Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 90(3): 348-360 (2018)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900348

総説

ホスホリパーゼA2ファミリーの多様性と生命応答における役割

東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター健康環境医工学部門 ◇ 〒113–8655 東京都文京区本郷7–3–1

発行日:2018年6月25日
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ホスホリパーゼA2(PLA2)は元来,リン脂質を加水分解する酵素(ホスホリピッド+アーゼ)を指す.これまでの生命科学研究において,PLA2はもっぱらアラキドン酸代謝との関連が注目されてきた.構造や性質の異なる多数のPLA2が同定された現在,この古典的概念だけではPLA2分子群の機能を十分に語ることはできないことはもはや明白である.PLA2という名称を持ちながらPLA2反応とは異なる脂質代謝を触媒する酵素や,PLA2とは一見無関係の名称を持ちながらPLA2として作用する酵素を含めると,広義のPLA2の総数は今や50を超える.PLA2分子群はまさに脂質代謝制御の中核に位置するボトルネック酵素として,脂質の三大機能(エネルギーとしての脂質,膜としての脂質,シグナルとしての脂質)に多様に関わっている.本稿では広義のPLA2について,これまでに明らかとなっている生体内機能ならびに関連する脂質代謝に関する最新の知見を概説する.

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