450-5(ORF13)],糖転移(ORF6),メチル基転移(ORF8),アセチル基転移二つ(ORF9とORF12),プレニル基転移遺伝子(ORF11)の合計9個の遺伝子からなる生合成遺伝子クラスター2を同定できた(図5)30, 31).
見いだした五つのP450遺伝子のいずれかが12位の水酸化に関与すると推定されたため機能解析を試みた.当初,組換え酵素の調製を試みたが,糸状菌のP450は膜酵素であり発現不可能であった.また膜貫通領域を欠失させた酵素の発現も試みたがまったく発現できなかった.そこでFCの基本骨格を生成するGGDP環化酵素遺伝子(ORF1),P450遺伝子およびP450レダクターゼ遺伝子を出芽酵母のミクロソームで共発現させ,生成する代謝産物の構造を解析する方法,あるいはP450遺伝子とP450レダクターゼ遺伝子を出芽酵母のミクロソームで発現させて酵素源に用いるin vitroアッセイで機能解析を試みた32).その結果,P450-2(ORF5)がFDの8位の水酸化を,次いでP450-1(ORF3)が16位を水酸化することを明らかにした.生成した中間体はジオキシゲナーゼ(ORF2)によりアルデヒド体へ変換され,次いで還元酵素(ORF4)により再還元された(一連の反応で2, 3位の二重結合が1, 2位へ移動する)30, 33).さらに生成中間体はP450-3(ORF7)により9位が水酸化された(図5).したがって残るP450-4(ORF10)あるいはP450-5(ORF13)のいずれかが12位の水酸化を触媒すると考えられた.そこで相同組換えによる遺伝子破壊を行った結果,P450-5(ORF13)破壊株はFC Jを蓄積し,P450-4(ORF10)破壊株は12位が水酸化されないFC Hを蓄積した.両中間体の生産性は良好であり,たとえば後者の場合,野生株が生産するFC A以上の生産性が認められ,他のFC関連化合物の副生もほとんどみられなかった(図6,95%以上)30).FC Hからはコチレニンと同等以上の活性を有する誘導体が比較的容易に合成できることから当初の目標を達成することができた.
また,当時ゲノム解析された糸状菌は少なかったことから,ゲノム配列を決定したFC生産菌からゲノムマイニングによる二次代謝産物の生合成遺伝子も探索した.その結果,インドールジテルペン化合物の生合成遺伝子クラスターを見いだせたので解析を行った.特に,プレニル基転移酵素(AmyD)の機能解析を皮切りに,インドールジテルペン化合物であるパキシリンやアフラトレムの生合成に関与するプレニル基転移酵素PaxCとD, AtmDを組換え酵素を用いて詳細な機能解析した結果,これら酵素が幅広い基質特異性と柔軟な位置選択性を持つことも明らかにした34–36).
天然に見いだされるペプチド化合物の生合成機構として,最もよく知られているのが,タンパク質の生合成と同様にリボソームが関与する機構である37).この場合,ペプチドに取り込まれるアミノ酸の種類と順番はDNAに書き込まれたコドンに従う.
リボソームが関与しないペプチドの生合成として,非リボソームペプチド合成酵素の英語名(non-ribosomal peptide synthetase)の頭文字を取ってNRPSと総称される機構による生合成も知られている38).NRPSでは非タンパク質性のアミノ酸も基質として利用できるのが特徴である.この機構の場合,ペプチドに取り込まれるアミノ酸の種類は,ATPを用いてアデニル化により基質を活性化するNRPSのA-ドメインによって規定される.その他の例としてはアミノ酸をATPでリン酸化により活性化した後,もう一つのアミノ酸のアミノ基との間でアミド結合を形成するアミノ酸リガーゼやアミノアシルtRNAを利用して環状ジペプチドを形成する反応も知られている39).
