調節性翻訳アレストペプチドによる細胞機能の制御
京都産業大学総合生命科学部生命システム学科,京都産業大学タンパク質動態研究所 ◇ 〒603–8555 京都市北区上賀茂本山
発行日:2018年4月25日
近年,翻訳の途上で自身の伸長を一時停止(アレスト)させ,その状態で細胞の機能調節に関わるアレストペプチドが次々と見いだされている.翻訳アレストペプチドの発見をきっかけとし,現在,翻訳途上鎖が主役を演じる生命現象に着目した研究,いわば,翻訳途上鎖のバイオロジー(nascent chain biology)ともいうべき研究分野が生まれつつある.このような新たな視点での研究が,セントラルドグマに基づく形質発現プロセスの進行においていまだ隠されていた新たな原理や概念を浮き彫りにし,さらには,タンパク質の生合成に関する他の関連研究分野にインパクトを与えてきた.本稿では,これまでに見いだされた代表的なアレストペプチドを紹介し,その研究がもたらした生物学上の新たな概念や,関連研究分野へのインパクトについて論ずる.
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