スフィンゴ脂質活性化タンパク質—サポシン—の生理機能と疾患
川崎医科大学病態代謝学 ◇ 〒701–0192 岡山県倉敷市松島577
発行日:2017年12月25日
サポシン(SAP)A, B, C, Dはリソソーム内でのスフィンゴ糖脂質の加水分解に必要な触媒活性を持たない補因子である.これら四つのサポシンは共通の前駆体タンパク質であるプロサポシン(PSAP)上に直列に並んで存在しており,リソソームで複数のプロテアーゼによるプロセシングを経て生成される.PSAPは細胞外へも分泌される.四つのSAPはいずれも疎水性アミノ酸に富む約80個のアミノ酸からなり,三つのジスルフィド結合,N結合型糖鎖を持つ相同性の高い構造を有している.ヒトではSAP-A, B, Cの各単独欠損症が報告されており,SAP-A欠損症はガラクトシルセラミダーゼ欠損症であるクラッベ病に類似した病像を,SAP-B欠損症はアリールスルファターゼA欠損症である異染性白質ジストロフィー様の病像を,SAP-C欠損症はグルコシルセラミダーゼ欠損症であるゴーシェ病様の病像を呈する.SAP-Dに関しては今のところヒトの疾患は報告されていないが,酸性セラミダーゼの活性化に関与していると報告されている.本稿では我々が作製した各SAPの特異的欠損マウスから得られた知見を中心に,SAPおよびPSAPの新規機能に関する知見を交えて概説する.
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