GATA2遺伝子エンハンサーの異常による疾患発症機構
東北大学大学院医学系研究科ラジオアイソトープセンター ◇ 宮城県仙台市青葉区星陵町2–1
発行日:2017年6月25日
転写因子GATA2は血球,泌尿器,血管,神経などさまざまな組織の発生および恒常性維持に重要な役割を果たしている.GATA2遺伝子は,組織特異的なエンハンサーによってその発現が制御されており,これらのエンハンサーはGATA2遺伝子の周囲約200 kbという広範囲に分布している.GATA2遺伝子の血球および血管特異的エンハンサーの変異は,MonoMAC症候群などの疾患の原因として同定されている.また3番染色体転座および逆位では,血球エンハンサーがGATA2遺伝子から解離し,がん原遺伝子EVI1に結合することによってEVI1遺伝子の発現を活性化することが白血病発症の原因となっている.本稿では,GATA2遺伝子の発現制御機構とその破綻による疾患の発症メカニズムについて解説する.
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