Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 90(3): 340-347 (2018)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900340

特集Special Review

生体内カドミウム・マンガン輸送における亜鉛輸送体ZIP8の役割The roles of ZIP8 on cadmium and manganese transport in cells and humans

徳島文理大学薬学部衛生化学講座Laboratory of Molecular Nutrition and Toxicology, Faculty of pharmaceutical Sciences, Tokushima Bunri University ◇ 徳島県徳島市山城町西浜傍示180 ◇ 180 Yamashiro, Tokushima 770–8514, Japan

発行日:2018年6月25日Published: June 25, 2018
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日本人への健康影響が懸念されるカドミウム(Cd)輸送体を探索する研究から亜鉛輸送体のZIP8がCd輸送能を持つことがわかった.ZIP8は二価マンガン(Mn)の取り込みも行うことが明らかになり,腎臓の近位尿細管からのCdとMnの再吸収に重要な役割を果たす可能性が示唆されている.近年,さまざまなヒトの疾患とZIP8との関連が報告され,ZIP8をコードする遺伝子SLC39A8の変異により,重篤なMn代謝異常症が起こることが発見され,Mn輸送体としてのZIP8の重要性が注目されている.ZIP8変異による疾患発症のメカニズムの解析により,生体内のMn代謝機構におけるZIP8の役割と調節機構,さらにはMn恒常性維持機構が解明されることが期待される.

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