赤芽球の脱核:その仕組みと生物学的意義の考察
秋田大学大学院理工学研究科附属理工学研究センター ◇ 〒010–8502秋田県秋田市手形学園町1–1
発行日:2017年6月25日
赤血球の役割は,酸素を各組織・細胞へ届けると同時に二酸化炭素を重炭酸イオンに変換することである.エネルギー産生を酸化的リン酸化に依存する多くの動物,特に陸に這い上がった動物群には酸素はなくてはならない.ヒトの全細胞数の70%以上を占める赤血球は低酸素環境の骨髄で1日あたり約2000億個産生され,約120日の間に20万回以上循環する.
赤芽球の脱核は哺乳類に特化した現象であるといってよい.換言すれば核のない赤血球はほぼ哺乳類だけで,同じ地上で重力に逆らって生活する鳥類の他,爬虫類や両生類,水中生活する魚類に至るまで赤血球には核がある.本稿では,生物進化学,特に環境適応を基盤に赤血球を特徴づけるヘモグロビン,脱核機構,エネルギー代謝,膜骨格構造の観点から多角的に赤芽球の脱核の意義を考察する.
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