放線菌が生産するペプチド抗生物質フェガノマイシン(pheganomycin:PM,図7A)は,非タンパク質性のアミノ酸,L-3,5-ジヒドロキシ-4-ヒドロキシメチル-アミジノフェニルグリシン[(S)-2-(3,5-dihydroxy-4-hydroxymethyl)phenyl-2-guanidinoacetic acid:HAPG]に,タンパク質性のアミノ酸からなるNVKDRまたはNVKDGPTペプチドが結合した2種類が知られている(図7A)40).PMは非タンパク質性のアミノ酸を持つことからNRPSにより生合成されると推定されたが,NRPSのA-ドメインによる基質アミノ酸の認識は厳密であり,どのように2種類の配列および長さからなるペプチドが生合成されるのか興味が持たれたので詳細に検討した.
PMに含まれるHAPGの基本骨格はバンコマイシンにも含まれ,すでに生合成遺伝子も同定されていたことから,その相同配列をPM生産菌のゲノム配列に探索した結果,PM生合成遺伝子クラスターを見いだした(図7B).しかしPMのペプチド基本骨格を生合成するのに必要な最大で八つのA-ドメインからなるNRPS遺伝子を近傍に見いだせなかった.そこでクラスターにペプチダーゼ遺伝子が存在したことも考慮し,タンパク質性のアミノ酸からなるペプチドがリボソームにより生合成される可能性を考え配列を精査した結果,両方の配列を含む38アミノ酸からなる前駆体ペプチドをコードする遺伝子を見いだした(図7B).本遺伝子を破壊した結果,PMの生産が消失したことから,2種類のペプチドはリボソームにより供給されると結論づけた.
次にN末端のHAPGとペプチド間のアミド結合を形成する酵素について検討を行った.これまでに非タンパク質性のアミノ酸とペプチド基質との結合を触媒する酵素についてはまったく報告がない.そこでアミド結合形成酵素の多くがATPを用いて基質を活性化することから,ATP結合ドメインを持つ酵素を探索した.その結果,前駆体ペプチドをコードする遺伝子の隣に,上述したアミノ酸リガーゼと弱い相同性を示す酵素(ペプチドリガーゼ;PGM1)遺伝子が存在した(図7B).しかしリン酸化により活性化された基質に対して,ペプチドが求核剤として利用される報告例はない.そこで最初にPGM1遺伝子を破壊した結果,PMの生産が完全に消失した.次にPGM1の組換え酵素を用いて,化学合成したL-アミジノフェニルグリシンとNVKDRまたはNVKDGPTペプチドをMg2+とATPの存在下で反応させた結果,両基質がアミド結合した生成物を得た41).これまでいくつかのアミノ酸リガーゼが報告されているが,PGM1はペプチドを求核剤として用いる初めての例であり,またPMの生合成はリボソームとそれ以外の機構とが協同してペプチドの基本骨格を形成する初めての例でもある.さらにPMの構造類縁体であるレゾルシノマイシン(resorcinomycin)も同様の機構で生合成されることも明らかとした42).
上記PGM1相同遺伝子をゲノムデータベースに探索した結果,一部の放線菌に見いだすことができ,それらはいずれも共通の六つからなる遺伝子とクラスターをなしていた(図8A).そこでMicromonospora sp., Salinispora tropica,およびStreptomyces mobaraensisを選抜し詳細な機能解析を行った.個々のクラスターをStreptomyces lividansで異種宿主発現し,クラスター由来の代謝産物の解析を試みた結果,すべてのクラスター保持株で特異的な生産物を確認できた.これらを精製し構造解析した結果,いずれも通常のペプチド結合がカルボニルメチレン構造に置き換わったシュードジペプチド構造を持ち,そのN末端にアミジノアミノ酸がアミド結合した構造を有しておりケトメミシン(ketomemicin)と命名した(図8B)43).
ケトメミシン生合成遺伝子クラスターに共通する六つの遺伝子のうち,ペプチドリガーゼ相同遺伝子は生合成の最終段階においてアミド結合形成反応を触媒すると予想できたことからin vitro解析を行った.N末端基質のL-アミジノアルギニンとC末端基質のシュードジペプチドを合成後,組換え酵素を用いてATP存在下で反応を行った結果,ケトメミシンの生成を確認できた43).さらにアミジノ基転移酵素についても組換え酵素を用い,詳細な酵素学的諸性質を明らかにした44).
