ファンコニ貧血の新規原因遺伝子RFWD3/FANCWの機能解析から明らかになった相同組換え反応制御機構
京都大学放射線生物研究センター晩発効果研究部門 ◇ 〒606–8501 京都市左京区吉田近衛町
発行日:2018年6月25日
日々細胞内で生じる無数のゲノム損傷のうち,DNA複製,転写を阻害するDNA鎖間架橋(ICL)はとりわけ有害である.ICL修復は多数の因子によって遂行されるが,このいずれが欠落してもファンコニ貧血(FA)を発症すると考えられる.ファンコニ貧血患児の原因遺伝子ハンティングはICL修復経路を解明するための重要な手がかりであり,現在までに21の因子が同定されてきた.今回,ドイツで診断された患児細胞の全エキソン解析から,E3リガーゼであるRFWD3に複合ヘテロ変異が存在することが見いだされた.我々はノックアウト細胞での検証実験によってRFWD3変異がこの症例におけるFAの原因であることを証明し,RFWD3の分子機能が,相同組換えの制御タンパク質であるRPAおよびRAD51のユビキチン化を介した除去にあることを見いだした.本稿では,ファンコニ貧血およびICL修復の全体像を,新規FA原因遺伝子RFWD3の機能を含めて概説する.
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