Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 89(5): 644-651 (2017)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2017.890644

特集

ガングリオシドGM3合成酵素欠損症からみるスフィンゴ糖脂質機能

1東北医科薬科大学・分子生体膜研究所・機能病態分子学 ◇ 〒981–8558 宮城県仙台市青葉区小松島4–4–1

2川崎医科大学・病態代謝学教室 ◇ 〒701–0192 岡山県倉敷市松島577

発行日:2017年10月25日
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ガングリオシドはその糖鎖構造中にシアル酸を含むスフィンゴ糖脂質の総称であり,脊椎動物の多細胞社会構築と各細胞の機能(増殖,分化など)制御に重要な分子群と考えられてきた.一方で,これまで各種ガングリオシド生合成酵素欠損マウスが作製されてきたが,その症状は予想よりはるかに軽度であり驚きをもって解析が続けられてきた.近年,ガングリオシド合成酵素の変異による欠損症が多数報告された.GM3合成酵素欠損症とGM3合成酵素欠損マウスで見いだされた症状は共通した部分だけでなく大きく違う部分もあった.本稿では,GM3合成酵素欠損症からみえてきた聴覚におけるガングリオシド機能に関して概説するとともに,マウスとヒトでみられたGM3合成酵素欠損時の症状の違いを代謝の観点から新知見を交えて考察した.

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