また,これまでカルボニルメチレン構造の生合成に関する報告はないことから解明を試みた.上記の結果から図8に示したペプチドリガーゼとアミジノ基転移酵素遺伝子以外の四つの遺伝子が関与すると予想されたことから,組換え酵素を用いて解析を行った.最初に初発反応を担うと予想したアルドラーゼの酵素反応を検討した.本アルドラーゼはクエン酸の分解に関わるクエン酸リアーゼと相同性を有しており,当初アセチルCoAとフェニルピルビン酸からベンジルリンゴ酸CoAが生成すると予想したが反応は進行しなかった.しかしアセチルCoAの代わりにマロニルCoAを用いた場合には脱炭酸を伴って反応が進行した.続いて脱水素酵素をアルドラーゼ生成物と反応させたところ,反応が進行しベンジルフマリルCoAへと変換されることがわかった.さらにピリドキサールリン酸依存酵素であるグリシン-C-アセチルトランスフェラーゼが2回目の炭素–炭素結合形成を触媒し,最後に還元酵素により二重結合が還元されカルボニルメチレン構造を持つシュードジペプチドが生成することを確認した(図9)45).
以上述べてきたように,筆者はゲノム情報を活用し,新規一次代謝経路の同定やユニークな反応を触媒する二次代謝産物生合成遺伝子,酵素の機能解明を行い,多様な構造と活性を有する天然有機化合物がいかに生合成されるか明らかにしてきた.これまで多くの微生物起源の天然有機化合物や誘導体が上市されてきたにも関わらず,最近は多くの企業が本分野から撤退あるいは規模を縮小したと報道されている.しかし,これまで実用化されている多くの薬剤は微生物代謝産物関連化合物であること,さらに結核菌や多剤耐性菌に代表されるように,新規な作用を持つ抗菌剤はいまだに必要不可欠であることから,昨年の大村先生のノーベル賞ご受章を契機に再び微生物起源の天然生理活性物質研究が活発化することを期待し,筆者も研究を継続していきたい.
本研究は筆者が富山県立大学と北海道大学において,多くの学生諸子,ポスドク,教員の助力と科研費や民間財団の研究助成金により得られた成果であり,この場を借りて深謝したい.
1) Charon, L., Hoeffler, J.F., Pale-Grosdemange, C., Lois, L.M., Campos, N., Boronat, A., & Rohmer, M. (2000) Biochem. J., 346, 737–742.
2) Kuzuyama, T. & Seto, H. (2003) Nat. Prod. Rep., 20, 171–183.
3) Bentley, R. & Meganathan, R. (1982) Microbiol. Rev., 46, 241–280.
4) Seto, H., Jinnai, Y., Hiratsuka, T., Fukawa, M., Furihata, K., Itoh, N., & Dairi, T. (2008) J. Am. Chem. Soc., 130, 5614–5615.
5) Hiratsuka, T., Furihata, K., Ishikawa, J., Yamashita, H., Itoh, N., Seto, H., & Dairi, T. (2008) Science, 321, 1670–1673.
6) Hiratsuka, T., Itoh, N., Seto, H., & Dairi, T. (2009) Biosci. Biotechnol. Biochem., 73, 1137–1141.
7) Dairi, T., Kuzuyama, T., Nishiyama, M., & Fujii, I. (2011) Nat. Prod. Rep., 28, 1054–1086.
8) Cooper, L.E., Fedoseyenko, D., Abdelwahed, S.H., Kim, S.H., Dairi, T., & Begley, T.P. (2013) Biochemistry, 52, 4592–4594.
9) Arakawa, C., Furihata, K., Hiratsuka, T., Itoh, N., Seto, H., & Dairi, T. (2011) Antimicrob. Agents Chemother., 55, 913–916.
10) Mahanta, N., Fedoseyenko, D., Dairi, T., & Begley, T.P. (2013) J. Am. Chem. Soc., 135, 15318–15321.
