後天性突然変異で生じるGPIアンカー欠損赤血球と発作性夜間ヘモグロビン尿症
大阪大学・微生物病研究所・籔本難病解明寄附研究部門 ◇ 〒565–0871 大阪府吹田市山田丘3–1
発行日:2017年6月25日
発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)は,GPIアンカー型の補体制御因子であるDAF/CD55とCD59を欠損した異常赤血球集団が後天性に出現し,感染などに伴い活性化した自己補体で溶血する難治性の血液疾患である.多能性造血幹細胞で,X染色体遺伝子のPIGAに体細胞突然変異が起き,GPIアンカー生合成能が欠損した異常クローンが生じる.異常クローンは,自己免疫性の骨髄不全の環境下で拡大し,GPIアンカー型タンパク質を欠損したPNH型血液細胞を大量に産生し,溶血性貧血を発症する.補体C5の活性化を阻害する抗C5抗体医薬により,補体による溶血を抑制することができ,治療効果が得られる.
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