2型スフィンゴシン1-リン酸受容体S1P2の病態生理機能
金沢大学医薬保健研究域医学系血管分子生理学分野 ◇ 〒920–8640 石川県金沢市宝町13–1
発行日:2018年10月25日
脂質メディエータースフィンゴシン1-リン酸(S1P)は,5種のS1P特異的Gタンパク質共役型受容体S1P1~S1P5を介して作用する.このうちS1P2は多くの臓器の血管内皮と血管平滑筋,単球・マクロファージやリンパ球などの白血球,一部の臓器の上皮,神経細胞などに発現している.S1P2の主要なシグナル伝達経路はG12/13-Rhoであり,Rhoの下流でRacの抑制およびAkt抑制を引き起こし細胞の遊走や増殖などを負に調節する.S1P2はこれらの作用を介して,血管においてはバリア機能破綻の阻止,血管形成の抑制,血管トーヌス維持,動脈硬化促進,白血球に対してはリンパ組織におけるリンパ球の局在化,増殖抑制およびリンパ腫の発症抑制,神経系においてはてんかんの抑制,内耳機能の維持などの役割を持つ.
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