11) Tanaka, R., Kunisada, T., Kushida, N., Yamada, K., Ikeda, S., Noike, M., Ono, Y., Itoh, N., Takami, H., Seto, H., & Dairi, T. (2011) J. Antibiot, 64, 151–153.
12) Kuratsu, M., Hamano, Y., & Dairi, T. (2010) Appl. Environ. Microbiol., 76, 7299–7301.
13) Satoh, Y., Kuratsu, M., Kobayashi, D., & Dairi, T. (2014) J. Biosci. Bioeng., 117, 178–183.
14) Ruoyin, F., Satoh, Y., Ogasawara, Y., Yoshimura, T., & Dairi, T. (2017) J. Am. Chem. Soc., doi: 10.1021/jacs.7b01221
15) Cane, D.E., Sohng, J.K., Lamberson, C.R., Rudnicki, S.M., Wu, Z., Lloyd, M.D., Oliver, J.S., & Hubbard, B.R. (1994) Biochemistry, 33, 5846–5857.
16) Dairi, T., Hamano, Y., Kuzuyama, T., Itoh, K., Furihata, K., & Seto, H. (2001) J. Bacteriol., 183, 6085–6094.
17) Hamano, Y., Kuzuyama, T., Itoh, K., Furihata, K., Seto, H., & Dairi, T. (2002) J. Biol. Chem., 277, 37098–37104.
18) Eguchi, T., Dekishima, Y., Hamano, Y., Dairi, T., Seto, H., & Kakinuma, K. (2003) J. Org. Chem., 68, 5433–5438.
19) Kawasaki, T., Kuzuyama, T., Kuwamori, Y., Matsuura, N., Itoh, N., Furihata, K., Seto, H., & Dairi, T. (2004) J. Antibiot, 57, 739–747.
20) Ikeda, C., Hayashi, Y., Itoh, N., Seto, H., & Dairi, T. (2007) J. Biochem., 141, 37–45.
21) Dairi, T., Motohira, Y., Kuzuyama, T., Takahashi, S., Itoh, N., & Seto, H. (2000) Mol. Gen. Genet., 262, 957–964.
22) Kawasaki, T., Kuzuyama, T., Furihata, K., Itoh, N., Seto, H., & Dairi, T. (2003) J. Antibiot, 56, 957–966.
23) Kawasaki, T., Hayashi, Y., Kuzuyama, T., Furihata, K., Itoh, N., Seto, H., & Dairi, T. (2006) J. Bacteriol., 188, 1236–1244.
24) Hamano, Y., Dairi, T., Yamamoto, M., Kawasaki, T., Kaneda, K., Kuzuyama, T., Itoh, N., & Seto, H. (2001) Biosci. Biotechnol. Biochem., 65, 1627–1635.
25) Hamano, Y., Dairi, T., Yamamoto, M., Kuzuyama, T., Itoh, N., & Seto, H. (2002) Biosci. Biotechnol. Biochem., 66, 808–819.
26) Hayashi, Y., Matsuura, N., Toshima, H., Itoh, N., Ishikawa, J., Mikami, Y., & Dairi, T. (2008) J. Antibiot, 61, 164–174.
27) Hayashi, Y., Onaka, H., Itoh, N., Seto, H., & Dairi, T. (2007) Biosci. Biotechnol. Biochem., 71, 3072–3081.
28) Toyomasu, T., Tsukahara, M., Kaneko, A., Niida, R., Mitsuhashi, W., Dairi, T., Kato, N., & Sassa, T. (2007) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 3084–3088.
29) Minami, A., Tajima, N., Higuchi, Y., Toyomasu, T., Sassa, T., Kato, N., & Dairi, T. (2009) Bioorg. Med. Chem. Lett., 19, 870–874.
30) Noike, M., Ono, Y., Araki, Y., Tanio, R., Higuchi, Y., Nitta, H., Hamano, Y., Toyomasu, T., Sassa, T., Kato, N., & Dairi, T. (2012) PLoS One, 7, e42090.
31) Noike, M., Liu, C., Ono, Y., Hamano, Y., Toyomasu, T., Sassa, T., Kato, N., & Dairi, T. (2012) ChemBioChem, 13, 566–573.
