血栓形成機序の新概念と次世代型抗血栓療法
1 国立循環器病研究センター,脳血管内科 ◇ 〒565–8565 大阪府吹田市藤白台5–7–1 国立研究開発法人国立循環器病研究センター
2 国立循環器病研究センター,分子病態部 ◇ 〒565–8565 大阪府吹田市藤白台5–7–1 国立研究開発法人国立循環器病研究センター
3 奈良県立医科大学,血栓制御医学 ◇ 〒634–8522 奈良県橿原市四条町840 奈良県立医科大学 血栓制御医学講座
動静脈血栓症は世界的に死因の上位を占め,その制圧は喫緊の課題である.最近のマウスの下大静脈狭窄モデルの開発や生体内イメージング技術の進展により,従来の凝固反応と血小板凝集反応に加え,血栓形成機序に好中球や単球が積極的に関わることが明らかになってきた.特に静脈血栓症成立メカニズムにおいては,自然免疫系の細胞が血栓形成に大きく関与するとの“Immunothrombosis”と称する新概念が確立された.この過程において血管内皮細胞から分泌され,一部は細胞上に係留するフォンビルブランド因子(VWF)は,活性化された内皮細胞上に血小板を粘着・凝集させる機能を担っているが,その重合度が高いほど血栓能が高い.ADAMTS13はVWFを切断しVWFの重合度を下げることにより生体でのVWFの血小板粘着・凝集能を精妙に調節している.
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