32) Hashimoto, M., Higuchi, Y., Takahashi, S., Osada, H., Sakaki, T., Toyomasu, T., Sassa, T., Kato, N., & Dairi, T. (2009) Bioorg. Med. Chem. Lett., 19, 5640–5643.
33) Ono, Y., Minami, A., Noike, M., Higuchi, Y., Toyomasu, T., Sassa, T., Kato, N., & Dairi, T. (2011) J. Am. Chem. Soc., 133, 2548–2555.
34) Liu, C., Noike, M., Minami, A., Oikawa, H., & Dairi, T. (2014) Appl. Microbiol. Biotechnol., 98, 199–206.
35) Liu, C., Minami, A., Noike, M., Toshima, H., Oikawa, H., & Dairi, T. (2013) Appl. Environ. Microbiol., 79, 7298–7304.
36) Tagami, K., Liu, C., Minami, A., Noike, M., Isaka, T., Fueki, S., Shichijo, Y., Toshima, H., Dairi, T., & Oikawa, H. (2013) J. Am. Chem. Soc., 135, 1260–1263.
37) Arnison, P.G., Bibb, M.J., Bierbaum, G., Bowers, A.A., Bugni, T.S., Bulaj, G., Camarero, J.A., Campopiano, D.J., Challis, G.L., Clardy, J., Cotter, P.D., Craik, D.J., Dawson, M., Dittmann, E., Donadio, S., Dorrestein, P.C., Entian, K.D., Fischbach, M.A., Garavelli, J.S., Göransson, U., Gruber, C.W., Haft, D.H., Hemscheidt, T.K., Hertweck, C., Hill, C., Horswill, A.R., Jaspars, M., Kelly, W.L., Klinman, J.P., Kuipers, O.P., Link, A.J., Liu, W., Marahiel, M.A., Mitchell, D.A., Moll, G.N., Moore, B.S., Müller, R., Nair, S.K., Nes, I.F., Norris, G.E., Olivera, B.M., Onaka, H., Patchett, M.L., Piel, J., Reaney, M.J., Rebuffat, S., Ross, R.P., Sahl, H.G., Schmidt, E.W., Selsted, M.E., Severinov, K., Shen, B., Sivonen, K., Smith, L., Stein, T., Süssmuth, R.D., Tagg, J.R., Tang, G.L., Truman, A.W., Vederas, J.C., Walsh, C.T., Walton, J.D., Wenzel, S.C., Willey, J.M., & van der Donk, W.A. (2013) Nat. Prod. Rep., 30, 108–160.
38) Koglin, A. & Walsh, C.T. (2009) Nat. Prod. Rep., 26, 987–1000.
39) Giessen, T.W. & Marahiel, M.A. (2012) FEBS Lett., 586, 2065–2075.
40) Suzukake-Tsuchiya, K., Hori, M., Shimada, N., & Hamada, M. (1988) J. Antibiot, 41, 675–683.
41) Noike, M., Matsui, T., Ooya, K., Sasaki, I., Ohtaki, S., Hamano, Y., Maruyama, C., Ishikawa, J., Satoh, Y., Ito, H., Morita, H., & Dairi, T. (2015) Nat. Chem. Biol., 11, 71–76.
42) Ooya, K., Ogasawara, Y., Noike, M., & Dairi, T. (2015) Biosci. Biotechnol. Biochem., 79, 1833–1837.
43) Ogasawara, Y., Kawata, J., Noike, M., Satoh, Y., Furihata, K., & Dairi, T. (2016) ACS Chem. Biol., 11, 1686–1692.
44) Ogasawara, Y., Fujimori, M., Kawata, J., & Dairi, T. (2016) Bioorg. Med. Chem. Lett., 26, 3662–3664.
45) Kawata, J., Naoe, D., Ogasawara, Y., & Dairi, T. (2017) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., doi: 10.1002/anie.201611005
This page was created on 2017-03-07T09:09:09.207+09:00
This page was last modified on 2017-04-17T09:42:41.775+09:00
このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。